日本調理科学会大会研究発表要旨集
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口頭発表
  • 佐々木 琴美, 吉村 美紀, 島田 良子, 江口 智美, 桑野 稔子
    セッションID: A-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】本研究では、大豆たんぱく質、大豆多糖類を用いて、嗜好性が高く、高齢者のフレイル予防に繋がる食パンを創製し、その物性・嗜好性・咀嚼性・自律神経の関連性を検討した。

    【方法】試料は、通常の小麦粉(W)を用いた食パン(C、コントロール)と、大豆たんぱく質(SPI)と大豆多糖類(SPS)の混合比の異なる食パン(SP1、SP2 、SP3)を用いた。W、SPI、SPSの混合比はC=W 250 g、SP1=W 220 g +SPI 30 g、SP2=W 210 g+SPI 30 g+SPS 10 g、SP3=W 200 g+SPI 30 g+SPS 20 gとした。食パンの測定項目は、膨化率、テクスチャー測定、外相・内相の表面色測定とした。高齢者(n=12, 73.4±4.6歳)による官能評価、咀嚼筋電位測定、加速度脈波測定を行った。

    【結果・考察】Cと比較し、SP1は膨化率が下がり硬く、内相色の黄みが強く明るくなった。SP2とSP3では、膨化率がやや上がり、軟らかかった。官能評価では、Cと比較し、SP1は硬く、SP2とSP3はSP1より軟らかいと評価され、テクスチャー測定と類似した結果を得た。嗜好性に関しては、SP1とSP3は好まれなかった。嗜好性の高かったCとSP2を用いて、咀嚼筋電位測定と加速度脈波測定を行ったところ、差は認められなかった。SP2は、大豆たんぱく質と大豆多糖類を含み、嗜好性が高く、常食として食べることが可能な食パンであると考えられる。

  • 竹内 薫
    セッションID: A-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】デント種やフリント種のとうもろこし子実を粉砕したコーングリッツ(CG)は超強力小麦粉に配合することで色調やテクスチャーに特徴を付与できる。本研究では、粒子径の異なるCGを用いて適正な配合割合を検討するとともに、CGの熱湯処理によるテクスチャー改変を試みた。

    【方法】材料に北海道産「ゆめちから」超強力小麦粉、北海道産CG(細:0.25~0.50mm、粗:0.50~1.0mm)を用いた。[実験1]ゆめちから:CGの比率は100:0、95:5、90:10、80:20、70:30とした。調製したブレンド粉について、マイクロドウラボを用いて吸水率を、ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて熱糊化時(PV)と冷却時(FV)のトルクを測定した。また、粉に加水したペーストの測色を行った。ノータイム法で製パンを行い、比容積測定、クラムの2バイトテクスチャー試験(TPA)および破断解析を行った。[実験2]CGの前処理として2倍量の水または沸騰水と混和後に一晩冷却を行い、その効果についても検討した。

    【結果】[実験1]CG配合により粉の吸水率、PV、FVは低下した。特に粗CGの配合割合が高いと著しく糊化が抑制された。CC配合割合が5-10%のブレンド粉は、超強力粉単独よりもパン比容積が大きかった。CG配合によりTPAの圧縮応力(かたさ)が高くなり、TPAの回復性値(弾力性)が小さくなった。[実験2]CGの熱湯処理は、破断歪率とTPAの圧縮応力には影響しないが、破断荷重とTPAの回復性値は無処理よりも高くなり、超強力小麦粉単独に近づいた。以上の結果から、CGの粒子径や配合割合、前処理方法によって食パンのテクスチャーを改変可能である。

  • 齋藤 公美子, 山口 真奈, 武智 多与理, 畠中 芳郎, 萬成 誉世, 髙村 仁知
    セッションID: A-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】玄米は胚芽と糠を有していることから、食物繊維、ミネラル、ビタミン、機能性成分が豊富である。しかし、独特の硬い食感や香り、調理に時間を要することなどから、玄米の消費は限られている。演者らはこれまで、白米粉パンを製造する際に加える水の温度(加水温度)を高温条件に設定することで、製パン性に影響を与えることを明らかにしてきた。本研究では、玄米粉を用いて製パンを行い、生地調製時の加水温度がパンの品質に及ぼす影響について検討することを目的とした。

    【方法】玄米粉は、令和3年に収穫された山形県産雪若丸を製粉して用いた。米粉の粉体特性として、損傷デンプン含量、アミロース含量、粒度分布を測定した。パンの材料として、玄米粉、食塩、砂糖、ドライイースト、米油を用いた。加水温度を5℃,50–80℃(2℃間隔)で生地を調製し、生地の物性評価として、糊化度測定、動的粘弾性測定を行った。同様の条件でパンを調製し、製パン特性評価として、比容積測定、テクスチャー測定、官能評価を実施した。

    【結果・考察】玄米粉の損傷デンプンは約1.7%、アミロース含量は約17%、粒度ピークは約30 µmだった。加水温度5℃のパンと比較して、68–72℃で比容積は有意に大きくなり、78,80℃で小さくなった (p<0.05)。一方で、パンの硬さは、76–80℃で有意に増加した (p<0.05)。比容積が大きかった68–72℃の糊化度は約7–9%であり、糊化度が約15%以上になると製パン性が悪化した。また、加水温度、糊化度の上昇に伴い、生地のG’, G’’値が上昇し、安定した挙動を示した。これらのことから、玄米粉パンの調製において、生地の糊化度および粘弾性を加水温度により制御することで、玄米粉パンの品質を向上させることが示された。

  • 森田 亜紀, 大田原 美保
    セッションID: A-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】ベーカリー製品の官能特性の把握は、消費者の求める品質の製品開発には欠かせないが、多様なベーカリー製品のテクスチャー用語についてまとめた研究はほとんどない。本研究ではベーカリー製品の品目ごとにテクスチャー用語を整理し、官能評価の設計や品質情報の伝達の際に参照できる分析型パネルのためのテクスチャー用語体系を構築することを目的として、調査と解析を行った。

    【方法】調査は三菱商事ライフサイエンスの分析型パネル15名に対して実施した。日本パン工業会の分類を参考にベーカリー製品9品目を選択し、各製品に対して日本語テクスチャー用語1)455語を50音順に並べ、テクスチャーを評価する際に用いる可能性のある用語に〇をつけさせた。選択した人数を集計し、1品目以上において8名以上が選択したテクスチャー用語同士を比較し、各用語の類似性について点数をつけさせた。

    【結果・考察】ベーカリー製品のテクスチャー用語として、口どけがよい、やわらかい、しっとり、ぱさつく、などが上位に挙げられた。製品と用語の関係を主成分分析により解析したところ、食パンはクラム、フランスパンやシート生地はクラスト、蒸し物は水分、ドーナツや焼き菓子は油脂に由来するテクスチャーが特徴であると読み取れた。用語間の類似性の結果を階層的クラスター分析により解析したところ、かみごたえ、なめらかさ、空気を含んだやわらかさ、乾燥、こわれやすさ、変形のしやすさ、付着などの用語群に分類できた。ベーカリー製品毎の代表的なテクスチャー用語とその語彙構造が明らかとなり、官能評価の設定や情報伝達に利用できるリストが作成できた。

    1) 早川文代 et al. 日本語テクスチャー用語の収集,日本食品科学工学会誌,52,337–346 (2005)

  • 京極 奈美, 谷口 明日香, 小林 理恵
    セッションID: A-5
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】小麦アレルゲンの低減化には種々の手法を用いて検討されている。本研究では、発酵調味料である「塩麹」に含まれる酵素による、食パン中の小麦アレルゲンタンパク質の低減化の有効性を検証することを目指している。既に報告したように、市販塩麹は製品ごとに酵素活性が異なり、これらを食パン生地に加えて調製すると物性と色に差異が見られたものの、嗜好性は高かった。しかし、塩分量の調整のために塩麹の添加量が異なっていたため、今回は塩麹の添加量を統一配合した食パンの品質を評価し、アレルゲン低減化への影響を明らかにした。

    【方法】前報と同じ市販塩麹3種を使用し、ホームベーカリーを用いて食パンを調製し、小麦粉で調製した基準パンを各評価の対照試料とした。食パンに添加する塩麹量を一定にするために、食塩と水分量のみ配合量を変更して調製した。また、酵素を加熱により失活させた塩麹を生地に添加し、酵素活性の有無による品質への影響を各食パンと比較した。品質評価は前報と同様に、食パンの比容積の測定と5段階評点法による嗜好型官能評価を実施した。アレルゲン低減化の評価は(株)森永生科学研究所のモリナガFASPEKエライザⅡ小麦(グリアジン)を用いてELISA法により測定した。

    【結果・考察】官能評価では、基準食パンと比較して塩麹添加食パンが好まれる傾向にあった。また、ELISA法による測定では、プロテアーゼ活性の高い塩麹を添加した食パンにおいて抗原量が低くなる傾向であった。しかし、プロテアーゼ活性が低値であったものは基準食パンと同程度のアレルゲン濃度であった。塩麹添加食パンの嗜好性は高いものの、アレルゲン低減化を期待する場合、市販塩麹の活用には課題が多いと考えられる。

  • 内田 はるか, 山岡 萌奈, 森井 沙衣子, 坂本 薫
    セッションID: A-7
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】大麦には水溶性食物繊維β-グルカンやポリフェノールの1種であるプロアントシアニジンが豊富に含まれており、これらの健康効果に注目が集まっている。近年穀物加工品としてパフ加工を行ったシリアルの人気が高まっていることを踏まえ、申請者らがパフ加工した大麦のポリフェノール量と抗酸化能を調べたところ、ポリフェノール量はパフ加工により有意に多く検出され、ポリフェノール量と抗酸化能に相関関係が認められた。そこで、大麦でんぷんについて示差走査熱量分析(DSC分析)や破断測定を行い、でんぷんの状態を評価し、関連を考察することを目的として実験を行った。

    【方法】うるち性大麦であるシュンライ(S)、もち性大麦であるフクミファイバー(F)を穀類膨化機、焙煎機を用いてそれぞれ膨化パフ、焙煎パフを調製した。これらの試料について、DSC分析を行なった。また、破断測定ではS, Fの膨化パフ、焙煎パフを試料としてクリープメーターを使用し、くさび型のプランジャーで破断測定を行った。

    【結果・考察】DSC測定において、精麦Sの糊化ピーク温度は、精麦Fより有意に低く、糊化エネルギーは大きいという結果が得られた。また、焙煎パフでも同様の結果が得られたが、膨化パフではS, F共にピークが認められなかった。さらに破断測定では最大荷重においてS, Fともに焙煎パフの方が大きな値を示し、膨化パフよりも焙煎パフが有意に硬いことが明らかとなった。焙煎パフには吸熱ピークが見られ、膨化パフには見られなかったこと、膨化パフと焙煎パフでは焙煎パフの方が有意に硬いことから、パフ加工の違いによりでんぷん構造の崩壊の程度が異なることが示唆された。

  • 小野寺 晶子, 小﨑 智恵, 藤井 恵子
    セッションID: A-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】アマランサスは一般的な穀類に比べてリシンが豊富で、また、日本人に不足しがちなカルシウムや鉄などの微量栄養素も多い穀粉である。しかし、加工性や嗜好性に課題があり、日常的に取り入れられるには至っていない。そこで本研究ではアマランサス粉を三大アレルゲンを含まない含泡食品の素材とし、他の穀粉と比較することでアマランサス粉の調理特性を明らかにすることを目的とした。

