2023 年 15 巻 4 号 p. 579-582
症例の概要:84歳男性.下顎義歯が食事や会話時に動き困ることを主訴に来院した.上下顎無歯顎,下顎義歯の舌房は狭く,小さな舌運動で動揺した.下顎位は不安定で口腔機能は低下していた.口腔機能訓練指導に加え,治療用義歯にて下顎位の安定を図り,新義歯を製作した.訓練指導により口腔機能は改善し,新義歯装着後はさらに咀嚼能力が改善し,自立維持を保つことができた.
考察:治療用義歯で適切な床形態と咬合関係を決定し,複製義歯を用い反映させることで床形態に反映させ,維持安定に優れた新義歯を製作できた.
結論:口腔機能訓練指導に加えて顎堤や顎機能の状態を配慮し製作した義歯治療には,咀嚼機能の改善と維持に有用である.