2023 年 15 巻 4 号 p. 543-546
症例の概要:患者は71歳女性.下顎全部床義歯の不適合による咀嚼困難を主訴に来院した.下顎の顎堤幅は狭く,両側臼歯部には顎堤吸収を認め,義歯の維持・安定は得られていなかった.下顎義歯の維持不良による咀嚼障害と診断し,インプラントオーバーデンチャー(IOD)による補綴歯科治療を行った.
考察:本症例では磁性アタッチメントを選択し,高齢患者にも義歯着脱が容易であった.また,磁性アタッチメントの維持力により義歯の維持・安定が増した.
結論:義歯の維持不良による咀嚼障害を訴える無歯顎患者に対し,旧義歯の問題点を踏まえて新義歯製作を行った後,磁性アタッチメントを適用したIOD は患者の口腔関連Quality of Life(QOL)を改善した.