    【方法】アマランサス粉に豆乳、グラニュー糖、ベーキングパウダー、LMペクチンを混合し、180℃で30分焼成し含泡食品を調製した。その際、副材料の添加温度を4段階に変化させた。客観的評価として、粉体の吸水特性と糊化特性、生地の温度履歴、含泡食品の比容積、静的粘弾性、破断特性、テクスチャー特性を測定し、主観的評価として官能評価を行った。併せて、全粒粉、強力粉、薄力粉、小麦でんぷん、玄米粉、米粉の各穀粉についても同様に実験を行った。

    【結果・考察】アマランサス粉の吸水率は、玄米粉に次いで高かった。糊化特性についてはアマランサス粉の糊化開始温度は最も高値となった一方で、最高粘度への到達時間は最も速かった。アマランサス粉の含泡食品の比容積は全粒粉とともに低値を示したものの、フック部の弾性率と凝集性は小麦でんぷん、ニュートン部の粘性率と硬さは米粉と近かった。アマランサス粉の含泡食品は遅延時間が高く、付着性が大きいことが特徴であった。豆乳の添加温度が高くなると、粘弾性が低下し、硬さと付着性は増加した。官能評価では、アマランサス粉の含泡食品は、もちもち感と唾液との混ざりやすさで米粉と似た評価となったが、嗜好性では好まれず、香りをマスキングし、べたつきを改善させることで嗜好性が高まる可能性が示された。

  • 菅 尚子, 額 惠理香, 内田 はるか, 川畑 球一, 坂本 薫
    セッションID: A-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】玄米は、食物繊維を多く含むことから、プレバイオティクス作用が期待されている食品の一つである。しかし、玄米の食物繊維の多くは不溶性であり、善玉菌に対する資化性を高めるには、それらを水溶化させる必要がある。そこで本研究では、玄米のプレバイオティクス性を高める調理加工方法を明らかにすることを目的として、加工による機能性成分の変動と食物繊維の一つであるアラビノキシランの水溶化について検討した。

    【方法】玄米を原料として、穀物膨張機によりパフ加工したサンプルを二種、また焙煎機により焙煎したサンプルを二種作製した。機能性成分量の評価として、抗酸化性はDPPHラジカル消去活性で評価するとともに、フォーリンチオカルト法により総ポリフェノール含量を測定した。また、フロログルシノール法を用いて総アラビノキシラン及び水溶性アラビノキシランの定量を行った。さらに、糠層ではアラビノキシランがポリフェノールの一種であるフェルラ酸と結合して存在していることから、高速液体クロマトグラフを用いて総フェルラ酸及び遊離フェルラ酸量について測定した。

    【結果・考察】未加工の玄米と比較して、パフ加工および焙煎加工したものは抗酸化活性および総ポリフェノール量が増加することを確認した。興味深いことに、水溶性アラビノキシラン量と遊離フェルラ酸量は、焙煎加工したサンプルにおいては減少したが、パフ加工したサンプルにおいては顕著な増加が認められた。高い圧力下でパフ加工したサンプルにおいては、総アラビノキシランと総フェルラ酸がともに減少したが、アラビノキシランを顕著に水溶化したことから、パフ加工はプレバイオティクス効果を高めるのに適した加工方法であることが示唆された。

  • 晴山 聖一, 髙橋 明, 髙橋 医久子, 伊藤 良仁, 岩本 佳恵, 長坂 慶子
    セッションID: A-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】岩手県西和賀町では、ワラビ(Pteridium aquilinum L.)が特産品であり、地上部は山菜として販売され、地下部からは澱粉のわらび粉が製造される。わらび粉は、独特な風味と食感が特徴で高級和菓子の原料として使用されるが、地下部の希少性と製造に係る手間から、現存する製造事業者は限られている。また、製造方法について記述している文献はほとんどなく、学術的な調査事例は見当たらない。本研究は、わらび粉の製造工程と品質特性を理化学的に整理し、製造技術の伝承と生産性の向上、西和賀産わらび粉の普及を目的とし、各種の検討を行った。

    【方法】材料には、西和賀町で栽培されたワラビの地下部を使用した。地下部は部位別に解体し澱粉含有量を調査した。製造工程は、やまに農産株式会社(岩手県西和賀町)の現工程を実験室スケールで再現することで検証し、各工程に含まれる澱粉含有量を調査することで澱粉の回収状況を整理した。澱粉粘度の測定にはラピッドビスコアナライザー(Perten RVA-TecMaster)を使用し、他産地産わらび粉及び他原料澱粉との粘度特性を比較した。

    【結果】ワラビ地下部のうち、澱粉は根茎の内部に含まれていた。太いほど重量あたりの含有量が高い傾向があったが、年次間差があり、生育状況で変化すると考えられた。また、根茎内部には強固な繊維質の組織があり、効率的な製造の妨げとなっていた。現工程では、夾雑物と比較した粒子径と比重の違いを利用して精製するが、分離が不十分で澱粉損失が大きい工程が存在した。RVAによる粘度特性の分析の結果、他産地わらび粉と比べて高い最高粘度、他原料澱粉と比べて低い糊化開始温度を示す傾向があった。

  • 石橋 ちなみ, 中島 彩乃, 渡壁 奈央, 谷本 昌太, 杉山 寿美
    セッションID: A-11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】中食等の利用増加により,米飯においても炊飯直後(炊き立て)ではない,室温で短時間経過した米飯を食べる機会が増えている。一般に米飯の嗜好性の低下は,低温での保存に伴う澱粉の老化が要因と考えられているが,室温で短時間保存した影響は不明である。そこで本研究では,炊飯後の短時間で生じる米飯の物理化学的変化と嗜好性との関係を調べた。

    【方法】試料は無洗米(ヒノヒカリ)に1.5倍量の蒸留水を加え,電気炊飯器で炊飯し,150gの円筒型に成型した。炊飯直後を0分とし,20℃,70℃で最大2時間保存した。以上の試料について,官能評価を行い,重量,体積を測定した。さらに,試料を水洗した洗液を米飯粒表面の糖成分の分析に用い,ヨウ素呈色比色法により400~700nmの吸光スペクトルの最大吸収波長(λmax)を求め,アミロース(AM)量の定量を行った。

    【結果・考察】官能評価の結果,20℃保存は70℃保存と比べて有意に硬く,ほぐれにくく,好ましくないと評価された。重量は,保存により有意に減少し,70℃保存よりも20℃保存で減少量が大きかった。体積は,20℃保存で減少した一方,70℃保存では増加した。米飯粒表面の分析において,20℃保存,70℃保存いずれも炊飯直後と比べてλmaxは有意に低下した。また,米飯粒表面のAM量は保存により減少した。AMのλmaxは640~660nm,アミロペクチン(AP)のλmaxは530~570nmであることから,保存により米飯粒表面のAMが減少し,APの比率が増加したと推察された。以上より,20℃保存で硬く,ほぐれにくいと評価されたことは,重量および体積の減少に加えて,米飯粒表面のAPの比率が増加し,米飯粒どうしの粘りが強くなったことが要因と考えられた。

  • 山本 康司, 露久保 美夏
    セッションID: A-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】玄米の炊飯において、圧力の違いが炊き上がり後に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。

    【方法】令和2年 新潟県魚沼産コシヒカリを試料とした。洗米後、米重量の1.5倍量の加水をし、浸漬を行った。加熱には、圧力鍋を用い、加圧条件は高圧炊飯では80kpaで12分間、超高圧炊飯は140kpaで6分間加圧した。比較対象として炊飯器を用いた普通炊飯も行った。測定には、炊飯後1時間放置したものを測定に使用した。測定項目は、米の吸水率、炊飯時の温度履歴、顕微鏡観察、飯粒の大きさ、胚乳露出率、飯の水分量、遊離糖量、物性(かたさ、付着性)とした。

    【結果・考察】玄米飯の水分量は、圧力が高いものほど増加した。米粒の長径は、超高圧炊飯により他条件と比較して長くなった。胚乳露出率は、炊飯時の圧力の有無により異なる傾向がみられた。遊離糖量は、白飯、玄米飯ともに普通炊飯によってグルコース量は有意に増加した。超高圧炊飯により玄米のスクロース量は減少した。かたさは、飯粒表面において圧力炊飯は普通炊飯より有意に硬いことが示され、圧力炊飯間では高圧炊飯が有意に硬いことが示された。また飯粒全体では玄米飯は白飯より有意に硬く、玄米の炊飯方法による違いは見られなかった。付着性は、飯粒表面では普通炊飯と超高圧炊飯、飯粒全体では玄米飯全てが白飯に比べ有意に低いことが示された。圧力炊飯により、玄米飯粒全体の付着性が増加することが示された。玄米は圧力炊飯によって水分量が増加し、硬さは飯粒表面で増加、付着性は飯粒全体で増加することが示された。

  • 米山 陽子, 三星 沙織, 黒瀬 真弓, 平尾 和子
    セッションID: A-13
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】近年、菓子類にも健康機能を付加するものが増えているが、米菓には少ない。本実験では、生活習慣病の予防に効果的でありながら、日本人の1日の摂取目標量が不足している食物繊維に注目し、糖質が主成分である米菓への水溶性食物繊維を添加することによる影響について検討した。

    【方法】既報の方法を用いて、国産米菓用うるち米をロール法粉砕した米粉(40メッシュ)に、水溶性食物繊維イソマルトデキストリン((株)林原)を5%および10%添加したせんべいを調製した。物性は,テクスチャー測定と破断特性測定(RE2-3305B:山電(株))を行い、実体顕微鏡((株)島津理化STZ-171)による組織観察も行った.官能評価は7段階評点法を用い、教職員専門パネル10~20名で評価した。

    【結果・考察】米粉にイソマルトデキストリンを10%添加すると、焼成前の生地は付着性が低下し、せんべいはコントロールに比べて破断応力およびもろさが大となった。せんべいの生地の硬さとせんべいの破断応力・もろさの間には、それぞれ危険率5%で有意の相関が認められた。実体顕微鏡による組織観察では、イソマルトデキストリンを添加したせんべいは組織が緻密で細かい気泡が多く観察された。官能評価では、試料間に有意の差はなくコントロールと同等の評価を示したが、自由記述においては、10%添加することにより、サクサク感やザクザク感などの好ましい食感を示す旨の記述がみられた。これらの結果より、せんべいの副原料の一つとしてイソマルトデキストリンを添加することは、新たな付加価値を付与するとともに、「高い旨」の栄養強調表示に相当する10%を添加してもコントロールと同等に製造できることが示唆された。

  • 新田 奈穂, 松井 元子, 村元 由佳利, 古谷 規行
    セッションID: A-14
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】小豆は日本の食文化に欠かせない食材である.北海道産小豆の調理科学的特性は明らかにされているが,栽培年が異なる大納言品種については検討されていない.そこで本研究では,京都統一ブランド品種の「京都大納言小豆」について,登熟期間の気象条件が小豆の形態および調理科学的特性に与える影響を把握することを目的とした.

    【方法】試料は,2017~2020年産の「京都大納言小豆」(京都府亀岡市圃場)を用いた.日々の気温,日照時間,降水量は圃場内で測定し記録した.豆の水分含有率,百粒重,粒径,臍の長さ,種皮色調,デンプンの糊化特性・粒子径・粒度分布,調理科学的特性として餡の粒子径・粒度分布,吸水後と煮熟後の物性を測定した.

