日本補綴歯科学会誌
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原著論文
支台歯形成時期がレジンコアの象牙質接着強さに及ぼす影響
本多 利人渡邉 文彦
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2012 年 4 巻 4 号 p. 403-410

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抄録

目的:本研究は,クリアフィルDCコア(クラレ),Unifil Core EM(ジーシー)の2種類の支台築造用コンポジットレジンを直接法で築造し,切削時期を変え,築造体の歯面への接着強さに及ぼす影響を比較検討することを目的とする.
方法:実験試料に,ウシ歯根象牙質を用い歯面を平滑に研磨,直径3 mmの穴をあけたテープで被着面を規定した.被着面の周囲に直径4 mmのチューブを固定し,根管内を想定した実験試料とするため,高さ5 mmのパテで周囲の光を遮断,支台築造用レジンを築盛,20秒間光照射を行った.築盛直後,メーカー指定時間経過後,30分後,1時間後,1日後,1週間後に切削を行ったものと,コントロールとして切削していないものを用い,各条件につき6個ずつ接着強さをせん断試験により比較検討した.平均値を二元配置分散分析後,Tukeyの検定にて多重比較を行った.また,破断面をSEMにより観察した.
結果:両材料で築盛直後,メーカー指定時間経過後,30分後に切削したものの接着強さは,1時間以上経過後と比較して有意に低かった(p<0.05).1時間以上経過後に切削したものは,切削していないものとの間で,また材料間でも有意差はなかった.破断面の観察では,直後のものは界面破壊とアドヒーシブ内の凝集破壊を,その他の条件では,混合破壊とレジンの凝集破壊が多く認められた.
結論:本実験の条件で,5 mm以上の根管長でレジンコアを築盛する場合,1時間以上経過したのちに支台歯形成を行うことが必要である.

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© 2012 社団法人日本補綴歯科学会
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