2024 年 16 巻 2 号 p. 271-274
症例の概要:患者は,76歳の男性.前歯部の審美不良と咀嚼時に上唇を誤ってかんでしまうことを主訴として来院した.初診時,前歯部被蓋関係が反対咬合であり,顔面の正中と歯列の正中の不一致を認めた.主訴の改善を目的とし,オーバーデンチャーを用いた.
考察:最終義歯装着後は,審美的な改善が得られ,上唇の誤咬が消失したことから,適切なリップサポートが得られたものと考える.また,上唇の誤咬の主な原因は,前歯部の水平的な被蓋不足であったと考える.
結論:オーバーデンチャーを用いることで,治療開始後早期に主訴の改善が可能であった.最終義歯装着から約5年が経過したが,良好に経過している.