    【結果】気温との関係をみると,小豆の水分含有率は,2020年産が有意に低いが,相関は見られなかった.百粒重は,2017年産が有意に重く,負の相関があった.種皮色調は,2019年産の赤味度が有意に低く,登熟期間後半に負の相関があった.デンプンの糊化開始・ピーク・終了温度は,2019年産が有意に高く,登熟期間後半に正の相関があった.デンプンの平均粒子径は,2019年産が有意に小さく,負の相関があった.餡の平均粒子径は,登熟期間前半と正の相関がみられたが,年度間で有意差は認められなかった.豆の吸水率は,16〜22時間後において2017年産が有意に低く,正の相関があった.60分煮熟後の破断荷重は,2017年産が大きく,負の相関があった.これらの結果より,登熟期間の気温が高いと,百粒重が軽くなり,種皮の赤味度が低下,デンプン糊化温度が上昇,デンプン粒子径が小さくなることが示唆された.今後,日照時間,降水量との関係や,煮熟時間や物性に与える影響について検討する予定である.

  • 中村 千春, 近藤 翼, 二山 幸子, 谷口 明日香, 小林 理恵
    セッションID: A-15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】これまでに雑穀粉を使用した天ぷら衣の健康機能性を検討した中で,普通ソバ全層粉を用いた天ぷら衣は小麦粉に比べ高い抗酸化能を示した。一方で,その衣の色は灰褐色を呈したことから天ぷら衣としての色の嗜好性は低かった。これをふまえ,高い抗酸化能を維持しつつ嗜好性を向上させるため,抗酸化能は高くないものの色白の普通ソバ内層粉に,食用ソバの中でも抗酸化成分のルチンを豊富に含む韃靼ソバを少量配合することが有効であると仮説を立てた。本研究では各種ソバ粉および配合ソバ粉で調製した揚げ衣の抗酸化能を比較し,ソバ内層粉と韃靼ソバ粉の配合効果を検証した。

    【方法】試料は,普通ソバ内層粉,全層粉,外層粉および韃靼ソバ粉の4種と,内層粉:その他ソバ粉を9:1で配合した3種とし,各揚げ衣の抗酸化能を測定した。各揚げ衣は凍結乾燥後,70 v/v%エタノール溶液を用いて37℃で30分間加熱抽出を行い,その上澄みを測定試料とした。抗酸化能は,SOD様活性およびペルオキシルラジカル捕捉活性から評価した。

    【結果】普通ソバ内層粉に韃靼ソバ粉を配合した揚げ衣の抗酸化能は,SOD様活性で 77.2 U/mL,ペルオキシルラジカル捕捉活性のIC50値は 2.7%であった。このSOD様活性の値は,普通ソバ内層粉およびいずれの配合ソバ粉揚げ衣よりも高かった。しかし,ペルオキシラジカル捕捉活性では,普通ソバ内層粉揚げ衣と比べると優れた値であったものの,配合ソバ粉揚げ衣間では有意な差は認められなかった。2つの活性酸素の消去機構において影響を及ぼす物質に違いがあることが推察されたが,普通ソバ内層粉を使用して白色に仕上げた天ぷら衣の抗酸化能を向上させるために,韃靼ソバ粉を配合することは合理的であると考える。

  • 友竹 浩之, 郡 俊之
    セッションID: A-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】そばタンパク質は必須アミノ酸含量とバランスが優れた良質のタンパク質とされてきたが、消化性が低いことが欠点であると指摘されてきた。 我々は、そばに含まれる消化抵抗性タンパク質(レジスタントプロテイン)が、脂質代謝改善作用などの有用な機能性をもつことを明らかにしてきた。また、ラットを用いた実験において、そばタンパク質を摂取したラットの糞中胆汁酸排泄が増加することを報告している。 本研究では、そば加工品およびその未消化物の胆汁酸結合活性について調べることを目的とする。

    【方法】そば加工品は乾燥後、ミルで粉砕したものを試料として用いた。各試料は、タウロコール酸ナトリウムを含むトリス緩衝液に懸濁した後、室温で2時間振とうしながら反応させた。遠心後の上清に含まれる非結合性の胆汁酸量を市販のキットまたは、ガスクロマトグラフィーによって測定し、各試料の胆汁酸結合活性を算出した。

    【結果・考察】そば加工品やそれらの未消化画分は、胆汁酸結合活性を有していることがわかった。とくに、タンパク質を多く含む製品や消化抵抗性タンパク質の活性が高かった。活性画分をさらに分離していくと、脂溶性の画分が、最も高い活性をもつことがわかった。  以上のことより、そばレジスタントプロテインの脂質代謝改善作用のメカニズムの1つとして、胆汁酸結合活性が関係している可能性が示唆された。

  • 露久保 美夏, 臼田 圭織, 前原 海斗
    セッションID: A-18
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】本研究ではブラックココアとピュアココアを用いてスポンジケーキを調製し、できあがりに与える影響を明らかにすることを目的とした。

    【方法】鶏卵、グラニュー糖、薄力粉、無塩バターを用いて調製したスポンジケーキをコントロールとし、薄力粉をピュアココアまたはブラックココアでそれぞれ置換したスポンジケーキを調製した。調製方法は、鶏卵を湯煎後、スタンドミキサーにて攪拌、グラニュー糖を加えさらに攪拌してフォームを調製した。フォームに粉類を加え攪拌し、溶かしバターを加えさらに攪拌しバッターを得、焼成した。測定項目は、試料のpH測定、水分吸着率、バッター比重、焼成前後の周囲と中心の高さ、色、比容積(体積/重量)、外観観察、水分、顕微鏡観察、物性測定(硬さ、凝集性)形均整率(周囲高さ/中心高さ)とした。

    【結果・考察】バッター比重は、コントロールに対してピュアココア、ブラックココア共に添加量の増加に伴い増加傾向を示した。ココア粉末の顕微鏡観察では、ピュアココアよりもブラックココアの方が粒子が小さく、より分散している様子が確認された。比容積は、ピュアココアでは置換率20%で、ブラックココアでは、置換率10%で最大となった。硬さは、両ココアとも添加量の増加に伴い増加した。形均整率は、ピュアココア、ブラックココア共に添加量20、30%では減少し、ケーキ中心部が隆起していた。ブラックココアを用いたスポンジケーキはバッター比重が大きく、膨化率が低く膨らみが悪く、硬くなるということが分かった。これは、ブラックココア粉末の粒子の大きさが影響していると示唆された。

  • 西成 勝好, Zhang Ke, Fang Yapeng, Dou Zulin
    セッションID: A-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】誤嚥性肺炎による死因は高齢者においてはかなり高いことが報告されている。必要以上に食塊の粘度を高めることは嗜好性の低下につながり、咀嚼嚥下困難者の摂食意欲を減じ、脱水症状を引き起こし、栄養低下に陥る。テクスチャコントロールのために澱粉系増粘剤を用いると唾液のアミラーゼにより有効性が失われるため、非澱粉系増粘多糖類が広く用いられている。安全性、栄養性、嗜好性を満たす条件を求めて、マイクロゲルについて検討する。

    【方法】微生物多糖類であるキサンタンガムは良好な成績を収めているが、今回は日本でも広く用いられてきた海藻多糖類である寒天の可能性を調べた。寒天水溶液をチューブ中に蠕動移送し、大量かつ安価に寒天のマイクロゲルを製造する方法を用いた。ビデオフルオログラフィーにより、異なる病因により嚥下困難になっている方々の診断において、このマイクロゲルの有効性を検討した。この方法は中山大学附属第三医院の倫理委員会により承認されている。

    【結果】寒天濃度の増加に伴い、マイクロゲルの降伏応力は増加した。定常ずり粘性測定、微小変形振動測定による評価では、寒天ミクロゲルは比較的低濃度でキサンタンガムと同程度の粘性,粘弾性を示した。本研究による結果は各種症状(高齢,頭頚部癌,パーキンソン病,脳卒中)により引き起こされる誤嚥の重症度(Penetration-Aspiration Scale)が粘度増加に伴い減少するという報告と合致するものと考えられ、寒天のマイクロゲルは誤嚥防止に有望であると期待される。今後、各種の栄養成分および風味成分を加えて、嗜好性の優れた多様な食材の提供をめざす。

  • 中川 裕子, 裾分 希, 高橋 智子, 大越 ひろ
    セッションID: A-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】施設や病院で提供される食形態の中で、嚥下訓練食となる均質なゼリー状食品の調製にはこれまでゼラチンが主に利用されてきた。近年は温かい状態で食材を固形化するものや調理に時間がかからないものなど安全に食事を楽しむために数多くのゲル化剤が開発されている。そこで本研究では、重湯ゲルを調製し、ゲル化剤の種類による飲み込みやすさや美味しさ、嚥下時筋活動について検討した。

    【方法】重湯にゲル化剤としてゼラチン((株)フードケア)、ゼラチン寒天(伊那食品工業(株))、まとめるこ((株)クリニコ)の3種を、テクスチャー特性の硬さが同程度となるよう添加し調製した。調製した重湯ゲルについて、力学的特性としてテクスチャー特性および流動特性の測定を行い、官能評価(べたつき、口どけ、飲み込みやすさ、おいしさ)および嚥下時筋活動測定との関連性を検討した。

    【結果・考察】 重湯ゲルの10℃における硬さは、いずれも嚥下困難者用食品許可基準Ⅰの範囲である2.5×103N/㎡程度であった。流動特性では、10℃の粘度は高い順にゼラチン、ゼラチン寒天、まとめるこであった。温度が高くなるにつれ粘度は低下し、ゼラチンが含まれている2試料は30~35℃ではゾル状となった。官能評価では、まとめるこが他の2試料よりも有意にべたつきが弱く、飲み込みやすいと評価された。筋活動測定では、被験者の個人差が大きいが、嚥下時筋活動量がまとめるこが小さくなる傾向がみられた。テクスチャー特性の硬さが同じでも、粘度が異なると、べたつきや飲み込みやすさに影響することが明らかとなり、本研究では、グルコマンナン系ゲル化剤がべたつきは弱く、飲み込みやすいことから好まれた。

  • 黒飛 知香, 干野 隆芳, 矢守 麻奈
    セッションID: A-21
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】本研究では,トロミ付与水溶液のテクスチャー特性について,ラインスプレッド(LST)法と新規手法であるショートバックエクストルージョン(SBE)法を用いて官能評価に対応する力学的特性について検討した.

    【方法】市販トロミ調整食品は,主原料の異なる4種類(キサンタンガム系2,グアーガム系1,デンプン系1)を用いた.試料は,溶媒(水)にキサンタンガム系・グアーガム系は日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021(とろみ)の「とろみ3段階区分表」,デンプン系はとろみ目安(ポタージュ状,ハチミツ状,ジャム状)に基づく濃度をそれぞれ添加,調製した12 種類を用いた.評価は,官能評価およびLST法,SBE法をいずれも品温20℃にて実施した.

    【結果】官能評価結果は,全ての項目において試料間で有意差(p<0.05)が認められた.LST法の結果は,キサンタンガム系のみLST規格値内であり,グアーガム系・デンプン系は規格値外であった.一方,SBE法からは,得られた粘度関連特性値(降伏値 σ0,粘性定数 K,流動性指数 n)より,トロミ調整食品の添加濃度の増加に伴い,かたく,粘性が増し,官能評価と同様の傾向が認められた.さらに,見かけ粘度を算出した結果,官能特性ごとに異なるずり速度時における見かけ粘度が影響していることが明らかとなった.官能評価値と種々の物性値とのピアソンの相関係数からは,n以外の物性値で良好な相関が認められた.LST法は試料自体の広がりやすさであるのに対し,SBE法は試料の流動特性を踏まえた粘度測定が可能である.本研究より,トロミ付与水溶液のテクスチャー特性評価にSBE法が有用であることを示すことができた.

