日本補綴歯科学会誌
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最先端歯内療法
澤田 則宏
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2010 年 2 巻 4 号 p. 218-225

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抄録

歯内療法はここ十数年で大きく変化した.最先端の歯内療法では,マイクロスコープ,ニッケルチタンファイル,超音波チップ,マイクロインスツルメント,そしてコンビームCT などを使用することにより,予知性の高い予後を得ることが可能となっている.本論文では,通常の根管治療および外科的歯内療法のテクニックについて,最新の情報を紹介する.
根管治療した歯の生存率は90%を超えている.根管治療した歯と単独インプラントでは,長期予後に関して差はないという報告が多くみられる.根管治療を行うか,抜歯してインプラントにするかという臨床判断は生存率で決めてはいけないことがわかっている.
最先端の外科的歯内療法は明るい光の下で,拡大された視野を見ながら,特殊なマイクロインスツルメントを使用して行われる.最先端の外科的歯内療法の成功率は,従来の外科的歯内療法の成功率より高くなっている.また,薄いメスおよび極細の縫合糸を使用することにより,術後の瘢痕や歯肉退縮もほとんど認められない.
コロナルリーケージは不適切な補綴物によってもたらされる.根管治療した歯の予後は,補綴物の質に影響されることが報告されている.
穿孔部封鎖処置は,internal matrix technique や mineral trioxide aggregate を使用することにより,確実なものになっている.従来は抜歯されていた歯もこの方法を用いることにより,多くの歯を保存することが可能となっている.

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© 2010 社団法人日本補綴歯科学会
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