日本補綴歯科学会誌
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専門医症例報告
歯肉癌の既往がある患者に対して,全部床義歯治療により機能回復を行った症例
西尾 健介
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2023 年 15 巻 4 号 p. 595-598

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抄録

症例の概要:患者は79歳男性.全部床義歯の咀嚼不良を主訴に来院した.下顎歯肉癌の既往があり,手術の影響で左側顎堤は高度に吸収しており,さらに広範囲が可動粘膜となっていた.主訴を改善するべく,下顎義歯の安定を考慮し,新たに上下全部床義歯を製作した.

考察:下顎全部床義歯の印象は,粘膜の耐圧機能を考慮し,左側のみ加圧印象とし,さらに人工歯排列はリンガライズドオクルージョンとすることで,下顎全部床義歯の安定に努めたことが良好な結果につながったものと考える.

結論:本症例では,下顎歯肉癌の既往がある患者に対して,下顎全部床義歯が安定するよう精密印象と人工歯排列を工夫することで良好な結果を得ることができた.

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© 2023 公益社団法人日本補綴歯科学会
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