-
倉本 愛歩, 宇田川 心優, 髙山 史皓, 末時 弥呼, 杉山 寿美
セッションID: 1A-1
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】餡は,餡粒子の集合体としてのテクスチャー特性を示し,口腔内でほぐれ,さらっとした性状を示す。一方,フルーツ大福は餡に含まれる砂糖により果物から水分が滲出し,餡の水分量を増加させる。本研究では,小豆から調製した砂糖量の異なる餡,水分量の異なる餡,調製後に水分が付加された餡の性状を明らかにすることを目的とした。
【方法】小豆を煮熟し,生餡(水分量70%)を調製した。生餡120gに砂糖及び水を加えて,出来上がり量が 170gになるよう5分間で練り上げた(砂糖30%餡,40%餡,50%餡)。さらに,砂糖40%餡に,5%分の水を加えた餡(砂糖40%加水餡)も調製した。これらの餡について,水分量,色彩・光沢,テクスチャー特性,嗜好特性(官能評価),粒子径,餡粒子間のペクチン量・澱粉量,レオロジー特性を把握した。テクスチャー測定は,テクスチャーアナライザ(島津)を用いて,硬さ,付着性等を測定するとともに,水を重層した条件下でも行った。
【結果】砂糖30%餡,40%餡,50%餡では,砂糖量が多く,水分量が少ないほど,赤く,黄色く,光沢度が低かった。また,硬い餡となり,官能評価においても,粘りが強く,水っぽくないと評価され,砂糖40%餡が好ましいとされた。調製後に水を加えた砂糖40%加水餡は,砂糖40%餡と比較して,官能評価において粘りが弱く,水っぽいと評価され,果物と一緒に食べた時も水っぽく,フルーツとの一体感が低いとされた。また,餡の粒子径には有意な差が認められず,餡粒子間のペクチン量・澱粉量は練り操作で増加した。これらから,餡の性状が,砂糖量,水分量,さらに水を付加するタイミングに影響されることが示され,果物から水分が滲出した場合,餡の嗜好性維持が容易ではないことが示された。
抄録全体を表示
-
浜口 紗世, 小﨑 智恵, 藤井 恵子
セッションID: 1A-2
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】岩手県盛岡市の特産品である雁喰豆は、知名度が低く、近年収穫量の減少、並びに優良豆の減少という課題を抱えている。本研究では雁喰豆と5種類の澱粉を用いて黒豆豆腐を調製し、澱粉の種類や濃度が黒豆豆腐の力学特性や嗜好性、老化特性に及ぼす影響を検討した。
【方法】澱粉添加黒豆豆腐は、雁喰豆と豆乳をミキサーにかけ、タピオカ澱粉、コーン澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉を5、7.5、10、12.5、15%となるように添加して真空包装し、芯温98℃で15分間加熱して調製した。得られた黒豆豆腐の静的粘弾性、破断特性、テクスチャー特性を測定するとともに、官能評価により嗜好性を検討した。また、真空包装した試料を10℃で5日間保存し、老化特性を調べた。
【結果】黒豆豆腐のみかけの弾性率は、タピオカ澱粉添加試料が最も小さく、次いで小麦澱粉添加試料となり、コーン澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉を添加した試料はほぼ同程度の高値を示した。また、真空包装した澱粉添加試料は保存中に老化し、みかけの弾性率、硬さが増加したが、その変化はわずかであり、真空状態で保存することで老化を抑制することができた。特に小麦澱粉添加試料は老化しにくかったことから、小麦澱粉は老化抑制に適した澱粉であることが示された。官能評価においては、澱粉濃度5%では澱粉の種類による違いは見られなかったが、10、15%ではタピオカ澱粉、小麦澱粉を添加した試料はもちもちとしていて、好ましいと評価された。官能評価で得られたもちもち感は応力-ひずみ曲線の破断直前の傾きをみかけの弾性率で除した値と強い正の相関が認められたことから、澱粉ゲルのもちもち感は破断特性値より算出できるパラメータによって評価できることが示された。
抄録全体を表示
-
野村 知未, 古谷 規行
セッションID: 1A-3
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】豆類は日本の食文化に欠かせない作物であるが,調理の過程で必須となる組織の軟化を目的とした浸漬操作が調理工程を煩雑にすることで,一般家庭や給食施設での利用が敬遠されている。本研究では,大豆と小豆について粒の大きさ(粒度)の違いが浸漬操作による煮熟後の軟化に及ぼす影響に加え,小豆においては加工特性に関与するデンプンの糊化特性を把握することを目的とした。【方法】大豆は極小粒大豆の早生黒千石,大粒大豆の新丹波黒,小豆は普通小豆のエリモショウズ,大納言小豆の京都大納言とし,それらを篩分けして粒度別に1~4種の試料を供した。各試料を5℃または20℃で0~24hr経時的に浸漬して重量を測定し,吸水率を求めた。また,5℃で浸漬した豆類を各々煮熟し,卓上型物性測定器にて破断荷重(N)を測定した。さらに,小豆はデンプンを分画後,示差走査熱量計にて糊化温度を測定した。【結果】大豆・小豆ともに,品種を問わず浸漬温度が高い20℃で吸水率は高かった。また,吸水率は品種によって異なり,大豆では新丹波黒,小豆ではエリモショウズの方が高かった。同一品種のうち粒大別で比較すると,大豆の新丹波黒では粒度の違いで吸水率に差が見られたが,小豆では認められなかった。各浸漬時間による煮熟後の破断荷重は,吸水率に関わらず極小粒大豆の早生黒千石では差がない一方,その他の豆類は吸水率が高いほど有意に破断荷重が低く,煮えムラも低下した。小豆デンプンの糊化温度は,同一品種では粒大が大きくなると糊化温度は低くなり,特にエリモショウズの糊化終了温度は,有意に(p<0.05)低下した。以上のように,豆類の加工特性に関与する吸水や糊化特性が同種の豆であっても品種により異なることが明らかになった。
抄録全体を表示
-
宇田川 心優, 倉本 愛歩, 西本 蒼太朗, 萩原 香歩, 森久 瞳, 杉山 寿美
セッションID: 1A-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】折り込み法で調製されるパイは,混捏により形成されたグルテンと澱粉から成る小麦粉生地とバターが薄層構造となり,焼成時に生じる水蒸気圧で膨化し特有のテクスチャーを生じる。我々はこれまでに,卵の配合によってパイの性状が異なることを体積測定や走査電子顕微鏡観察で確認している。本研究では,卵の配合がテクスチャー特性に及ぼす影響について,テクスチャー測定,官能評価,レオロジー測定を行った。
【方法】パイは,薄力粉,強力粉各100g,水100gまたは水80gと卵(全卵,卵黄,卵白)20gを混捏した小麦粉生地に,バター120gを3つ折りで4回折り込み(生地82層,バター81層),一晩冷却後,40×25×14mmに成形,200℃で20分焼成した。官能評価は大学生24名をパネルとして行った。テクスチャー測定は,クリープメーター(RE2-33005C,山電)で行い,くさび型プランジャーで破断曲線初期の傾きと破断点,円柱型プランジャーで破断曲線の微分データを得た。レオロジー測定は,焼成前の小麦粉生地およびパイ生地について行った(MARS40,HAAKE)。
