日本補綴歯科学会誌
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経過から学ぶ欠損補綴の診断とマネージメント
鈴木 尚
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2010 年 2 巻 4 号 p. 209-217

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抄録
パーシャル・デンチャーに代表される欠損補綴は長期にわたって応用されてきた方法論である.それは,もちろん歯科補綴学的研究の臨床応用であったはずである.つまり欠損修復の方法論には支台装置の開発と,それと並行して負担様式の臨床的問題が存在していた.このことに関連して,過去さまざまな研究がなされたが,臨床に最も大きな影響を与えたのは支台装置である.現在に至るまでこの支台装置は義歯の構造のなかで最も考案改変され応用されてきた.その度ごとに大きな期待を抱き,興味をもって取り組んだが,その臨床的成果は決して満足の行くものではなかった.その理由の一つにそれらの使用結果が十分に分析されて報告されなかったことが挙げられる.当然適応症の提示も定かでなく,支台装置の存在的意
味も重みをもたないことになった.臨床家としては大いに疑問に思う事態である.一方で,初診から診断を経て諸所の処置方針を決め,補綴治療までを完了させるという治療の流れは最も一般的で誰もが認める歯科臨床の進め方である.
欠損補綴の変遷のなかで大きな臨床的位置を占めてきた支台装置の選択も当然このような診断的処置方針に沿って選択されるべきである.本稿は臨床家として何を欠損補綴診断の拠りどころとしているのか?にスポットを当てて支台装置の選択までを提案してみたい.
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© 2010 社団法人日本補綴歯科学会
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