抄録
症例の概要:患者は初診時15 歳女性で,オトガイ部から左下顎骨体部の腫脹と疼痛を主訴に来院した.エナメル上皮腫と診断され,腫瘍摘出と同時に2-3を抜歯した.下顎骨欠損は広範囲に及んだため,欠損部顎堤に腸骨を移植し,インプラントによる補綴処置を行った.
考察:審美と機能を考慮した欠損部への骨移植とインプラント補綴を行うことにより患者のQOL が向上した.また,インプラント体周囲の骨吸収,軟組織の炎症反応はほとんどなく,補綴処置は良好な経過が得られたと考えられた.
結論:下顎エナメル上皮腫摘出後に生じた広範な顎欠損に対し,自家骨移植を行った後にインプラント補綴を行うことにより,審美および機能が回復され,良好な経過が得られた.