【結果・考察】破断曲線初期の傾き,破断時の最大荷重はいずれも卵黄試料で小さく,卵白試料で大きかった。微分データは,大きな負のピーク数が卵黄試料で少なく,卵白試料で多かった。官能評価では,卵黄試料でパリパリ感が弱く,もろく,噛み切りやすく,卵白試料でもろくなく,噛み切りにくいと評価された。レオロジー測定では,卵黄試料は40~85℃の応力依存測定で線形領域が狭く,高温度域においても高いtanδが維持された。これらの結果から,パイ生地への卵の配合は生地のレオロジー特性を変化させ,焼成後のテクスチャー特性に影響することが示された。
抄録全体を表示
-
辰口 直子, 村尾 友美, 村田 暁
セッションID: 1A-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】一般に温泉卵を作るには65~70℃で20~30分加熱する、と言われているが、前報で加熱温度と時間と卵の鮮度の影響を明らかにし70℃加熱は鮮度や加熱時間の影響を受けやすいことを報告した。卵の凝固状態には加熱速度の影響があることが知られているが、温泉卵の凝固について詳細は明らかとなっていない。そこで本研究では初期温度を変化させ、温泉卵の調理成績にどのように影響するか明らかにすることを目的とした。
【方法】試料には産卵4日後(ジュリアライト種、昭和鶏卵㈱)の鶏卵を用いた。初期温度は24℃(24℃の恒温器に1日置く)と5℃(冷蔵庫で1日置く)の2段階とした。加熱には恒温槽(BF200 ㈱ヤマト科学)を用い、水温実測値65℃、68℃に設定し、加熱時間は全卵の中心温度が水温マイナス1.5℃になるまでとした。加熱中の卵黄、卵白の温度測定を行い、温度上昇速度を算出した。加熱後の全卵を割卵し、形状(長径、高さ)を測定し、卵黄のせん断弾性率、卵白の離水率、粘度を測定し比較を行った。
【結果】形状については、65℃では初期温度の影響は見られないが、68℃では卵黄卵白ともに有意差が認められた。卵黄の複素せん断弾性率は65℃68℃ともに有意差は見られなかった。離水は65℃では初期温度の影響は見られないが、68℃では、初期温度5℃で多い傾向にあった。これらの結果から、68℃加熱では、初期温度上昇速度が卵白の凝固状態に影響していることが考えられた。
抄録全体を表示
-
岩本 知子, 児玉 大介, 木村 守, 山本 紘義, 海老澤 元宏, 大関 塁, 柳田 紀之, 佐藤 さくら, 渡邊 天海, 寺田 拓実, ...
セッションID: 1A-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】 食物アレルギーの原因物質の内、鶏卵は特に乳幼児期に多くみられ、その対応・解決は社会的課題となっている。鶏卵の主要なアレルゲンの内、オボムコイド(OVM)は、熱や消化酵素に対して非常に安定であるため、アレルゲン性を低減させることが困難であった。これまでに、広島大学との共同研究にて、ゲノム編集技術を活用してOVM遺伝子をノックアウトした鶏の作製に成功し、この鶏が産卵したOVMを含まない卵(アレルギー低減卵)を用いて、プリン、マドレーヌ、クッキーなどのレシピ開発を行い、調理・製菓適性や調理方法の違いによるアレルゲン性の低下を確認している。本研究では子供が好むお菓子のレシピの拡充と調理法や原料によるアレルゲン性の低下について評価を行った。【方法】 アレルギー低減卵との比較のため同鶏種の野生型の鶏が産卵した卵を用いてお菓子のレシピ開発とそのアレルゲン性の評価、さらに卵自体の栄養成分やにおい成分などの機器分析を行った。卵は生卵としてだけでなく、アレルゲン性が低いことが確認されているゆで卵をペーストにして乾燥させた粉末も用いた。アレルゲン性の評価は卵アレルギー患者の血清と試作品との反応性をELISAで確認した。【結果】 アレルギー低減卵を用いても通常卵と同様にレシピを作ることができ、栄養成分やにおい成分分析においても通常卵と比べて品質に影響のない程度の差であることが確認できた。生卵を使用してもレトルト殺菌したプリンでは通常卵に比べてアレルゲン性が大きく低下した。アレルギー低減卵のゆで卵粉末を用いたお菓子はアレルゲン性が低かった。
抄録全体を表示
-
玉木 有子, 中山 由佳, 野田 寧, 石川 匡子, 小竹 佐知子
セッションID: 1A-7
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】卵液は加熱によりゲル化し、希釈率を調整することで茶碗蒸しや玉子豆腐といった口当たりが異なる料理となる。市販食用塩は、製法やミネラル含有量に違いがあるが、それらが希釈卵液ゲルの調理特性に与える影響については十分に検討されていない。そこで本研究では、希釈率が異なる卵液に各種市販食用塩を添加し、加熱調理後のゲルに及ぼす影響を検討した。
【方法】鶏卵は小売店(東京都千代田区)で購入し、採卵4日後を試料とした。卵黄と卵白はそれぞれ裏ごしし、重量比1:2で混合して全卵液とした。市販食用塩は4種類用いた。希釈卵液ゲルに対して0~1.1%(w/w)の範囲で濃度を調整し、卵液と塩溶液の混合比は、茶碗蒸し型は1:2、玉子豆腐型は1:1(いずれも重量比)とした。85℃で20分間蒸し加熱後、一晩冷蔵保存して測定試料に用いた。茶碗蒸し型はひずみ率、離水率、分離水の濁度を測定し、玉子豆腐型は色調(L*a*b*)および破断強度を測定した。
【結果】茶碗蒸し型では市販食用塩の種類や濃度に関わらず、塩添加により無添加よりもひずみ率が有意に低下し、保形性が向上した。一般に塩添加は希釈卵液ゲルの離水率を低下させる効果があるが、本結果では離水率を上昇させる種類もあった。一方で、塩添加には分離水の濁度を低下させる効果があった。玉子豆腐型では塩添加によりL*値(明度)は上昇し、a*値・b*値(色味)は減少傾向を示した。特にa*値・b*値の変化は種類によって異なった。破断特性は主成分分析の結果、種類と濃度およびゲルの特徴によって識別可能な分布が示された。以上より、市販食用塩の種類と濃度は、希釈卵液ゲルの物性・外観に影響を及ぼすことが示された。
抄録全体を表示
-
富岡 敏彦, 内藤 宙大, 和泉 秀彦
セッションID: 1A-8
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】鶏卵タンパク質は加熱により凝集・不溶化し、さらにそれに伴いアレルゲン性も低下する。一方で、交差抗原性が報告されているウズラ卵タンパク質の加熱による変化は明らかではない。本研究では、ウズラ卵タンパク質の加熱による溶解性の変化を解析することを目的とした。