  • 安藤 真美, 北尾 悟, 野原 綾, 平原 嘉親, 永崎 直樹
    セッションID: B-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】生醤油は火入れを行っていないため,鮮やかな色や穏やかな香りだけでなくタンパク質や澱粉分解系の酵素活性が残存する特徴がある。生醤油は単独で使用することもあるが,他の調味料と組み合わせて調理する場合が多く,調味料の種類によっては生醤油に残存している酵素活性が影響を受ける可能性がある。そこで今回は,他の調味料と併用した料理における生醤油の調理特性を明らかにするため,実際の調理を想定したモデル実験系において,各種調味料による生醤油の各種酵素活性への影響を検討した。

    【方法】醤油は,キッコーマン製こいくち生醤油を使用した。併用した調味料は上白糖,みりん類(本みりん,みりん風調味料,煮切り本みりん),料理酒,穀物酢とした。使用比率は各種調味料が一般的に使用される比率を基準に上下3段階に設定した。加熱温度60℃および100℃において加熱時間を1~60分と変化させ,各条件におけるプロテアーゼ活性(Folin呈色法)およびα‐アミラーゼ活性(α‐アミラーゼ測定キット:キッコーマンバイオケミファ社製)を測定した。

    【結果・考察】未加熱の場合,穀物酢併用時のみ酵素活性が低下した。60℃加熱した場合,上白糖,本みりん,みりん風調味料,煮切り本みりんの併用比率が高いほど,生醤油に含まれる各種酵素活性がより残存した。この結果から各種調味料に共通して含有する糖質化合物が各種酵素に対して保護することが考えられた。生醤油に含まれる酵素類の効用を十分活用する調理を行う際は,他の調味料をはじめ併用する食材に含有する糖質化合物量,および加熱温度や時間などを考慮することが望まれる。

  • 湯浅 正洋, 烏山 菜摘, 古場 一哲, 松澤 哲宏
    セッションID: B-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】長崎県の離島である宇久島では,地元高校生が中心となり,漁協や県内大学と連携しながら離島の未利用魚介類で調製した魚醤を販売する取り組みが行われている.この魚醤調製上の問題として発酵期間が長い(24週間)ことがあげられる.本研究では,この魚醤の発酵期間の短縮を目指し,魚醤諸味への耐塩性微生物の添加と加熱処理の有用性を検討した.

    【方法】未利用魚介類はエソを使用し,従来法では,ミンチ状のエソ・米麹・20%(w/v)食塩水を混合して30℃・24週間発酵させた.発酵開始前に耐塩性乳酸菌(Pediococcus halophilus)と耐塩性酵母(Zygosaccharomyces rouxii)を接種して発酵させたもの(菌添加法),および材料混合後55℃・15時間の加熱分解後に耐塩性微生物を添加したもの(加熱後菌添加法)を,従来法と同様に調製した.発酵2・4・8・12・16・20・24週目に諸味を回収して火入れ後,蒸発量を蒸留水でメスアップした.各試料の主要な化学成分を分析し,回収時期と発酵条件間で比較した.

    【結果・考察】発酵の指標であるpHの低下は,菌添加法と加熱後菌添加法では2週目で確認されたが,従来法では12週間を要した.従来法では8週目まで濁りが観察されたが,他の2種では4週目で濁りが消失した.全ての時期で従来法の揮発性塩基性窒素が他の2種よりも高かった.タンパク質分解の指標であるホルモール窒素は,菌添加法よりも加熱後菌添加法で低かった.以上より,耐塩性微生物は魚醤の発酵速度を上げ,魚臭さを低減できる可能性が示唆された.一方,魚醤諸味への加熱処理は,タンパク質分解速度が低下したことから不要であることが明らかになった.

  • 香川 知美, 末原 憲一郎, 亀岡 孝治, 大引 伸昭, 湯川 徳之, 小山 鐘平, 橋本 篤
    セッションID: B-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】だしは日本料理に欠かせないものであり,料理に適しただしが求められるとともに,だしの特性に基づいた調理が重要となる。代表的なだしの一種である昆布だしに関しては,昆布の特徴とともに抽出温度も調理において重要な因子となる。一方,昆布だしの特性評価に関してうま味成分の代表であるアミノ酸に関する研究例が多く,雑味に影響を及ぼすと考えられているミネラル成分などの複雑性を考慮した研究例は少ない。本研究では,昆布だしのうま味成分であるグルタミン酸濃度と蛍光X線・紫外・可視・赤外分光情報の経時変化に及ぼす抽出温度の影響について検討し,昆布だしの抽出挙動の把握を目的とした。

    【方法】ミネラルウォーター1 Lが入ったフリーザーバッグを低温調理器(BONIQ Pro,葉山社中)の水槽中で加熱し,設定温度(60℃,80℃)に到達した後,真昆布(北海道東戸井産1等級)30 gを投入した。抽出開始後,10分毎に60分までだしをサンプリングし,グルタミン酸濃度,蛍光X線スペクトル,紫外・可視吸収スペクトル,赤外吸収スペクトを測定した。

    【結果・考察】抽出温度は抽出成分量だけはなく,抽出される成分バランスに影響を及ぼすことがわかった。つまり,60℃・60分の抽出を基準とした場合,同じ昆布を使用したとしても抽出温度と時間を変えることでの異なる特性の昆布だしを抽出できることが示された。つぎに,各測定データを60℃・60分抽出しただしの測定値に標準化して主成分分析を行ったところ,第一主成分は抽出時間,第二主成分は抽出温度に対する変化に関係があるものと考えられ,マルチバンド分光情報を用いることにより複雑なだしの情報を把握できる可能性が示唆された。

  • 柴 美佐紀, 坂本 薫, 森井 沙衣子, 木村 敏文, 村松 康司, 平松 佳恵
    セッションID: B-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】グラニュ糖やザラメ糖はスクロース結晶であり、その純度は99.9%以上と非常に高い。しかし、その融点には大きく差があるものが存在する。本研究室において自動融点測定装置により多種類の試料を測定したところ、融点に40℃程度差があるものも観察され、示差走査熱量分析(DSC分析)においても、吸熱カーブにおける差が認められた。これらの差異は、砂糖を使った調理品の品質に大きく影響している。しかし、DSCにおいて多種類のスクロース結晶の分析を行っている報告はない。そこでDSC分析により、グラニュ糖とザラメ糖の熔融状況を詳細に検討することを目的として実験を行った。 【方法】スクロース結晶試料として、メーカーやロットの異なるグラニュ糖22種類、ザラメ糖13種類を用いた。DSC分析は、Thermo plus EVO2試料観察DSC(RIGAKU)を用いて温度範囲20℃~203℃、昇温速度は10℃/minで測定した。また、試料観察ユニットにより試料の熔融状況を観察し、Image-Jを用いて、得られた観察画像の時間経過に伴う変化を解析した。

    【結果・考察】試料観察ユニットによる観察画像の変化の様子と吸熱カーブの形状は一致し、この吸熱ピークは熔融に伴う融解熱によるものであると考えられた。画像の変化は肉眼では確認が困難であるが、画像解析により明確にすることができた。DSC分析の結果、熔融開始温度は約140℃~180℃と試料ごとに大きな幅があり、吸熱カーブの形状も大きく異なった。しかし、熔融に必要な総エネルギーは一定であり、35種類のスクロース結晶のうち1種類を除いて有意差は認められなかった。

  • 西田 毅, 山口 智, 中里 圭佑, 小島 裕也, 李 潤珠, 鈴木 徹, 塩澤 博直
    セッションID: B-5
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】マヨネーズは、一般に凍結や加熱により分離するとされる。凍結分離は、油脂の結晶化に起因することが報告されている。加熱は、袋詰めの低温殺菌による冷蔵のポテトサラダなどの製造で実際にはおこなわれている。しかし加熱によるマヨネーズの自体の変化については、100℃まで安定とされる報告があるものの詳細は不明である。実用上100℃以上の加熱が求められることも多い。マヨネーズの加熱条件による変化を検討した。

    【方法】マヨネーズは、市販の卵黄タイプのものを用いた。プラスチックチューブに詰めた後、60℃、70℃、80℃、90℃で1時間加熱した。121℃は、レトルト袋に詰め高圧加熱しF値を測定した。油の分離状態、粒度分布計による平均粒径、顕微鏡による観察、圧縮による硬度の測定を行った。

    【結果・考察】90℃までの加熱では、表面の乾燥と思われる分離以外には、分離しなかった。121℃では、一部分離が見られたが、冷凍のように完全に相分離はしなかった。平均粒径は、60℃では、2μmと変化がなかったが、70℃、80℃では、5μm前後、90℃では、10μmと大きくなり、121℃では、分離していない部分は、10~20μmだった。硬さは、80℃以上で温度により増加し、90℃以上では、ゲル化によるクラックが見られた。加熱中に撹拌することで、80℃以上で分離が見られた。加熱したマヨネーズを凍結分離して再乳化をおこなった。卵黄の凝固温度を超えた90℃までは、再乳化したが、121℃では、乳化力が低下した。マヨネーズの加熱による分離は、卵黄の熱変性よりも物理的な力が加わることや、水分の減少により粒子間の距離が縮まることが、促進している可能性が示唆された。

  • 巴山 澪, 坂本 薫
    セッションID: B-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】酒粕は、タンパク質、食物繊維やビタミンなど豊富な栄養素があると知られている。先行研究で、ACE阻害活性を有するペプチドやS-アデノシルメチオニンなど多くの機能成分を含み、さまざまな生理機能を持つことが明らかになっている。しかしながら、粕漬けや粕汁などの伝統的な食品に従来活用されていた酒粕は、食生活の変化により需要が減少している。本研究では、酒粕を有効利用できる調理方法について検討するために、保存や加熱による成分の変化について検討した。

    【方法】試料は、2021年兵庫県産山田錦の酒粕と、それを約1時間踏み込み、常温で約2ヶ月保存した踏み込み粕とした。また、3年保存の踏み込み粕を3年粕として実験に供した。加熱試料については、酒粕を送風定温乾燥機にて焼成し、調製した。保存による色調変化を観察するため、色差を測定した。酒粕と踏み込み粕について、フォ-リンチオカルト法によりポリフェノール量、DPPHラジカル活性消去能にて抗酸化能測定を行った。

    【結果・考察】保存によりL*値が低下、b*値が上昇し、3年粕は茶褐色に呈色した。また、ポリフェノールの検出量および抗酸化能の増加が認められ、両者に強い正の相関が見られた(r=0.98)。酒粕の着色は、アミノカルボニル反応によるメラノイジン色素の生成が寄与していると考えられた。抗酸化能を有するメラノイジンの増加に加えて、酒粕の自己消化により、ポリフェノールが配糖体からアグリコンに変化し、抗酸化能の増加に影響したと推察した。さらに焼成後において抗酸化性物質検出量は増加した。これらの結果は、酒粕の成分を活かした調理方法を検討する上で役立つと考えられた。

  • 富澤 歩美, 阿部 雅子, 曽根 保子, 小林 亘, 小澤 好夫, 綾部 園子
    セッションID: B-7
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】カリンは豊かな芳香を持つ果実であるが, 果肉が硬く強い渋みを持つため生食には向かず, 果実酒やはちみつ漬け, ジャム類(ゼリー)として利用されている。カリンの機能性に関するさまざまな報告はあるが, 実際に喫食するゼリーの機能性に関する報告は少ない。我々は炎症を誘導する酵素であるシクロオキシゲナーゼ2(COX2)の活性阻害作用は, カリンをエキスゼリーに加工しても保持されることを報告した。さらに本研究ではTHP-1細胞由来のマクロファージを用いて炎症抑制作用を検討した。

