抄録
症例の概要:56歳の女性,上顎左側歯肉悪性腫瘍術後の患者であり,上顎顎義歯の不適合を主訴に来院した.義歯の不適合の他,残存歯にも要治療部位を認めたため,上顎には支持および顎欠損部の辺縁封鎖性の向上を図った顎義歯を製作し,下顎には両側遊離端義歯を製作した.
考察:顎義歯を再製作する過程において,義歯の設計および咬合支持の維持と残存歯の管理に留意することで,長期的に良好な結果が得られると考えられる.
結論:顎義歯の治療効果は栓塞子の形態が適切であるか,また顎義歯全体の維持・安定が十分かにより大きく異なると考えられた.