【方法】試料には、凍結乾燥したウズラの生卵白、ゆで卵白(沸騰水中30秒~15分)、殺菌卵白(2、5、15分ゆで卵白を115℃で9、18、36分殺菌)を用いた。試料からPBS、SDS+urea溶液、2-メルカプトエタノール(2-ME)溶液を用いて、タンパク質を溶解性ごとに抽出した。抽出溶液中のタンパク質の組成をSDS-PAGE及びイムノブロットにより解析した。また、PBS画分のタンパク質濃度をLowry法、オボアルブミン(OVA)及びオボムコイド(OM)量は阻害ELISAにて測定した。
【結果・考察】ゆで卵白のタンパク質組成をSDS-PAGE及びイムノブロットで解析した結果、OVAは3分以降のゆで卵白のPBS画分では検出されず、2-ME画分から検出された。また、OMはゆで時間に伴って2-ME画分で検出されたが、ほとんどはPBS画分に残存した。タンパク質量はゆで時間2分まで有意に低下したが、2分以降変化はなかった。ゆで卵白のPBS画分中のOVA量は、ゆで時間に伴い低下したが、OM量はOVAのような顕著な低下は見られなかった。殺菌卵白の解析結果では、OMを含むすべてのタンパク質がPBS画分で検出されなかった。以上の結果から、ゆで卵白ではOMは不溶化せずに塩溶性を保持しているが、殺菌卵白はOMが不溶化することが明らかとなった。
抄録全体を表示
-
西田 毅, 米田 祥広, 山口 智, 白川 寛子, 井原 典子
セッションID: 1B-1
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】明治大正昭和初期のポテトサラダの大部分のレシピではジャガイモをカットする。現在の市販マヨネーズは1955年ごろ導入されたロータ・ステータ型乳化機で乳化する。マッシュを用いるレシピが見られないのは乳化技術の違いが影響したと推定し、ジャガイモの形状とマヨネーズの乳化安定性の違いがポテトサラダの状態に与える影響を確認した。
【方法】サラダ油71%、卵黄15%、食塩2%、醸造酢12%を原料とし、手撹拌(H)、撹拌機(S)、粉砕機(G)で回分式乳化させたマヨネーズをそれぞれ作製した。コントロールには、市販マヨネーズ(C)を用いた。ジャガイモは、いくつかの形状のカットとマッシュを用い、10、15、20、25%のマヨネーズとそれぞれ混合して状態を調べた。
【結果】作製したマヨネーズについて粒子径と粘度を測定したところ、粒子径の中央値はそれぞれ、H(15μm)、S(10μm)、G(5μm)、C(1μm)であり、粒子径が大きいほど粘度が小さく作製方法によりマヨネーズの状態差を再現できた。ジャガイモと混合してポテトサラダを作製したところ、マッシュでは、Hは全てSは20%まで分離しG、Cは10%で分離した。スライス(5㎜)では、Hは15%、Sは10%で分離したがG、Cは分離しなかった。傾向として粒子径が大きいマヨネーズを使用したものほど状態が悪く、油の分離が進行した。明治大正昭和初期のポテトサラダのレシピの大部分がカットする理由の1つは当時のマヨネーズの乳化安定性に由来しており、1955年ごろに現在のマヨネーズの製造方法が確立した後、カットより作業が楽なマッシュでもポテトサラダがつくれるように変化したのではないかと推察された。
抄録全体を表示
-
加藤 優依, 前 明日美, 飯田 文子
セッションID: 1B-2
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】味の感じ方は食品の温度や味物質の濃度、味物質同士の混合作用に影響を受けるとされているが、これらを包括的に検討した研究は少ない。本研究では温度・濃度が味物質の感じ方と混合作用に与える影響を解明することを目的とした。
【方法】訓練パネルに7段階尺度(-3~+3)のDescriptive analysis法を用いて静的官能評価を実施。温度別(5, 20, 60℃)の味覚強度、口内での広がり、持続性、快・不快を評価し、Tukey HSD、主成分分析、相関分析を行った。①パネル17名に対し、酢酸およびクエン酸0.1, 0.2, 0.3%、スクロース(Suc) 1, 2, 3, 4%、塩化ナトリウム(NaCl) 0.1, 0.2, 0.3%に調製した試料で評価。②パネル10名、試料は酢酸およびクエン酸0.3%、Suc 4%、NaCl 0.3%の濃度に調製した酸味+甘味、酸味+塩味、酸味+甘味+塩味溶液として実施した。【結果・考察】①全溶液で強度、広がり、持続性は最低濃度の評価値が最も低く、広がりは60℃で最も高かった。酸味は全濃度60℃で不快とされ、酸味では広がりと快・不快に負の関連があった。酸味の不快さは口内での広がりに起因することが示唆された一方、甘味と塩味の快・不快は温度の影響を受けなかった。主成分分析のバイプロット図において、甘味の快・不快と他の官能特性のパターンは、酸味、塩味と異なった。②60℃でSucによる塩味の強度抑制効果がみられ、酸味がクエン酸の場合、全温度でSucによる酸味の強度抑制効果、20,60℃で酸味の持続性抑制効果を認めた。以上から、酸味は60℃では不快であるが、甘味添加により快に近づく可能性が示唆された。
抄録全体を表示
-
中野 優子, 稲垣 瑠奈, 風見 由香利, 大須賀 玲, 富 研一, 佐藤 亮太郎, 早川 文代
セッションID: 1B-3
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】食品の濃厚感は、味や風味、テクスチャーといった複数の刺激によって総合的に判断される複合的な官能特性である。我々はこれまでに、小規模な消費者パネルの官能評価により、濃厚感のとらえ方には個人差が大きい可能性を見出した。そこで本研究では、多様な濃厚感を呈するとんこつ(風)スープを試料として分析型官能評価と消費者調査を行い、知覚の個人差を考慮しつつ、濃厚感の構成要素を明らかにすることを目的とした。
【方法】試料は10種(動物性6、植物性4)の市販とんこつ(風)スープとした。分析型官能評価では、8-9名の分析型パネルが、香り、味・風味、テクスチャーに関する33項目の強度について、線尺度を用いて評価した。消費者調査では、25-54歳の男女123名が、試料の濃厚感の強さや好ましさなど9項目について、9段階の採点法で回答した。
【結果】分析型官能評価の結果に主成分分析を適用したところ、第1主成分(寄与率44.0%)の正方向には香ばしい香りや風味、油脂感、負方向には野菜の香りや風味、コショウの風味などが関連しており、第2主成分(寄与率23.1%)の正方向には乳、ショウガの香りや風味、負方向には豚肉の風味、しょうゆの香りや風味などが関連していた。消費者が評価した濃厚感の評点を平均順位化したスコアを用いてクラスター分析を行ったところ、消費者は濃厚感の知覚傾向が大きく異なる2つのクラスターに分けられた。主成分分析の結果と照合したところ、クラスター1は第1主成分の正方向、第2主成分の負方向に付置される試料、クラスター2は第1主成分の負方向、第2主成分の正方向に付置される試料の濃厚感をより強く評価しており、異なる知覚のパターンごとに、濃厚感を構成する官能特性が明らかとなった。
抄録全体を表示
-
後藤 咲季, 北浦 果歩, 長嶺 清司, 石田 丈博, 升井 洋至
