日本補綴歯科学会誌
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第120回記念学術大会 理事長講演
補綴歯科のあゆみと未来
古谷野 潔
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2011 年 3 巻 4 号 p. 305-312

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抄録
本年の学術大会は,第100回大会以来の記念大会である.この機会に第100回以後の学術大会を軸に本学会の歩みを振り返り,本学会の現在と今後について考える.
1998年開催の100回大会は,「健康科学における歯科補綴学―21世紀に目指すもの―」をテーマとして歯科補綴学の将来展望を示した.2000年には国際シンポジウム大阪 2000を催し,その後,韓国,中国,インドの補綴学会との交流協定締結や Greater New York Academy of Prosthodontics(GNYAP)との2度の共催学会,International Association for Dental Research(IADR)のProsthodontic Research Groupとの連携などへと発展した.2002年には英文誌の発行を開始し,現在では海外からの投稿論文も増え,impact factor(IF)取得目前まで来ている.
2001年の106回から112回までは,「新しい歯科補綴のパラダイム」をメインテーマに据え,evidence-based medicine(EBM)への対応が図られ,Minds収載の 2つをはじめとする多くのガイドラインが作成された.
一方,113回から120回までは,「咬合・咀嚼が創る健康長寿」がメインテーマとして取り上げられ,補綴歯科の目標を歯や口腔から,健康長寿という全人的な価値に拡げるものであった.
学会活動の原点は,専門分野に興味を持つ者が集い,研究(臨床)成果を持ち寄って議論し,切磋琢磨することによって,学問(臨床)の進歩に寄与することにある.今後は,学会活動の原点である学術大会と学会誌を幅広い会員のニーズに適確に応える体制として,より多くの会員の参加を促進し,本学会の活力を高める必要がある.
本学会は,臨床分野の専門学会であり,臨床の進歩を通して国民の健康の向上に資することが最大の使命である.臨床研究を推進し,臨床の進歩を主導する学会を目指していかねばならない.そのためには,「臨床と研究の乖離」,「大学と臨床医の乖離」を埋めていかねばならない.
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© 2011 社団法人日本補綴歯科学会
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