2024 年 16 巻 2 号 p. 263-266
症例の概要:64歳男性.上下顎の部分床義歯の咀嚼困難および審美不良を主訴に来院した.治療用義歯によって咬合状態の改善を図った後,インプラント埋入および骨造成を行った.固定性の暫間補綴装置によって,咀嚼機能および審美性の回復が認められたので,最終上部構造を装着した.
考察:すれ違い咬合に近い咬合状態においては,咬合平面・咬合高径に乱れが生じているケースが多く,まずは治療用義歯によって咬合状態の改善を図ることが重要である.
結論:本症例では治療用義歯と固定性インプラント修復によって,長期的に安定する機能および審美的結果が得られ,患者の口腔関連QoL向上に寄与した.