セッションID: 1B-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】本みりんは,もち米,米こうじ,焼酎もしくは醸造アルコールを原料とし,糖化・熟成をして作られた醸造調味料である。主な成分は,製造過程中にデンプンやタンパク質が分解して出来た生成物とアルコールで,これらが本みりんの様々な調理効果をもたらしている。本みりんを使用した調理効果のひとつに,「塩かど」,「酢かど」を抑える効果が知られている。この効果により調理の味をまとめ,まろやかにするといわれている。本研究では,本みりんの塩味および酸味抑制効果に寄与する成分の探索を目的として,味覚識別装置を用い,各種糖類または本みりん添加時の味覚センサー応答性の比較検討を行った。
【方法】塩味抑制効果の検討用試料には,0.1~2.5%NaCl水溶液を,酸味抑制効果の検討には5~40%食酢(ミツカン製)水溶液を用いた。本みりん(宝酒造製)は,そのまま使用,または,煮切りみりんとして使用した。本みりんを先に煮切り,水溶液と合わせたものを「先煮切り」とし,水溶液と本みりんを混合した後に煮切ったものを「後煮切り」とした。NaCl水溶液および食酢水溶液に本みりん0~20%,各種糖類0~6.0%をそれぞれ添加し,味覚識別装置(アルファ・モス製,α-Astree)のセンサー応答を確認した。
【結果】本みりんの煮切り操作の有無では,NaCl,食酢水溶液ともにセンサー応答に大きな差異はなかった。本みりんの煮切りタイミングの違いによる味センサーへの影響はなかった。NaCl水溶液へのイソマルトオリゴ糖,マルトースの添加で塩味センサー応答の低下がみられた。食酢水溶液では本みりんの添加により酸味センサーの応答性が低下し,マルトース添加時と似た挙動が確認できた。
抄録全体を表示
-
間野 博信, 近藤 聡子, 伊藤 彰敏
セッションID: 1B-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】調味料は国や地域ごとに多彩な魅力を持ち、それぞれの土地に根付いた長い歴史がある。溜醤油は愛知県を中心に東海地方で生産されており、なごやめしに代表されるこの地方独自の食文化を支えてきた。しかし、全国的には馴染みが薄く、消費拡大に向けた課題の一つとなっている。調理における溜醤油の価値を科学的な根拠とともに発信することで、需要喚起が期待できる。そこで本研究では、ユーザーが肌感覚で感じている溜醤油の調理特性を科学的に解析し、数値化することを目的とした。①てり・つや付与効果、②粘度付与効果、③調理時間の短縮効果に着目し、全国的に普及している濃口醤油を比較対象として評価した。
【方法】溜醤油または濃口醤油を用いてブリの照り焼きと照り焼きチキンを調理し、一対比較法による官能評価を行い、てり・つやを評価した。また、照り焼きのたれの粘度をラピッドビスコアナライザーで測定した。さらに、溜醤油または濃口醤油を用いてあさりのしぐれ煮と大根の煮物を調理し、加熱時間に伴う具材の遊離アミノ酸およびナトリウム含有量の変化を調査した。
【結果】照り焼きのてり・つやは、濃口醤油よりも溜醤油を使用した方が有意に強かった。溜醤油を使用した照り焼きのタレは、濃口醤油に比べて明度が低かったことに加え、粘度が1.3~1.5倍高く、食材表面への付着量が多かったことが要因と考えられた。また、粘度が高いことで味が絡みやすくなるなどの利点も期待された。あさり、大根ともに溜醤油を使用した場合、濃口醤油の約半分の加熱時間で遊離アミノ酸濃度が同等になり、約30%の減塩が可能であった。さらに、官能評価を実施したところ、あさりのしぐれ煮は有意にやわらかくなり、嗜好性が向上した。
抄録全体を表示
-
橋本 篤, 末原 憲一郎, 亀岡 孝治, 大引 伸昭, 湯川 徳之, 小山 鐘平
セッションID: 1B-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】だしは日本料理に欠かせないものであり,代表的なだしの一種である昆布だしに関しては,昆布の特徴耶蘇の抽出温度などとともに抽出に用いる水がだしを特徴付ける重要な因子となる。本研究では,昆布だしの抽出に用いる水の硬度に着目し,昆布だしのうま味成分であるグルタミン酸濃度測定に加え,だし汁中の成分を多角的に計測可能なマルチ分光(蛍光X線,紫外・可視,赤外分光)情報に基づき,昆布だしの抽出挙動の特性把握を試みた。
【方法】真昆布(北海道東戸井産1等級)および高度の異なる5種類のミネラルウォーター(硬度:約2~300)と純水を抽出用水として用いた。抽出用水1 Lが入ったフリーザーバッグを低温調理器(BONIQ Pro,葉山社中)の水槽中で加熱し,設定温度(60℃)に到達した後,試料昆布30 gを投入した。抽出開始後,60 minまでサンプリングし,グルタミン酸濃度,蛍光X線スペクトル,紫外・可視吸収スペクトル,赤外吸収スペクトを経時的に測定した。
【結果・考察】抽出用水による抽出挙動に及ぼす影響は,グルタミン酸濃度および各光センシング情報により異なり,抽出用水の硬度の高低による抽出挙動の順序性は確認されなかった。そこで,マルチバンド分光情報に基づいた主成分分析(PCA)を試みた。その結果,本研究で用いた水の硬度の範囲においては,抽出用水による抽出挙動の差異は、その硬度のみに依存せず,抽出用水に含まれる様々なイオン種とその濃度比の影響を受ける可能性が示唆された。
謝辞 本研究の一部は公益社団法人東洋食品研究所食品研究助成金の助成を受けたものです。
抄録全体を表示
-
巴山 澪, 小林 秀丈, 有満 秀幸, 坂本 薫
セッションID: 1B-7
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】先行研究より、酒粕は、日本の伝統技術である造酒工程における副産物である原材料およびその代謝物に由来する成分を豊富に含み、健康機能を有することが知られている。一方、酒粕は用途や入手可能な期間が限られ、また、若い世代を中心とした食嗜好の変化により、近年、廃棄が問題視されている。そこで、本研究では長期間の貯蔵が可能で、独特の風味をもつ熟成粕と粕中の微生物に着目し、貯蔵によるアミノカルボニル反応や微生物の活動による栄養素や機能性成分の変化について報告した。引き続き、酒粕特有の成分や風味を生かした調理方法を検討し、酒粕の利用拡大を目指すことを目的とした。
【方法】試料は、江戸時代から継承される伝統的な自然発酵の手法を用いて醸造を行っている兵庫県内の酒造業者より提供を受け、兵庫県産の山田錦を使用した清酒造りで生じたものである。これまでに、酒粕および常温で50, 100, 200日保存した粕および別試料の3年粕について報告を行ったが、さらに貯蔵期間を延伸した1000日粕を加えた6種について比較した。また、酒粕および200日粕に存在する細菌を単離・培養し、16SrRNA遺伝子解析より菌種を同定した。以上の結果を踏まえて、酒粕および貯蔵粕の調理品を検討した。