    【方法】阻害剤は, カリン果実からカリンエキスを熱水抽出し, 除ペクチン後, カリンエキスゼリーの製造と同様に糖を添加して煮詰め, 樹脂(アンバーライトXAD7)で粗精製した糖添加カリンエキス, 同様に樹脂で粗精製したカリンエキスおよびアスコルビン酸を用いた。THP-1細胞はマクロファージへの分化を誘導し, DMSOで溶解した阻害剤に曝露させた後に Lipopolysaccaharides (LPS)を添加して炎症を惹起させて, リアルタイムPCR法で炎症性メディエーターの遺伝子発現を解析した。

    【結果】各阻害剤に暴露後, LPSで炎症を惹起させた結果, IL-1, IL-6, IL-8, TNF-α, COX2はLPSの刺激により炎症が惹起されたことが確認できた。カリンエキス添加区ではIL-1, IL-6, IL-8, COX2の遺伝子発現量が低下し, IL-1,IL-6は有意であった。糖添加カリンエキスはカリンエキスよりも差は小さいが遺伝子の発現量が低下しており, IL-6は有意であった。このことからカリンエキスは炎症性メディエーターの発現を阻害し炎症抑制作用があることが示唆され, ゼリー加工してもその効果は保持されることが考えられた。

  • 小林 亘, 富澤 歩美, 倉若 美咲樹, 渡辺 章夫, 阿部 雅子, 綾部 園子
    セッションID: B-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】チコリー(学名: Cichorium intybus L.)はヨーロッパ原産のキク科キクニガナ属に分類される紡錘形の葉菜である。日本では1990年以降に栽培され始めたが,出荷先が主に外食産業であることなどの理由から,一般家庭においては馴染みが薄い。そこで本研究では,チコリーの利用・用途拡大を目指し,その有用な加工方法を明らかにするために,加熱条件下における成分変動について網羅的な解析を行った。

    【方法】一般市場から入手したチコリー「Vintor」を凍結乾燥後,ミルミキサーを用いて粉砕および均質化し,分析用粉末試料とした。精秤した粉末試料について,湿重量換算の純水を加え,4℃,30℃,60℃,100℃の温度条件下および電子レンジ(500 W, 30秒×2)で処理を行った。経時的にサンプリングした試料について,ガスクロマトグラフ-質量分析装置を用いて,代謝物の一斉分析を行った。

    【結果・考察】定量した84成分について,主成分分析を行った結果,30℃,60℃の処理区および100℃-5分の処理区にγ-アミノ酪酸,ピログルタミン酸,ピルビン酸が特徴的な成分として見出された。次いで,チコリー中の成分変動を解析した結果,30℃および60℃の処理区において,γ-アミノ酪酸が経時的に増加することが明らかとなった。また,60℃-30分および100℃-5分の処理区において,バリン,アスパラギン,リンゴ酸,クエン酸などの成分が有意に増加することが明らかとなった。さらに,100℃-60分の処理区において,リノール酸やα-リノレン酸などの脂肪酸類が有意に減少することが明らかとなった。以上の結果から,60℃で30~60分および100℃で5分の加熱条件において,チコリーの高付加価値化が可能であると示唆された。

  • 池ヶ谷 篤, 豊泉 友康, 小杉 徹
    セッションID: B-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】イチゴジャムを製造する際にはペクチンによる硬化の促進や色を鮮やかにする目的でレモン果汁やクエン酸を添加することが多い。しかしながら、これらによる有機酸含有量の増加は味と嗜好性にも影響を及ぼすと考えられるため、調査した。

    【方法】 有機酸含量が異なる(0.8〜2.0%)ジャム試料を調製し、官能評価によって甘味、酸味、嗜好性を評価した。官能評価は「ジャムのみ」、「パンに塗る」、「ヨーグルトに添える」の3つの方法で実施した。評価者の日常的なジャムの利用法についても併せて調査した。

    【結果・考察】 官能評価の結果、ジャムの甘味の強さは有機酸含量の増加とともに低下し、酸味の強さは有機酸含量の増加とともに高まった。これらの差は「ジャムのみ」で評価した際が「パンに塗る」、「ヨーグルトに添える」で評価した際よりも明確に示された。

     また、嗜好性については「ジャムのみ」で評価した際は有機酸含量による差は見られなかった。一方「パンに塗る」、「ヨーグルトに添える」については、全評価者で解析するといずれも差は見られなかったが、日常的な利用法によって評価者を分けて解析すると差が見られた。ジャムを日常的にパンに塗って食べる評価者は、パンに塗って評価した際には嗜好性に有意差が見られたが、ヨーグルトに添えて評価した際には差が見られなかった。一方、ジャムを日常的にヨーグルトに添えて食べる評価者は、ヨーグルトに添えて評価した際には嗜好性に有意差が見られたが、パンに塗って評価した際には差が見られなかった。これらの結果から、ジャムのように単独で利用しない食品の嗜好性を調査する際には評価者の食習慣を考慮する必要性が示唆された。

  • 松田 寛子, 佐藤 幸奈, 加藤 わかな, 林 恭平, 奈良井 朝子
    セッションID: B-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】精神安定作用などの機能性を有するγ−アミノ酪酸(GABA)は、調理加工工程において、ジャガイモ塊茎(以降、ジャガイモ)内で含有量が変動すると報告されている。植物生体内でのGABA生成は、Ca2+とピリドキサールリン酸(PLP)存在下でグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)の触媒作用によりグルタミン酸(Glu)が脱炭酸されて得られる。ジャガイモの調理加工方法は多岐にわたり、肉じゃがやスープさらには菓子など様々な料理・加工品が知られている。しかし、ジャガイモ中のGAD活性を明確した上で、調理加工工程での食材間相互作用に着目したGABA 生成促進の最適条件に関する知見は乏しい。よって本研究では、GAD特性に着目した高GABAジャガイモ料理のレシピ開発を目的とした。

    【方法】ジャガイモ(男爵)を用いてミキサー磨砕し、硫酸アンモニウムにより塩析することで粗酵素液を得た。得られた粗酵素中のGAD活性において、酸化防止剤の添加有無や、pH依存性・pH安定性および温度依存性・温度安定性、さらにはPLP, CaCl2, Glu-Naの必要濃度範囲を検討した。さらに、基本レシピをもとにGAD特性を反映した条件を組み込んだ上でスープを作製した。すべての検討は、反応停止後に蛍光誘導体化したGluとGABAをHPLCに供し定量分析した。

    【結果】ジャガイモ粗酵素に含まれるGADの最適温度と最適pHは、それぞれ40~60℃とpH 5.0~5.5であった。また、ジャガイモ中のGABA生成においてはCa2+は必須ではないことが示唆された。スープについては今現在検討中である。

  • 田村 翔平, 石田 一晃, 篠崎 純子
    セッションID: B-11
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】冷凍惣菜は長期保管ができ、解凍してすぐに喫食できる便利な食品である。冷凍惣菜の中でも需要の高い炒め物には野菜が多く使用されるが、加熱調理と冷解凍によりその食感が軟らかくなることがある。これまでの検討で野菜の食感軟化を抑える調理法として過熱水蒸気加熱が有効であることを見出した。今回、フライパンで炒めたような炒め物と同等の品質(食感・外観)を過熱水蒸気加熱で実現するために、ニンジンを対象に検討を行い、物性および外観(表面)から影響を比較した。

    【方法】直径30mmの丸型で型抜きした、厚さ10 mmのニンジンを、各種方法(フライパン調理、過熱水蒸気加熱調理、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調)で加熱し、冷蔵庫(4℃)で冷却した後、急速凍結機(-40℃)で冷凍した。レンジアップ解凍後、表面外観の目視確認およびクリープメータ(山電)での破断荷重測定を実施した。また解凍後、75%エタノール溶液でサンプル表面の油脂を除去し、レーザー顕微鏡(KEYENCE)での撮影・解析を実施した。

    【結果・考察】目視確認の結果、フライパン調理では、ニンジン表面が粗い様子であるのに対し、過熱水蒸気加熱調理では、表面がなめらかな様子であった。一方、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調すると、表面が粗い様子になり、フライパン調理に近い外観になった。破断荷重測定の結果においても、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調すると、目標品質であるフライパン調理と同等の硬さであった。また、レーザー顕微鏡解析の結果、フライパン調理に比べ、過熱水蒸気加熱調理では表面のSa値(表面の平均面からの高さの絶対値の算術平均)は低くなった。一方、過熱水蒸気加熱調理後、短時間油調すると、フライパン調理と同等のSa値を示した。

  • 秋山 聡子, 高岸 倫久, 池田 昌代, 鈴野 弘子
    セッションID: B-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】野菜には、ミネラルやポリフェノールが豊富に含まれている。これらは生体内において様々な生理機能を発揮する。しかし、その必要量は喫食者の身体や疾病の状況により異なる。また、含有量は調理操作によって変化することが知られている。そこで本研究では、喫食者の状況により調理法を選択するための情報収集を目的に、日本人の摂取頻度が高い根菜類に着目し、調理操作の違いがミネラルおよびポリフェノール含有量に与える影響について検討した。

    【方法】だいこん、ごぼうおよびれんこんを試料として、煮物の調理過程をモデルとした操作を施した。すなわち、だいこんは、半月切りにし、下ゆでなし、水または米のとぎ汁で下ゆで後、水で煮熟した。下ゆでの有無に関わらず、合計の加熱時間は15分とした。ごぼうは、斜め切りまたは乱切りにし、水または酢水で浸漬後、水で15分間煮熟した。れんこんは、乱切りにし、水または酢水で浸漬後、水または酢水で10分間煮熟した。煮熟後の試料は、原子吸光光度計でミネラル量を、UPLCでポリフェノール量を測定した。さらに、走査型電子顕微鏡で組織構造を観察した。

    【結果・考察】いずれも煮熟後のミネラルおよびポリフェノール量は減少した。だいこん中のNa、K量は、下ゆでをすると減少した。ごぼう中のK量と1,5-ジカフェオイルキナ酸量は、斜め切りに比べ表面積が大きい乱切りで減少した。ごぼうにおいて、煮熟水に触れる表面部は、内部に比べ、組織の加熱分解が大きいことが観察された。れんこん中のK、Ca、Mg量は、酢水で煮熟した方が減少したが、総ポリフェノール量は水で煮熟した方が減少した。れんこんでは、水の煮熟に比べ、酢水の煮熟は、細胞間の分離が小さいことが観察された。

  • 岸川 皓典, 鈴木 理恵, 神田 祐輔, 勝又 忠与次
    セッションID: B-13
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】 玉ねぎは料理の種類を問わず広く食される素材であり、生食だけでなく煮る・炒める・揚げるなどの様々な調理法が知られている。中でも玉ねぎをじっくり炒めることで調理される「あめ色玉ねぎ」は、特徴的な甘い風味と調理感を有し、シチューやカレーを始めとして様々な料理で用いられている。

    演者らはあめ色玉ねぎ特有の甘く濃厚な風味の正体を解明することを目的に検討を開始した。

    【方法】 炒め玉ねぎの香気分析にはAEDA (Aroma extract dilution analysis) 法を用いた。サンプル玉ねぎには北海道産黄種の晩生玉ねぎを用い、種々調理時間の異なる炒め玉ねぎを調製、最も好ましい風味や色調を持つものを官能評価により決定し、AEDA分析サンプルとした。また調理時間の異なる炒め玉ねぎの成分分析をHPLC法により行った。

