2012 年 4 巻 4 号 p. 448-451
症例の概要:下顎前歯部咬耗を主訴に来院した76歳男性.口腔内検査および種々の検査より臼歯部の咬合支持喪失による前歯部の過蓋咬合と低位咬合が疑われた.客観的な基準を参考に咬合の再構築を図り,最終補綴処置に移行した.その後は1~6カ月ごとの定期検診にて経過観察を行い,現在5年が経過したが良好な状態が保たれている.
考察:全顎的な咬合の再構築により,咀嚼機能および審美障害の改善を図ることができたと考えられる.
結論:本症例のように臼歯部欠損による咬合高径の低下と全顎にわたる著しい咬耗が認められる場合において,セファログラム分析を参考にした咬合高径の決定により咬合の再構築することが重要であると考えられる.