【結果・考察】遺伝子解析より両試料において、納豆菌を含む枯草菌のB. subtilisおよび発酵食品やワインに含まれるP. megateriumの2菌種が同定された。後者はビタミンB12の生産者であり、原料米では低含有であるビタミンB12が酒粕では豊富であることと一致する。酒粕を広く普及するための調理方法として、加熱することや、チーズや柑橘類といった副材料の使用により、特徴的な風味が緩和され、利用拡大に貢献できると考えた。
抄録全体を表示
-
-薬剤耐性遺伝子の検出と菌種の同定-
石田 千津恵, 島本 敏, 島本 整
セッションID: 1B-8
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】薬剤耐性菌は,抗生物質が効かないまたは効きにくい細菌のことで,医療機関や畜水産業だけでなく食品への汚染も報告され,拡大防止のために世界規模でワンヘルスの対策が求められる。特に野菜や魚介類は,生で喫食する機会が多く,ヒトの体内で新たな薬剤耐性菌の誕生につながるリスクが高いと考えられる。この伝播のリスクを明らかにすることを目的に,本研究では市販魚介類を対象として,ビブリオ属細菌を含むグラム陰性の薬剤耐性菌の分布を調査し,薬剤耐性遺伝子の検出と菌種の同定を試みた。
【方法】以前に報告した市販魚介類50サンプルから分離した各株(直接塗抹分離53株,増菌選択分離229株)を材料として,薬剤耐性遺伝子の検出を行った。薬剤耐性遺伝子の検出には,Eicosaplex PCRに加えてOctaplex PCRを用いた。さらに16S rRNA遺伝子シーケンスによって,耐性遺伝子保有株の菌種の同定を行った。
【結果・考察】直接塗抹分離株からは,CTX-M型基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)遺伝子(blaCTX-M)が7株(13.2%),クラス1インテグロン(intⅠ1)が1株(1.9%)検出された。増菌培養後の選択分離株からは,blaCTX-Mが6株(2.6%),intⅠ1が9株(3.9%)検出された。Octaplex PCRの結果より,AmpC β-ラクタマーゼ遺伝子は,直接塗抹分離から2株(3.8%),選択分離から31株(13.5%)検出された。それらの菌種として,シトロバクター属などの腸内細菌科とプロビデンシア属などのモルガネラ科,セラチア属を含む腸内細菌目細菌が多く,他にエロモナス属,シュードモナス属,アシネトバクター属が同定された。
抄録全体を表示
-
森田 亜紀, 松沢 春和, 鳥居 心春, 大田原 美保
セッションID: 1C-1
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】テクスチャーはベーカリー製品のおいしさを左右する特性で,焼成後の変化を客観的に把握し,変化を制御するための研究は重要である。本研究ではロールパンとフランスパンについて,焼きたてと保存後のテクスチャーの違いをアンケート調査結果に基づいて官能評価を行い,保存条件の異なるパンのテクスチャーと総合評価との関係を明らかにすることを目的とした。
【方法】アンケート調査は先行研究から抽出したテクスチャー評価用語55語を示し,ロールパン,フランスパン,食パンのテクスチャーを日常の食経験からイメージしてもらい,該当する用語を選択させた(n=219名,20歳代女子大学生)。選択された用語の度数を集計し,クラスター分析で用語の類似性を検討した。−4から+4までの線尺度を用いて官能評価(n=17~20)を行った。官能評価用試料は保存を行わない対照試料,対照試料を温度(4℃,25℃)と時間(24 h,48h,72h)を変えて保存したものとした。フランスパンは再焼成したものも加えた。
【結果】アンケートデータの結果から,テクスチャー用語55語を7つのクラスターに分類した。分類をもとに両アイテムともに4語を評価用語とした。官能評価の結果,両アイテムは保存により“ぱさつき”の増加と“やわらかさ”の減少が見られ,保存温度は4℃よりも25℃の方が変化が大きかった。フランスパンはリベイクにより,評点が改善した。一般に澱粉の老化抑制の観点からパンの保存に冷蔵は望ましくないとされるが,本結果は逆の傾向であった。以上より,2種のベーカリー製品の焼成後の総合評価に関わるテクスチャー特性が明らかとなり,パンの種類によって保存条件の影響の受けやすさが異なることが示唆された。
抄録全体を表示
-
大田原 美保, 松沢 春和, 鳥居 心春, 森田 亜紀
セッションID: 1C-2
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】パンのテクスチャーはおいしさを左右する重要な特性であり,焼成後の変化を客観的に把握・制御することは製品開発上の課題である。我々は各種ベーカリー製品のテクスチャー変化とその要因を検討しており,本研究ではロールパンとフランスパンの保存によるテクスチャー変化を力学的測定により評価し,澱粉の老化および水分含量との関係を検討した。
【方法】焼成後に冷蔵(4℃)または室温(25℃)で24–72時間保存したものをそれぞれ冷蔵試料,室温試料とし,保存しないものを対照試料とした。一軸圧縮試験による破断特性,TPA試験による内層のテクスチャー特性を測定した。さらに,水分含量(ハロゲン水分計),澱粉の再糊化に伴う吸熱量(示差走査熱量計)を測定した。
【結果・考察】一軸圧縮試験では,対照試料において応力が圧縮初期に低下後増大し,再度大きく低下する挙動が見られ,表層・内層それぞれの破断に起因すると考えられた。表層の破断歪率は,ロールパンでは室温保存による低下が大きく,フランスパンでは冷蔵による上昇が大きいなど,パンの種類と保存条件により変化傾向が異なった。内層では,保存に伴いかたさが増し凝集性が低下し,この変化は室温保存の方が大きく,特にフランスパンで顕著だった。水分含量は試料全体では変化がなかったが,内層では減少し,表層では増大しており,水分移行によって内外層の水分差が縮まったと考えられた。この移行は室温保存でより顕著だった。一方,冷蔵試料では再糊化に伴う吸熱量が高く,澱粉の老化が進行していた。前報の官能評価では,いずれのパンも室温試料の方が総合評価の低下が大きかったことから,焼成後のテクスチャー変化には水分移行の影響も大きく,品質保持にはその制御が重要であることが示唆された。
抄録全体を表示
-
石橋 ちなみ, 佐々木 萌, 武木田 さくら, 竹中 重雄
セッションID: 1C-3
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【背景】日本の米の品種は日本人の米飯に対する嗜好にあわせて「やわらかく粘りのある」品種が多くを占めている。それら品種ごとの差別化を図るため,“粘り・弾力に富み,冷めてもおいしい”,“ほど良い粘りと甘味”など,米飯のテクスチャーを表す表現用語は多様化している。一般に,米飯のテクスチャーは硬さと粘りから評価されており,限られた言葉しか使われていないため,詳細な米飯の品質を評価できていない可能性が指摘されている。本研究では,米飯のテクスチャーを評価する表現用語を明らかにし,それらを評価する力学的指標を探索した。