    【結果・考察】 AEDA分析の結果、玉ねぎ特有の刺激臭を持つスルフィド系化合物などを始めとして、甘い香気を持ったフラン系化合物などが高いFDファクター(Flavor Dilution factor)で検出された。特にフラン系化合物の中でも、HDMF (Hydroxy-2,5-dimethyl-3 (2H)-furanone)が最も高いFDファクターを有し、全体の甘い香気に最も寄与していることが判明した。また、調理時間の異なる炒め玉ねぎのHDMF濃度をHPLCにてそれぞれ定量、比較した結果、経時的に増加する傾向が見られた。 HDMFはメイラード反応により生成することが報告されている化合物であり、甘く重たい香気を持つ。本検討より、玉ねぎの加熱工程中のメイラード反応により生成したHDMFが、あめ色玉ねぎ特有の甘く濃厚な風味の形成に重要だと考えられる。

  • 石川 伸一, 桑原 明
    セッションID: B-14
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】炭酸カルシウム(CaCO)は卵殻等の主成分であり、耐火性や耐水性等の特性を持つ。糖衣食品のように人工的に食材を炭酸カルシウムで包むことで、これらの特性を食品にもたらすことが期待される。また、栄養素を逃さない壁としての役割や、オブラートのような他の可食フィルムとは異なる硬さの食感も付与する。本研究では、溶液内で食品の表面に炭酸カルシウム結晶を形成させ、石灰化させることで、食感や保存性などを付与し、付加価値を高めること、および新たな調理法の一つとして確立することを目的とした。

    【方法】CaCl+NaCO→CaCO↓+2NaClの反応によって、試料(皮を剥いたトマト、人工イクラ)表面に炭酸カルシウム結晶(殻)を生成させた。試料が入った塩化カルシウム水溶液に炭酸塩水溶液を一気に合わせ、一定時間放置する「即時法」、ポンプを用いて炭酸塩水溶液を滴下させ、時間をかけて液体を合わせる「滴下法」の2種類の実験を行った。一定時間後の試料の灰分測定、電子顕微鏡観察により、結晶の形成量の測定および形態観察を行った。人工イクラを用い、ざらつき、触感の良さ等の5項目について順位法による官能試験を行った。

    【結果・考察】ミニトマトにおける灰分量は、滴下法によるものが多い結果となった。電子顕微鏡観察の結果、即時法の炭酸カルシウム殻では丸いバテライト型と角張ったカルサイト型の結晶がみられ、滴下法の炭酸カルシウム殻では角張ったカルサイト型のみがみられた。官能試験の結果、ざらつき、なめらかさ、食感の良さの順位付けがパネル同士で有意に一致した。パネルは微小な炭酸カルシウム結晶の形状の違いを認知している可能性が示唆された。

  • 後藤 咲季, 郡 さくら, 岡 千聖, 福永 祥子, 升井 洋至
    セッションID: B-15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】フードジャーは昼食の食事として広く利用されている調理器具である。フードジャーは食材を加温または湯を加えて密閉するだけの簡便な調理が可能であり,携行の利便性,保温性に優れている。これらの調理特性を活かすことで,高齢者や乳幼児用の食事,さらに一般治療食として食される粥調理の簡易化が期待できる。本研究では,フードジャーを用いた白粥調理において,搗精度や精米時期の違いが糖組成および呈味成分に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。

    【方法】粥調理にはフードジャー(サーモス製,JBI-272),(象印製,SW-GB36-DA)を用いた。玄米(ヒノヒカリ,2020年度,大阪府産)を5分づき,7分づき,上白米にそれぞれ精米したものを試料とした。上白米(ヒノヒカリ,2021年度,大阪府産)を精米後,すぐに調理に用いたものを「新米」,4℃で13日間貯蔵したものを「保存米」とした。白粥は,精米30 gを洗米後,熱湯300 mLを加え,3時間保温調理を行うことで作成した。粥調理後,重湯を遠心分離し,上清の全糖量,還元糖量を測定した。上清中の糖組成はHPLC,呈味成分は味覚識別装置(アルファモス製,ASTREE)により分析を行った。

    【結果・考察】搗精度の違いによる影響として,7分づき,上白米,5分づきの順に全糖量が多く,還元糖量に差はみられなかった。糖組成分析の結果,上白米粥の上清中にスクロースの存在が確認された。スクロース含有量は,5分づき>7分づき>上白米を示し,搗精度の違いによって異なることがわかった。また,精米時期の違いによる影響として,新米と比較して保存米は酸味と塩味が強く,うま味が弱くなることが確認された。精米後の保存期間の経過により,呈味成分が変化することが明らかとなった。

  • 升井 洋至, 後藤 咲季, 江川 真穂, 三宅 真子
    セッションID: B-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】 近年,「単身世帯」の増加により,調理の簡略化や時短調理など社会生活での調理方式が変化してきている。主食である米の炊飯方法では,電子レンジ炊飯や簡易電気炊飯器などが利用されている。これら炊飯米のおいしさの一因として,においが関与している。本研究では,電子レンジおよび簡易炊飯器による炊飯時のにおいへの影響を明らかにすることを目的とし,米の品種の違いや試料米の新古の影響について検討を行った。

    【方法】 試料は,2021年度産のヒノヒカリ,コシヒカリおよび4℃保存米 (2020年度産キヌヒカリ,ヒノヒカリ,コシヒカリ) を用いた。試料米に純水を加え,市販の「1合炊き用電子レンジ炊飯器」(スケーター製,UDGI),「おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器」(サンコー製,TKFCLBRC),「ミニクッカー」(パナソニック製,SR-MC03-w) を用いて炊飯を行った。米飯は冷却後に,におい識別装置 (島津製,FF-1A(FF-2A)) を用いてにおい分析を行い,比較検討を行った。試料米,白飯の色差測定は,測色色差計 (日本電色工業製,NE4000) により行った。

    【結果・考察】 炊飯器具によるにおいの強さは,弁当箱炊飯が最も強く,次いで電子レンジ炊飯,ミニクッカーの順で弱くなった。品種間の比較では,キヌヒカリ,コシヒカリ,ヒノヒカリの順に,においが強くなることが確認された。米の搗精の違いで比較を行うと,ヒノヒカリおよびコシヒカリにおいて,「3分づき」でにおいが最も強かった。米の品種により,含有する成分やその割合が異なることから,品種によって適切な搗精度合いやその炊飯方法が異なることが考えられた。新古の比較では,匂いの質は変化しないが,においの強さは新米より古米の方が強い結果を示した。

  • 戸松 美紀子, 水馬 義輝, 佐藤 英男, 林 秀之, 山本 克也, 野村 知未, 杉山 寿美
    セッションID: B-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】ガスダッチオーブンは,ガスグリル内でダッチオーブンを加熱するものである。我々はこれまでにその特徴である高温緩慢加熱によって,煮物やパンの嗜好性が高くなることを報告した。本報告は,さつま芋「なると金時」を試料として調製した焼き芋で検討を行った。

    【方法】「なると金時」の焼成はダッチオーブン(デリシア,リンナイ)では25分の焼成と20分の余熱,オーブントースター(やきたて,タイガー魔法瓶)では45分の焼成を行った。水分量は水分計で,糖量はフェニルヒドラジン試薬を用いたポストカラム蛍光誘導体化法で,破断,圧縮試験はクリープメーターで行った。官能評価は,女子大学生をパネルとして行った。また,焼成時の庫内温度とさつま芋の内部温度も測定した。

    【結果・考察】ダッチオーブンで焼成した焼き芋は,オーブントースターと比較して重量減少が大きく,外周部の水分量が低かった。また,有意ではないもののマルトース量が多かった。さらに,ダッチオーブンで焼成した焼き芋の外皮の破断強度は大きく,内部の付着性は小さかった。ダッチオーブンはオーブンと比較して,さつま芋内部の温度上昇が加熱当初は遅い一方で急激に上昇し,結果,30~60℃の通過時間が短く,高温での焼成時間が長かった。そのため,糖量やテクスチャー特性の差は,水分減少が大きいためと考えられた。官能評価では,皮ごと食べた時に硬く,水っぽくなく、ほっこりして,甘味,香りが強いと評価され,総合評価でも好ましいとされた。以上から,ガスダッチオーブンでの焼成は,焼き芋の水分減少と焼成感を大きくし,嗜好性を高めることが確認された。なお,この「なると金時」での結果は,「シルクスイート」の結果とほぼ一致していた。

  • 阿部 雅子, 小林 泰斗, 熊倉 慧, 松岡 寛樹, 綾部 園子
    セッションID: B-18
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】こんにゃくを用いた調理では、従来下処理が行われているが、近年では調理の簡便化が求められている。本研究では、市販こんにゃくを用いて下処理法の異なるこんにゃく調理品の特性を調べ、合理的な調理方法を探索することを目的とした。

    【方法】市販の板こんにゃく3商品について、下処理あり(ゆで、電子レンジ、乾煎り)と下処理なし(水洗いのみ)に区分し、おでんと雷こんにゃくを調製し試料とした。これらについて、味のしみ込み具合やにおいの強さを知るための成分分析(水分量、灰分量、食塩相当量、トリメチルアミン残存量)および物性(かたさ、凝集性、付着性、破断応力)を測定した。さらに、におい、味のしみ込み具合、歯ごたえ、嗜好などについて五段階評点尺度法による官能評価を行った。

    【結果・考察】おでんでは、全ての測定項目において、下処理の有無および方法の違いによる有意差はなく、水洗いのみでも味のしみ込み具合やテクスチャーに影響しないことが確認された。一方、雷こんにゃくでは、3商品のいずれでも乾炒り処理は、下処理なしおよびゆでに比べて水分含量は顕著に減少し、食塩相当量は高い値を示した。乾煎りにより脱水して調味料のしみ込みがよくなることが示唆された。また、においでは、水洗いのみに比べトリメチルアミン残存量はいずれの試料でも減少したものの、下処理法の違いによる有意な差は認められなかった。官能評価の結果、3商品を総合すると、乾煎りで有意に歯ごたえが強いと評価されたが、商品による違いもあった。以上の結果から、おでんのような煮込み料理では下処理は水洗いのみに簡略できること、雷こんにゃくのような炒め煮する調理では、水洗い後に乾煎りすることが有効であると考えられた。

  • 山本 淳子, 熊崎 稔子, 大森 有希乃, 森山 三千江
    セッションID: B-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】近年、黒米などの雑穀類の機能性などが報告され注目されている。これまで、岡崎市の黒米に着目し成分分析を行った結果、高い抗酸化性があることを見出した。そこで、本研究では黒米を粉末にして食パンに添加しその影響を調べることを目的として、成分や物性および嗜好性について検討を行った。

    【方法】黒米(紫黒米、うるち種)をミルサーで粉末にして製パンに用いた。製パンは、ホームベーカリーの食パンの配合を基本食パンとして、黒米粉末添加パンは、強力小麦粉の10%、20%、30%の黒米粉末を置換して調整した。色調は、色差計(日本電色)を用いL、a、b値を測定し、破断応力測定は、レオメーター(山電)を用いた。ポリフェノール量は、フォーリンデニス法、抗酸化活性はDPPH法、ミネラル量はイオンクロマトグラフ法で測定した。官能評価は、学生50名をパネルとして、外観、香り、食感、味、総合評価を項目として嗜好型官能評価を行い5点評点法と順位法で評価した。

