2017 年 9 巻 2 号 p. 87-93
パーシャルデンチャーで咬合を回復する場合,残存歯との間に調和のとれた咬合関係が必要であり,口腔健康を維持する上で重要な鍵となる.特に遊離端義歯症例においては,咬合時の負荷は被圧変位量の異なる支台歯と顎堤粘膜の両者に対して伝達され,複雑な動態を示す.安定した咬合を確立するためには,初診時の咬合状態を確実に把握すること,さらに,欠損様式に合わせて適切な義歯の設計を行うことが,重要な要件となる.本稿では,欠損に伴い崩壊した咬合状態を定量的に評価する手法として,側面頭部エックス線規格写真に基づく咬合高径の評価について,さらに,義歯の設計に関する基本的概念,特に義歯の動揺の最小化について解説を行う.