【方法】試料はあきたこまち,コシヒカリ,つや姫,ゆめぴりかを用い,炊飯後は25℃と50℃で保存した。官能評価は,試料を表現する特徴として当てはまるすべての感覚要素をパネルに選択させるCheck-All-That-Apply(CATA)法を用い,米飯のテクスチャー表現用語を抽出した。テクスチャー測定は,米飯を容器に詰めて集団粒として圧縮測定する集団粒圧縮法と米飯の単一粒を破断する粒破断法を実施し,テクスチャー表現用語を評価する力学的指標を探索した。
【結果】表現用語の選択結果を主成分分析した結果,第2主成分までの寄与率は約7割であった。第1主成分は「かたい,粗い」,「ふっくら,ふわふわ」が,第2主成分は「べったり,べちゃり」「あっさり,ぽろぽろ」などの硬さ,粘りに関する用語が寄与していた。第1主成分は集団粒圧縮法の「最大荷重」,飯粒破断法の「破断エネルギー」,第2主成分は集団粒圧縮法の「凝集性」と有意な相関がみられた。これらの指標から米飯のテクスチャー評価が可能であることが示唆された。
抄録全体を表示
-
菅原 冬葵, 向峯 遼, 奥西 智哉
セッションID: 1C-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】ライフスタイルの多様な変化に伴い、米の消費における中食・外食の占める割合は増加している。業務用として行われる大量炊飯は家庭調理とは異なり、成形等の機械作業により物理的負担を受ける。これらが米飯粒を崩壊させ、機械作業効率および食味低下を引き起こすと考えている。今回、宮城県産米の米飯の理化学特性の相互関係性を解析し、理化学特性から機械作業特性を評価可能な知見を得たので報告する。【方法】玄米をタテ型試験用搗精機(山本製作所、VP-32T)で搗精し精白米を得た。精白米300gに1.4倍重の水を加え、マイコン式炊飯器(タイガー、JBU-A550)で炊飯米を得た。その後味度値測定、テンシプレッサーでのテクスチャー特性の測定および遊離糖とアミノ酸含有率測定を行った。また炊飯米を卓上シャリ玉成形機(不二精機株式会社、卓上シャリ玉成形機ⅥTSDH)で成形した。精白米はサイクロンサンプルミル(静岡製機株式会社、CSM-S1)で粉砕し、米粉を調製し、RVAによる粘度測定、遊離糖とアミノ酸含有率およびアミロース含有率を得た。【結果】供試した水稲16品種について、成形した米飯の品質を重量安定性と米飯崩壊耐性で評価した。アミロース含有率は米飯崩壊耐性と関係性があった。味度値は米飯崩壊耐性と関係性があった。テクスチャー特性は重量安定性と米飯崩壊耐性の両方に関係性があった。遊離糖およびアミノ酸含有量、粘度特性結果は重量安定性および米飯崩壊耐性とは顕著な関係性が確認されなかった。
抄録全体を表示
-
奥西 智哉
セッションID: 1C-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】近年、コンビニエンスストアの米飯等で流通している米飯は、電子レンジによる加熱後に喫食されることが一般的である。しかしレンジ加熱が、食感に関係する物理特性やほぐれやすさといった品質特性に及ぼす影響については、十分な知見が蓄積されていない。そこで本研究では、レンジ加熱が米飯の硬さやほぐれ性に与える影響を評価し、喫食時の品質変化の実態を明らかにすることを目的とする。
【方法】精精白米300gに水を加え、マイコン式炊飯器(タイガー製、JBU-A550)で炊飯した。得られた米飯から200gを市販の蓋付き米飯トレイに詰め、これをポリプロピレン製バッグに封入した後、所定時間5℃で保管した。保管米飯は500Wの電子レンジで180秒間加熱し、25℃の恒温下で所定時間静置した。この後、米飯試料10gを用いてディスク状試料(φ38mm×c.a.10mm)を作製し、圧縮試験を実施した。
【結果】レンジ加熱後の米飯は、時間の経過とともに硬さが増加した。圧縮試験における応力-ひずみ曲線では、直線部分の傾きが途中で変化する様子が観察され、これを米飯がほぐれたタイミングと判断した。レンジ加熱した米飯では、ほぐれにくくなる傾向が見られた。この傾向は、圧縮試験によって押し広げられた際の試料の直径が、レンジ加熱米飯では小さくなる傾向と一致していた。
抄録全体を表示
-
大石 恭子, 吉澤 史昭, 大田原 美保
セッションID: 1C-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】「ゆうだい21」(以下,ゆうだい)は宇都宮大学が2010年に品種登録したうるち米で,そのゲノムは90%がコシヒカリ,10%が外国稲由来とされており,粘りの強いもっちりとした食感が特徴である。本研究では,機器分析による糊化および力学的特性,さらに「もっちり感」を客観的に評価する手法について検討を行った。
【方法】試料米には宇都宮大学農場産ゆうだいおよび栃木県産コシヒカリの白米を用いた。対米加水比1.5にて炊飯し,飯粒の形状計測,顕微鏡観察,飯一粒のテクスチャー試験ならびに破断強度試験,集団粒の圧縮試験,官能評価を実施した。米粒の吸水率,タンパク質含量,アミロース含量,ラピッドビスコアナライザー(以下,RVA)および示差走査熱量測定(以下,DSC)による糊化特性を調べた。
【結果】ゆうだいはコシヒカリと比較して,タンパク質含量,アミロース含量,および吸水率が高値を示した。DSC測定ではゆうだいは糊化開始が遅れるが,糊化終了は両試料間で同程度であった。RVA測定では,最高粘度およびブレークダウンがゆうだいで高値を示した。官能評価では,光沢,軟らかさ,粘り,もっちり感がゆうだいの方が有意に強く識別され,飯表層の顕微鏡観察ではより多くの糊状物質で覆われている様子が観察された。力学的特性に関しては,飯一粒を対象とした測定ではゆうだいの方が軟らかくて付着性が高く,破断しにくい特性が示される一方,集団粒に対しては圧縮に対する応力が高く,粒間の結着性の高さが示唆された。一粒法による粒内部の粘りおよび破断抵抗性と,集団粒法による粒間の結着性の両面から評価を行うことで,「もっちり感」を客観的に表現できる可能性が示唆された。
抄録全体を表示
-
ー離乳初期の10倍がゆー
秋吉 澄子, 緒方 千尋
セッションID: 1C-7
