日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成15年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-p4
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L-システイン添加グルテン粉末の加熱誘導ゲル特性とアルギン酸ナトリウム添加の影響
*山田 真理子片岡 朋美東 真理太田  尚子
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抄録
【目的】 グルテンはグルテニンとグリアジンの混合物で、食品加工においてドウとして広く使われているが、これらのタンパク質は水、塩に対して難溶性であるため、既存の性質を自在に制御することは難しい。本研究では市販グルテン粉末を試料とし、エタノール、L-システイン(L-Cys)並びに、食品のゲル化剤、乳化剤として使用されている食品添加物(アルギン酸ナトリウム)を添加し、その影響を調べた。【方法】 12%グルテン粉末にエタノール及びL-Cys(0.01M又は0.1M)を添加し、80℃30分間湯浴中で加熱後30分氷冷し加熱誘導ゲルを調製した。次に、形成したゲルの物性を動的粘弾性測定、ゲルの離水率測定、走査型電子顕微鏡による微細構造観察などにより調べた。【結果】 0.1M L-Cys添加ゲルはもろく、保形性が悪いゲルを形成したが、0.01M L-Cys添加では、エタノールのみを添加したグルテンゲルのような疎水的塊状凝集体を形成せず、外観的には適度な伸展性を有する親水性ゲルを形成した。0.01M L-Cys添加ゲルを各種条件下で保存したところ、冷蔵保存により貯蔵弾性率は増加するが、冷凍保存によっては減少することがわかった。さらにこの系に、1%アルギン酸ナトリウム添加を施したところ、それらの貯蔵弾性率が増加する傾向が見られた。また、このゲルは100×〈I〉g〈I〉、3分の遠心分離で離水を生じない程度の高い保水性を有していることがわかった。さらにゲルの微細構造観察により、L-Cys添加ゲルとL-Cys+アルギン酸ナトリウム添加ゲルでは顕著に異なる微細構造が構築されていることが判った。
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© 2003日本調理科学会
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