2023 年 15 巻 4 号 p. 599-602
症例の概要:81歳の男性.開口時と咀嚼時の義歯脱離による咀嚼困難を主訴に来院した.上顎はフラビーガム,下顎は高度顎堤吸収を伴う無歯顎症例に対して,旧義歯を用いて粘膜や咬合状態の改善後,上下顎全部床義歯を製作した.
考察:旧義歯の義歯床形態の修正および粘膜調整などの前処置を行った後,修正した義歯を参考に義歯床形態の付与と,顎堤形態に配慮した人工歯排列を行った上下顎全部床義歯を製作したことにより,良好な結果を得ることができた.
結論:旧義歯の問題点を踏まえ,上下顎全部床義歯による欠損補綴治療を行った結果,患者の主訴は解決し,咀嚼能力,咀嚼運動などの客観的指標は改善し,機能回復が得られた.