日本補綴歯科学会誌
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原著論文
インプラント支持補綴装置と部分床義歯の違いが欠損隣接歯の予後に及ぼす影響
野川 敏史高山 芳幸齋藤 正恭横山 敦郎
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2015 年 7 巻 2 号 p. 170-178

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抄録

目的:部分欠損症例において,インプラント支持補綴装置(ISFP)と部分床義歯(RPD)が欠損隣接歯の予後に及ぼす影響を比較・検討することを目的として後ろ向きコホート研究を行った.
方法:北海道大学病院歯科診療センター義歯補綴科にて,2003年から2011年の間に,ISFPまたはRPDを装着し,補綴治療終了後1年以上経過し,年1回以上のリコールに応じている患者を対象とした.全部床義歯装着者や診療録の不備により不適当と判断したものは除外した.調査項目は,性別,年齢,補綴方法,残存歯数とし,欠損隣接歯では,歯種,根管治療の有無,歯冠補綴・修復の有無,同名対合歯の有無を調べた.エンドポイントは抜歯,および何らかのトラブル(破折,脱離,齲蝕,根尖性歯周炎,辺縁性歯周炎)があった時点としてKaplan-Meier法により生存率,トラブル未発生率を算出した.補綴装置間の比較にはlog-rank検定を用い,有意水準は0.05とした.
結果:対象患者は501名(ISFP:41名,RPD:460名)であった.欠損隣接歯の5年生存率は,ISFPで97.5%,RPDは90.9%であり有意差は認められなかった(P=0.060).トラブル未発生率は,ISFPで89.3%,RPDは70.5%であり有意差が認められた(P=0.008).
結論:本研究において,補綴装置の選択が欠損隣接歯の予後に影響を及ぼすことが示唆された.

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© 2015 社団法人日本補綴歯科学会
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