    【結果・考察】色調は添加量の増加とともにL値の明度が減少し、a値が強くなった。破断応力ともろさは、黒米粉末添加量20%、30%で小さくなり、歯切れはよいが崩れにくいと考えられた。ポリフェノール量は、黒米粉末添加量の増加とともに増加し、同時に抗酸化活性も高くなったことから、抗酸化活性は、ポリフェノール物質に関与するものと考えられた。ミネラル量は、カリウム、マグネシウム量が黒米粉末添加により増加した。官能評価の結果は、黒米粉末添加量が30%では香りの評価がマイナスとなったが、その他の項目ではプラスの評価となった。黒米粉末を食パンに添加することで、機能性やミネラル量、嗜好性の向上が期待できると考えられる。

  • 築舘 香澄, 阿部 紗也加, 柳内 志織
    セッションID: B-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】近年、水出しの緑茶や紅茶が販売されている。これまでに水出し緑茶の味わいについての報告はみられるが、水出し紅茶の成分や嗜好性についての研究報告は見られない。我々はこれまでに、硬度の異なるミネラルウォーターを用いた水出し紅茶の成分分析や官能評価から、特定のミネラルウォーターで浸出した水出し紅茶は水色が濃く出るということを明らかにした。そこで本研究では、ナトリウムとカルシウムに着目し、その含有量と水出し紅茶に用いた際の紅茶水色の濃淡との関係性を明らかにすることを目的とした。

    【方法】試料にはダージリンを用いた。水は、ナトリウム量、カルシウム量に濃度勾配を付けた、炭酸水素ナトリウム人工水、塩化カルシウム人工水、炭酸カルシウム人工水を用いた。茶葉3gに人工水 100mlを加え、冷蔵庫で18時間浸出した後、茶こしを用いて濾別し試料溶液を得た。これについてpHメーター、分光光度計、色差計を用いて測定した。

    【結果・考察】ナトリウム量の増加に伴い試料溶液のpH上昇、吸光度、色差の値から水色が濃く暗くなることが明らかとなった。これは、pHが高くなることで、カテキン類が酸化、褐変物質を生成し、色が暗く赤み黄色みが強くなったと考えられる。塩化カルシウム量の増加は、pH、吸光度の低下や色差の上昇に影響しており、濃度が高くなるほど色が薄く明るくなる傾向が見られた。炭酸カルシウムは、増加に伴いpHはやや上昇したものの、吸光度は低下した。これは、カルシウム量の増加に伴い、テアフラビン類やテアルビジン類が浸出しにくい可能性が示唆された。

  • 佐藤 公俊
    セッションID: B-21
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】フライパンは概して鉄・アルミニウム製で不透明なため、フライパン加熱での焼き料理では食材下側の加熱接触面が調理中は見えず、フライ返しで食材を持ち上げて下面をのぞき込むしか焦げ目の確認方法が無い。一方、ガラス材料は肉眼にも透明で内部視認性も良く、更に近赤外線をよく透過する素材でもあるので、上記の問題に対し、金属製フライパンの代わりに透明ガラス製容器/プレートを用いて、外部近赤外線ヒータからガラスを透過して食材を直接赤外線加熱する方法で解決する。

    【方法】赤外線ふく射加熱は,照射する赤外線の波長とそれを受ける部材の吸収特性との相性が結果に影響を与える。そこで、従来的金属性フライパンと本研究で提案する手法との比較として、主たる発光波長が2~4㎛のハロゲンヒータを加熱源とした。またこの波長帯で80%以上の透過率を示す、ホウケイ酸耐熱ガラスを本提案方式のフライパン素材として採用し、外部赤外線光源から照射された赤外線エネルギを直接内部の食材へ当てて加熱する。これと表面フッ素加工ステンレス板の二種類をフライパンとして使用し,冷凍餃子を乗せ,加熱から焼き上がりにかかる時間及び温度履歴について計測を行った。

    【結果・考察】ハロゲンヒータ800Wの投入エネルギを共通とし、食材中心と両フライパン材上部表面の温度を測定した結果、両方法ともに食材中心温度は加熱開始後約3分ほどで水の沸点となる100℃前後の値を示し、焼き上がりまで10分という結果も両者同様であった。もちろん、加熱途中の焼き目の視認性はガラスでは可能である一方、ステンレスでは見ることはできなかった。今回の実験で、提案する加熱調理方式の妥当性が確認できた。

  • 淺井 智子, 髙村 仁知, 杉山 寿美
    セッションID: C-1
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】乳化特性を有する卵は油脂を配合しやすく,その加熱ゲルは特有のテクスチャーとなる。著者らはこれまでに,菜種油を配合したオムレツはしなるような硬さ(軟らかさ)の,乳脂肪クリームを配合したオムレツは脆弱なテクスチャーとなることを報告している(淺井ら,日調科誌,2014)。本報告ではこれら特有のテクスチャーが生じる要因について,冷却遠心分離による脂質分画と透過型電子顕微鏡(TEM)観察等によって検討した。

    【方法】オムレツは,卵液(卵黄35gと卵白65g)に乳脂肪クリーム30ml,菜種油18ml+水12ml,水30mlのいずれかを加え,200℃で攪拌加熱して調製した。加熱前卵液と,65,75,80℃に加熱した試料をストレーナーに通し,冷却遠心分離による脂質分画を行った。Bligh&Dyer法で各画分の脂質抽出を行い,脂肪量,リン脂質中リン量を測定した。加熱後の試料について, TEM観察,SDS-PAGEを行った。

    【結果・考察】菜種油由来脂質は,卵液中で上層に多く分画され,加熱により約半分が下層へと分画された。乳脂肪クリーム由来脂質は,卵液中でも一部下層へと分画され,加熱後多くが下層へ分画された。TEM観察により,乳脂肪クリーム卵液では脂肪球が卵タンパク質に厚く囲まれ,菜種油卵液では油滴が粗いゲル構造に囲まれていた。SDS-PAGEの結果,乳脂肪クリーム配合オムレツではオボアルブミンの加熱変性の程度が低かった。これらのことから,配合油脂の形態の違いが撹拌加熱時の卵タンパク質ゲルネットワーク形成に影響することが示唆された。

  • 内藤 宙大, 大津 亜衣, 黒川 恭歌, 岩脇 由希子, 富岡 敏彦, 伊藤 浩明, 和泉 秀彦
    セッションID: C-2
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】「ゆで卵」における茹で時間と卵白タンパク質の溶解性や抗原性の関連について、詳細に解析された研究はほとんどない。そこで、本研究では茹で時間の異なるゆで卵を作製し、その卵白に含まれるタンパク質の溶解性と抗原性を解析した。

    【方法】ゆで卵は、市販鶏卵を沸騰水中で20分まで経時的に茹でて作製した。生卵及びゆで卵(各3個)から卵白を回収し凍結乾燥したものを試料とした。試料中の塩溶性タンパク質をPBSで、不溶性タンパク質をSDS+urea溶液及び2-ME溶液にて段階的に抽出した。PBS抽出溶液を使用してLowry法で塩溶性タンパク質の定量、阻害ELISAでオボアルブミン(OVA)の定量を行った。また、各抽出溶液を使用してSDS-PAGEで卵白タンパク質の組成を解析した。さらに、鶏卵アレルギー患者血清(n=3)を使用したIgE-イムノブロットで抗原性の解析を行った。

    【結果・考察】塩溶性画分のタンパク質量は0~7分、OVA量は8~10分の間で経時的に減少した。SDS-PAGEの結果、塩溶性画分よりオボトランスフェリン(OT)、OVA、リゾチーム(LY)が経時的に消失し(それぞれ5、9、3分)、それらは2-ME溶液で抽出した不溶性画分で検出された。一方で、オボムコイドは20分茹でても塩溶性画分から消失しなかった。また、LYやOTは加熱後すぐに不溶化することが明らかとなった。IgE-イムノブロットの結果、IgEにより検出されたタンパク質は検体ごとに異なったが、OT、OVA、及びLYは経時的に検出されなくなり、それらは不溶性画分で検出された。以上の結果より、ゆで卵中の卵白タンパク質の溶解性及び抗原性は茹で時間10分以降ほとんど変わらないことが明らかとなった。

  • 清水 佑佳子, 嶋野 安哲, 香西 健太郎, 谷口 明日香, 小林 理恵
    セッションID: C-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】給餌飼料の配合の違いが鶏卵の品質や嗜好性に影響することは、既に理化学特性の他、味覚センサーや官能評価等により明らかにされている。特に官能評価においては、日常で食べられる鶏卵の調理加工品に調製して評価するのが現実的である。本研究では給餌飼料を変えて開発した原卵の特性評価をする際、副材料の影響を受けないゆで卵を用い官能評価が可能かその方法を検討した。

    【方法】数種の市販卵の中から、予備評価により類似した特徴を持つ2種の卵を選択した。これらを水から入れて沸騰後4分、6分、10分間ゆでた卵と、エッグスチーマー(小泉成器(株))を用いて温泉卵を調製し、本学の学生と教員のべ30名を被験者とした1対2点識別法により識別可能な試料を抽出した。給餌飼料の明確な3種[基礎飼料のみ,基礎飼料+プレミックス1%配合(フレーバ有りまたは無し);イセデリカ(株)]の品質特性を評価するため、言葉だしを経て評価項目(甘味、塩味、うま味、酸味、濃厚さ、味わいの強さ、複雑さ、味の持続性)を設定し、調理科学研究室員を対象に評点法による分析型官能評価を行った。

    【結果・考察】1対2点識別試験より、沸騰後4分のゆで卵のみ有意に識別可能であったため、これを以降の官能評価試料の調製条件とした。評点法による評価では、基礎飼料にプレミックスを添加するとコク味に関連する味わいの強さや複雑さ、味の持続性が有意に強くなる傾向であった。しかし、フレーバー有無による差は製造ロットにより評価の難易度が異なった。飼料配合のわずかな相違の影響を評価するには、評価試料および評価項目の再検討に加え、鶏の個体差や生育環境の影響を統計的に排除可能であるか長期的に評価を継続する必要がある。

  • 辰口 直子, 柳沢 幸江
    セッションID: C-4
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】肉類をパックし通常の加熱温度より低い55~75℃程度の温度で一定時間加熱する事は「低温調理」として知られている。近年、低温調理器が普及し利用される事が多くなった。 身近な調理技術として利用する為には安全性確保のため設定温度での保持が望まれるが、その肉質の変化を知りたいと考えた。食品のたんぱく質変性は温度によって異なる事は知られているが、同温度で一定時間保持した場合の変化は詳細が明らかとなっていない。そこで設定温度に到達してから同温保持時間の経過が調理へ与える影響を明らかにする事を目的とした。

    【方法】鶏むね肉(北海道産)を10×5×1(㎝)、重量70±5gに切り出し、加熱前にフィルムで真空密閉し、冷蔵庫内保存したものを使用した(初期温度:9±1℃)。加熱には恒温槽(TAITEC BF-400)を用い、実測値で70、75℃に設定し、鶏肉の中心温度が加熱温度に到達した時点を0分とした。さらに30分、60分間、恒温槽内に放置した。加熱中は熱電対(直径0.4mm)を用い水温、肉の中心温度を測定した。加熱・保持後にフィルム内に溶出した肉汁量、鶏肉の重量変化率、形状変化率、テクスチャー(TA.XT.plus使用)を測定し、微生物検査を行った。

    【結果・考察】70℃、75℃ともに保持時間が長くなると肉汁が有意に増え(危険率5%)重量が減少した。75℃より70℃保持の方が肉汁の溶出が少なかった。形状変化については、75℃では保持による差がみられたが、70℃では有意差はみられなかった。楔形プランジャーによるせん断では、個体差が大きいが保持時間によって低下している傾向が認められた。低温であっても、保持時間により肉質に変化が起きた事が推察できた。今後は保持時間による変化を官能評価で確認予定である。