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】家庭で市販のベビーフードを食べる機会の多い乳児が保育施設で提供される手作りの離乳食に抵抗を示す傾向にあるという現状を聞き、市販のベビーフードと手作りの離乳食の「味」や「おいしさ」を比較し、その理由を探ることを目的に本研究を実施した。【方法】本研究への協力の同意が得られた本学科の学生90名を対象に、①米から炊いた10倍がゆ、②飯から作った10倍がゆ、③市販の米がゆ(ドライタイプ)の3種類を試食し、「甘味・うま味」、「なめらかさ」、「飲み込みやすさ」、「米の風味」、「好み」の5項目について、それぞれ最も強く感じた順に3点・2点・1点と点数をつけ評価してもらった。官能評価の結果は、2群間の比較をt検定(一対の標本による平均の検定)により解析し、ボンフェローニ法による補正を行い、統計的有意水準2.5%、両側検定とした。【結果・考察】「甘味・うま味」と「米の風味」は市販の米がゆの点数が最も高かった。「なめらかさ」と「飲み込みやすさ」は飯から作った10倍がゆの点数が最も高かった。「好み」は3種類のかゆに満遍なく意見が分かれ、有意差は見られなかった。手作りの10倍がゆ・市販の米がゆともに離乳初期の乳児に適した形態であったが、手作りの10倍がゆの方が水分が多く「なめらかさ」や「飲み込みやすさ」は市販の米がゆより優れていた。市販の米がゆは濃度が濃く粘度が高かったため、「甘味・うま味」や「米の風味」をより強く感じたと推測された。栄養価を比較したところ、3種類に大きな差は見られなかった。味や風味の濃い市販の米がゆを食べ慣れていると、手作りの10倍がゆの味が薄く感じられ、受け入れられない可能性があると考えられた。
抄録全体を表示
-
道家 梓, 内藤 宙大, 和泉 秀彦
セッションID: 1D-1
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】給食現場で活躍できる栄養士を育てることを目的とした食物アレルギー教育の確立を目指し、栄養士養成施設における食物アレルギー教育(調理実習)によるコンピテンシーと学習効果の変化を評価した。
【方法】名古屋栄養専門学校の学生を対象とし、2023年5月~9月に食物アレルギーに特化した調理実習を履修した群を履修群(n=27)、履修しなかった群を非履修群(n=95)とした。調理実習開始前には対象者全員に食物アレルギーの基礎講義を行った。アンケート調査及びミニテストは講義前(ベースライン)及び調理実習後(エンドポイント)に行った。アンケート調査は、4件法を使用して点数化した。項目は、コンピテンシーの測定9項目、モデルコアカリキュラムの到達目標5項目、調理実習の到達目標4項目とした。ミニテストは食物アレルギーの基礎知識を問う8問を行った。
【結果・考察】コンピテンシーのすべての測定項目において、調理実習後、得点の有意な上昇は見られなかった。モデルコアカリキュラム及び調理実習の到達目標において、非履修群の1項目を除くすべての項目で、調理実習後有意に上昇した。エンドポイントでは4項目において履修群の方が有意に高かった。これらのことから、講義には学習効果があり、さらに調理実習がその効果を高める可能性が示唆された。ミニテストの点数の結果、ベースラインでは有意な差はなかったが、エンドポイントでは履修群の方が有意に高かった。また、調理実習の到達目標で「できる」と回答したが、対応する内容のミニテストの正答率は、いずれも履修群の方が有意に高かった。このことから、非履修群は自己評価が高い可能性があり、実際に知識の定着には調理実習が必要であると考えられた。
抄録全体を表示
-
―岐阜県恵那地域の食文化―
山下 紗也加, 山中 由実, 西田 優, 内藤 宙大, 伊藤 勇貴, 小川 宣子, 和泉 秀彦
セッションID: 1D-2
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】持続可能性が問われる社会において、地域で伝承・継承されてきている行事や行事食・伝統食などを通して、一人ひとりの生活の充実の実現や社会との向き合い方を考えることが、持続可能な生活の創造に向けての社会行動変容に繋がる可能性について岐阜県恵那地域を対象として検討を行った。
【方法】1)行事食・伝統食の把握:恵那地域の行事や通過儀礼などのハレ食に関わる食文化について文献調査、恵那市食生活改善連絡協議会への聞き取りを行った。2)行事食の現状:正月料理の年取りのごっつぉうと雑煮の現状について「毎年食べるか」,「作った人」などWebでのアンケートから調べた。3)食文化の伝承・継承:幼児および保護者を対象に恵那地域の伝統食である朴葉寿司について朴の葉や朴葉寿司を見たり、食べたりした経験を聞き取り調査とアンケート調査から調べた。4)販売されている朴葉寿司:朴葉寿司は購入する家庭も見られたことから、販売されている朴葉寿司の品質について、すし飯の硬さや握り方などから推定した。
【結果】恵那地域は農業や神事に関わる行事や通過儀礼が比較的残っており、家庭では大晦日や正月に年取りのごっつぉうを食べる風習が守られ、雑煮は97%の人が毎年食べていた。朴葉寿司に用いられる朴葉は家庭の敷地内のものを使用し、61%の幼児は近くで朴の木を見ることができる環境であった。71%の幼児が朴葉寿司を食べた経験があり、家庭だけでなく近隣や親戚から入手する頻度も高く、祖父母から朴葉寿司の食文化を知ったという割合が大きかった。販売されている朴葉寿司のすし飯の品質には業者間に違いがあり、これは作り方の違いによることに由来していた。
抄録全体を表示
-
医療施設ならびに高齢者施設における課題
作田 はるみ, 片平 理子, 小林 利寛, 橘 ゆかり
セッションID: 1D-3
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】調理施設内で「喫食者に提供されずに残った料理」を食品ロスと定義し、特定給食施設を対象に食品ロスの有無やその要因について質問紙調査を実施した。食品ロスは約7割の施設で生じており、その特徴として大規模給食施設であること、給食業務が委託で運営されていること、医療施設・高齢者施設であることが推測された。本研究では、医療施設と高齢者施設の食品ロスの特徴と課題について明らかにすることを目的とする。
【方法】2022年9月にA県が管轄する管理栄養士・栄養士が配置されている特定給食施設を無作為に選び質問紙調査を行った。回答のあった医療施設39施設(回答率:41.5%)、介護老人保健施設11施設(回答率:39.3%)、介護老人福祉施設38施設(回答率:40.4%)について、食品ロスの有無と関連する要因について検討した。自由記述から食品ロスを削減するための課題についてカテゴリ化した。
【結果・考察】回答のあった施設のうち、食品ロスが「毎食ある・時々ある」と回答したのは、医療施設38施設(97.4%)、介護老人保健施設11施設(100.0%)、介護老人福祉施設30施設(78.9%)であった。「食品ロス削減に取り組みたいと思うか」という設問に「そう思う」と回答したのは、医療施設39施設(100.0%)、介護老人保健施設10施設(90.1%)、介護老人福祉施設34施設(89.5%)であった。食品ロス削減の工夫について自由記述でたずねたところ、「提供食数の厳密な管理」、「発注の工夫」、「適切な食事量の把握と提供」等の回答があった。近年、食材料の価格は高騰しており、給食施設を取り巻く経営環境は厳しい。徹底した衛生管理のもとで調理された給食が、食品ロスとならない給食システムの構築が必要である。
抄録全体を表示
-
-2015年調査との比較-
村上 恵, 安藤 真美, 伊藤 知子, 今義 潤, 久保 加織, 髙村 仁知, 露口 小百合, 中平 真由巳, 林 淑美, 原 知子, 水野 ...
