抄録
どの領域においても疾患多様性が存在することが近年注目されてきている.疾患多様性を裏付けする要因を遺伝子変異の有無を検索するように分子生物学に求めることは,分子生物学が台頭する最近の医学界においては当然のことかもしれない.しかしながら睡眠関連疾患,とりわけ睡眠呼吸障害の病因病態は生理学を基盤として形成されるため睡眠呼吸障害の多様性を識別することは簡単ではない.本稿では睡眠生理学と呼吸生理学の理解なくして識別できない睡眠呼吸障害の多様性とその治療戦略について概説し,さらにこれらの考え方が睡眠ブラキシズムの病態生理を理解する際の一助になると考える.