  • ー捕獲地域の異なるシカ肉の食肉特性の比較ー
    石橋 弥生, 大槻 尚子, 寺島 健彦, 渡瀬 隆也, 淺沼 俊倫, 市川 陽子
    セッションID: C-5
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】近年、ニホンジカによる農林作物への被害が問題となっており、捕獲と食肉利用が推進されている。我々は、伊豆地域のシカ肉について、捕獲方法、熟成日数、pHと食肉特性の関連などを明らかにしてきた。野生鳥獣では、環境や食餌により栄養状態が異なるが、県内の他地域に生息するシカの食肉特性の違いは不明である。本研究では静岡県内を西部、中部、東部、伊豆半島の4地域に分け、捕獲されたシカの肉について、客観的および主観的データの収集、比較検討を行った。

    【方法】試料は、静岡県浜松市、静岡市、富士宮市、伊豆市でくくり罠にて捕獲された体重35 kg以上、推定年齢3歳以上の雌ジカのロースおよびモモ肉とし、加熱肉の保水性(DL、CL、遠心保水性)、テクスチャー特性のかたさ応力、凝集性、付着性(RE-33305S (株)山電)、色彩のL*値、a*値、b*値(CR-400 (株)コニカミノルタ)、生肉の遊離アミノ酸関連物質含有量(アミノ酸分析装置)、脂肪の融点測定(微量融点測定装置 Yanaco)を行った。また静岡県大・学生(18~24歳)40名をパネルとして嗜好型官能評価を行った。評価項目は分析型項目:明るさ、赤の色味、かたさ、ジューシーさ、におい、嗜好型項目:全体的な好ましさの計6項目とした。

    【結果・考察】浜松ロースは、かたさ応力で他地域よりも有意に(p<0.05)低値を示し、浜松モモは遠心保水性で有意に(p<0.05)高値を示した。熟成前のpH(pH6.46~6.90)は、浜松ロースでばらつきが小さかった。かたさ応力に地域差が生じた理由に、pHの差の影響が挙げられる。pHは食餌や運動量が影響する筋グリコーゲン量によって変化し、様々な食肉特性と関連しているため、今後は食餌の違いを調査する必要がある。

  • 藤原 久子, 徳本 実咲, 古田 歩, 松本 茜, 谷本 昌太
    セッションID: C-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】塩麴は米麹,食塩および水を混合し熟成させて調製する調味料で,各種食材の漬け床として使用されている。これまでに豚肉や牛肉において塩麴に漬けこむことで,遊離アミノ酸由来のうま味成分や甘味成分が増加し,さらに食肉が軟化することが報告されている。しかしながら,魚肉において塩麴の影響を調べた研究は少ない。そこで,本研究ではハマチ肉(普通肉・血合肉)における塩麴の影響(保存性・呈味成分等)を検討した。

    【方法】味噌醸造用および清酒醸造用の2種類の米麹を用いて,塩分濃度10%の塩麴を調製した。調製後の塩麴をハマチ切り身の重量に対して10%用いて,貯蔵1日・7日目における加熱前の一般生菌数,加熱後の魚肉中の遊離アミノ酸,核酸関連物質,有機酸を測定した。 対照として,未処理試料および10%食塩水浸漬試料を用いた。

    【結果】生菌数については,7日間の貯蔵において7logCFU/gを超えない結果となった。 遊離アミノ酸は,貯蔵7日目の対照試料と味噌醸造用塩麴に浸漬した試料において普通肉では,Arg,Asp,Thr,Pro,Tyr,Met,Val,Ile,Leu,Pheが,血合肉では,Aspが有意に増加した(P<0.05)。塩麴の違いによる有意差は、普通肉の一部のみでみられた。核酸関連物質および有機酸は,一部を除いて有意な変化を示さなかった。また,有意な変化を示した成分については,同一貯蔵日数において処理間での有意差は認められなかった。これらのことから,塩麹に浸漬させることにより,遊離アミノ酸は増加するが,核酸関連物質・有機酸については塩麴の影響を受けないことが示された。

  • 渡壁 奈央, 古田 歩, 鈴木 麻希, 杉山 寿美
    セッションID: C-7
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】戦国期毛利氏の食については,『元就公山口御下向之節饗応次第』に1549年3~4月の大内氏との,『益田藤兼・同元祥安藝吉田一献手組注文』に1568年2月の益田氏との饗応献立が記録されている。我々はこれらの饗応献立の再現を,毛利氏に仕えた玉木吉保の自叙伝『身自鏡』や同時期の料理書を参考に行ってきた。『身自鏡』の[料理のこと]には季節の食材,汁,膾,さしみの調理法等が記されている。

    【方法】本研究では,『身自鏡』の[料理のこと]の序文「夫料理調味,非賤しき事,天地開初しより五躰・五輪とて,地・水・火・風・空,五色に分て,青・黄・赤・白・黒也。此五色,則,春・夏・秋・冬・土用也。醋・苦・甘・辛・醎,此五味,以天地之間有生・非形生至迄不賞と云事なし。」に着目し,『身自鏡』の初春,暮春の食材について,五味(醋・苦・甘・辛・醎),五臓(肝・心・脾・肺・腎)を『医心方』等で確認した。さらに上記献立での使用を確認した。

    【結果・考察】『身自鏡』の季節の食材は,初春はふきのとうやわかめ,暮春はわらびや小あゆ,年中の食材はとうふ、ふ、かわうそ、きじ、くじら等であった。汁の調理法には,つまも記され,例えば「青頸鴨・・(略)・・しほ鳥ならば,うすたれ吉,竹子・ひともし・うど・ふ・めうが・しゐ茸吉」であった。『身自鏡』に記された初春,暮春の食材は必ずしも醋,肝ではないが,上記饗応では初春,暮春の食材が供されていた。また,『饗応次第』には春を象徴する色である青を料理名とした「青膾」や,五つの要素の象徴である「五しゆ」「五色」が雑煮とともに供されていた。五輪・五行思想は,季節の食材を用いる,象徴となる色を用いる等,饗応での料理に取り入れられていた。

  • 鵜飼 千啓, 松下 英二, 岡田 希和子, 宇野 千晴, 矢須田 侑兵
    セッションID: C-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】高齢期の調理状況は、世帯状況や性別の影響を強く受けると想定される。本研究は、地域在住高齢者における調理状況の現状を、世帯と性別の視点から明らかにすることを目的とした。

    【方法】2021年2月に実施された健常高齢者の長期縦断疫学フォローアップ研究の参加者に、自記式質問票を用いた郵送調査を行った。調査項目は年齢、世帯状況(同居または独居)、調理担当者(本人または本人以外)とした。調理方法は、肉、魚、卵、豆腐、野菜の食材に対し、調理五法の「生」、「煮る(茹でるを含む)」、「蒸す」、「焼く(炒めるを含む)」、「揚げる」を日常的に行うかを尋ねた(以下、「生」「煮」「蒸」「焼」「揚」)。調査項目に欠損のない321名を対象に比較・検討した。

    【結果・考察】本人が調理担当である割合は同居世帯では、女性で87.3%であり、男性の13.5%と比較して有意に高かった(P<0.001)。また、独居世帯では女性91.9%で男性は100%であり、有意差はなかった(P=1.000)。調理担当者における日常的に行う調理方法を男女で比較したところ、女性は男性と比較して、肉は「煮」「揚」「焼」、魚は「煮」「焼」、卵は「煮」「焼」、豆腐は「煮」「焼」、野菜は「生」「煮」「蒸」「揚」「焼」の調理を行う者の割合が有意に高かった。

     独居世帯の調理担当者の割合に性差はなく、男女ともほとんどの者が調理担当であった。このように世帯状況により男性でも高齢期に調理担当となりえることが示唆された。また、日常的に行う調理方法は、食材と調理方法の多くの組み合わせで男性が有意に低い割合であった。このことから、今後世帯状況が変化する可能性のある高齢期の男性にも、日常的に行う調理方法を増やすフォローが必要であると考えられる。

  • 阿部 優子, 會田 久仁子, 中村 恵子
    セッションID: C-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
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    【目的】家庭料理研究では、調理経験の長い主婦層を対象として調査したが、若い世代の郷土料理に対する考えについて知る機会は少なかった。そこで、子育て世代が捉える郷土料理のイメージと郷土料理の喫食実態等を明らかにすることを目的とした。

    【方法】福島市内の小学生の子を持つ保護者を対象に、基本属性、郷土料理に対するイメージや伝承意識、福島県の郷土料理の認知度や喫食経験等についてGoogleフォームで調査した。回答者126名(回収率25%)について単純集計及びクロス集計し、SD法によりイメージプロフィールを得た。さらに、因子分析(最尤法、バリマックス回転)を行った。

    【結果】郷土料理に対するイメージは、「温かみがある」「田舎的な」「季節感がある」「伝統的な」の点数が高かった。因子分析では6因子が抽出され、それぞれ「(調理への)抵抗感」「郷愁感」「質素」「親近感」「健康的」「食味的」と命名した。子育て世代は郷土料理を、調理するのは面倒だが質素で郷愁感があり、日常的な親近感あるものと捉えつつ、濃い味付けに懸念を示した。福島県の郷土料理24品のうち認知度が最も高かった料理はいかにんじん125名(99.2%)で、ちまき122名(96.8%)、こづゆ112名(88.9%)、凍み豆腐の煮物110名(87.3%)、しそ巻き109名(86.5%)の順であった。こづゆ以外は福島市周辺に伝承される料理であり、親世代から回答者へ伝えられたと推察された。ちまきやしそ巻きは調理できないとする割合が高く、回答者から子ども世代への伝承が危惧された。子育て世代の約60%が郷土料理を今のまま伝え継ぎたいとし、約40%がレシピなどの情報提供を望んでいた。

  • 後藤 未希, 柳沼 梢
    セッションID: C-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/02
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】近年,和食文化の継承は喫緊の課題であり,第3次・第4次食育推進基本計画では和食文化の継承に関する目標が追加された。本研究では,次世代への和食文化の継承を推進するための基礎資料を得ることを目的に,学生の和食文化に対する意識と実態を把握し,「食に対する感謝の気持ち」との関連性について検討した。

    【方法】2021年6月から8月にかけて,宮城県のS短期大学に在籍する学生1,325名を対象に,無記名自記式の質問紙調査を実施した。調査項目は,赤松らの「食に対する感謝の気持ち」,和食文化の継承状況および伝承意思,出身地の郷土料理の認知および継承状況,属性とした。「食に対する感謝の気持ち」は尺度の合計得点を算出し,中央値をもとに高群と低群の2群に分けた。解析には,χ²検定,Kruskal-Wallis検定,ロジスティック回帰分析を用いた。

    【結果・考察】有効回答数は919名であった(回答率69.4%)。属性では,栄養学科および一人暮らしと回答した者で「食に対する感謝の気持ち」が有意に高かった。「食に対する感謝の気持ち」と地域や家庭で受け継がれてきた料理や味,箸づかいなどの食べ方や作法に関する継承状況および伝承意思の間には,すべての項目において,高群で正の関連性が示された。このうち,料理や味の伝承意思においては,交絡因子による調整後も同様の関連性が示された(OR[95%CI]=3.49[1.60~7.62])。郷土料理においては,家庭内での話題の有無,認知状況,喫食状況,受け継がれている郷土料理の有無の4項目と,高群との間に正の関連性が認められた。「食に対する感謝の気持ち」は,和食文化に対する意思を高め,継承を推進していくために重要な要因となると考えられた。

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