2017 年 9 巻 3 号 p. 259-262
症例の概要:患者は64歳の女性.義歯床下粘膜の疼痛と上顎前歯部連結冠の脱離を主訴に来院した.前歯部のみに咬合接触が残存し,臼歯部咬合支持がない部分歯列欠損を呈していた.上顎にオーバーデンチャー,下顎にアンレーレストを用いた可撤性義歯による補綴を行い,咀嚼機能を回復することができた.
考察:オーバーデンチャーを使用することによって,歯根膜粘膜支持と咬合平衡を得て義歯を安定させることができた.
結論:前歯部のみに咬合接触が残存し,臼歯部咬合支持が無い部分欠損症例に対し,上顎にオーバーデンチャー,下顎にアンレーレストを用いた部分床義歯を装着し,良好な経過を得ることができた.