セッションID: 1D-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】日本調理科学会近畿支部揚げる・炒める分科会では、家庭における油を用いた調理に関して、一定期間ごとに質問紙調査を実施し、揚げ調理の実態や調理法の多様化、簡便化、健康志向が進みつつあることを報告してきた。本研究では、2024~2025年に実施した調査結果と2015年の結果とを比較することで、この10年の家庭での油を用いた調理の変化を明らかにすることを目的とした。【方法】調査は、2024年6月から2025年1月にかけて、近畿地区にある大学の学生の家庭で主に調理を担当する者を対象として、自己記入式留置法またはWeb法による質問紙調査を実施した。有効回答数は500件、有効回収率は29%であった。【結果】常備している油は、2015年と同様にごま油、オリーブ油、サラダ油、キャノーラ油の順に多かったが、米油、機能性油が有意に増加していた。使用用途別でも、揚げ調理、炒め調理ともに米油、機能性油の利用が有意に増加した。揚げ調理に使用する鍋はフライパンが最も多く、鍋に入れる油の量は鍋の高さの半分から8分目までが有意に減少し、鍋の高さの半分までが有意に増加した。83%の人が少ない油での揚げ調理を経験し、油の量は揚げ種の半分程度が油から出ている量とする人が最も多かった。揚げ油を1回の使用で廃棄する人は36%と最も多く、65%の人が市販の凝固剤や吸収材を利用して廃棄していた。揚げ調理についての情報源はインターネットが76%と有意に増加し、テレビや雑誌、書籍、新聞は有意に減少した。この10年でインターネットからの情報は得やすくなったが、様々な油の調理特性や少ない油での揚げ調理の安全性も含めた適切な情報を発信する必要があると考えられる。
抄録全体を表示
-
小竹 佐知子
セッションID: 1D-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】『アンネの日記』著者アンネ・フランクの父オットー・フランク経営のオペクタ商会で販売されていたペクチン製品“Opekta”について紹介する。
【方法】1937(昭和12)年発行の書籍『Kook- en huishoudboek』(『料理と家庭の本』)を資料とし、p.90~98掲載の「HET MAKEN VAN JAM MET GEBRUIK VAN “OPEKTA”」(「“OPEKTA”を使ったジャムの作り方」)の内容および関連事項を調査した。著者Wilma Münchは農業・家庭科の教師であり、出版社はMünch書店、出版地はオランダのユトレヒト、版は初版1931年の改訂3版であった。
【結果】アムステルダムのオペクタ商会は、スイスバーゼル本社の支社として1933(S8)年にオットーによって開設された。主としてジャムやゼリー作りに使われるゲル化剤、ペクチンを製造・販売する会社であった。オットーはこのほかに、ペクタコン商会(肉製品の香辛料販売、1938~)も経営していた。アンネらが戦争中に身を潜めていた「隠れ家」はこれら商会の事務所建屋の裏側に位置していた。Opektaはリンゴから抽出したペクチンであり、天然由来であることが強調され、製品には液体品と乾燥品があった。Opektaの使用により、従来のジャムづくりに比べて、煮詰め時間が短縮されること、香り成分が保持されること、トロミのつきにくい果物でもジャムを作ることが可能なこと、が利点として挙げられていた。ジャム原材料の果物には、イチゴ、リンゴ、西洋スグリ、ブルーベリー、キイチゴ、スグリ、サクランボ、プラム、アンズ、モモ、ルバーブ、トマト、オレンジが掲載されていた。
抄録全体を表示
-
―食文化教育担当教員へのインタビュー調査から―
中川 寛大, 堀内 かおる
セッションID: 1D-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】 高等学校家庭科や調理師養成施設で実施されている食文化に関する専門教育は,食文化を継承・創造する資質・能力の育成を目標としているが,目標の達成に向けた授業の在り方や指導法が確立されたとは言えない。そこで本研究では,家庭に関する専門学科を置く公立高等学校と調理師養成施設の食文化教育担当教員の語りから,食文化教育の現状と課題を明らかにするとともに,食文化を継承・創造する資質・能力を育成する教育プログラム構築における示唆を得ることを目的とする。
【方法】 2024年12月から2025年1月にかけて全国の家庭に関する専門学科を置く公立高等学校もしくは調理師養成施設に在籍し,食文化教育を担当したことがある教員(各校1名)を対象とした食文化教育に関する調査に回答した教員で,インタビューへの協力を申し出た5人を対象に2025年2月から3月にWeb会議ツールZoomを使用して約1時間の半構造化インタビューを行い,トランスクリプトを作成して分析した。なお,本調査の実施にあたり横浜国立大学倫理審査を通過している(承認番号 非医-2024-43)。
【結果】 食文化に関する授業を通して育てたい生徒・学生の姿について質問した。自分も食文化の一翼を担っていることに気づくこと,自分たちで考えて食文化を残そうとか新たに創り上げたりすること,多様な食文化を認め合えることなどをねらいとしていることが明らかになった。また,食文化を継承・創造する資質・能力を育成することを目標にすることに対する考えについて尋ねた。その結果,新しい食文化を創造することは難しいと回答する教員がいる一方,食文化はずっと変化し続けており,その変化が創造だと回答する教員がおり,食文化の創造の捉え方が多様であることが示唆された。
抄録全体を表示
-
大西 弘太郎, 久保木 陽子, 神﨑 真色, 藤原 未彩, 白井 怜那, 源川 博久
セッションID: 1D-7
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】クルクミン (英: curcumin) は、ウコン (ターメリック (英: turmeric)、学名: Curcuma longa)などに含まれる黄色のポリフェノール化合物である。クルクミノイドに分類される。スパイスや食品領域の着色剤として利用され、日本ではウコン色素として既存添加物(着色料)に指定されている。クルクミンの生理作用として抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗アミロイド作用、抗炎症作用などが知られている。本研究では、辛い食事が苦手な子どもたちを始めとした若年層向けにターメリックを用いた新規レシピを作成したので報告する。【方法】6品目のレシピを作成した。味,材料,調理器具・調理方法,栄養価,経費・時間・手間等について検討を行った。【結果】今回のレシピは家庭等でも十分に作成可能な献立となりうることが示唆された。一方で、多くの献立は出来立てでなければ風味等が芳しくなくなるものが多い。弁当等を始めとして、ある程度時間が経っても美味しく食べられるようなレシピ開発が必要である。今回のレシピはターメリックを調味料として用いた料理が主である。本当の意味でターメリックが主役となるようなレシピ開発が今後の課題である。
抄録全体を表示
-
―深層学習による食感―構造相関に基づいた推定―
金子 瑠晟, 武政 誠
セッションID: 1E-1
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
[目的] おいしさの6割以上を食感が支配しており、食感を重要視した食品開発が行われてきた。食感は材料特性と食品構造の組み合わせで決定されるが「どの組み合わせで意図した食感が実現されるのか」を予測する事は困難である。本研究では、意図した食感を実現する食品構造を、食感から逆算して予測する手法を開発する。
[方法] 材料と構造から食感を評価することは可能である。この順方向の実験を多数実施し、逆方向、つまり食感から構造を推定する方針をとった。まず、単純な構造モデルとして、板ガムとせんべいを使用した6層構造を有する食品を作製した。前歯を模したプランジャーで、材料比率や材料配置が食感に与える影響を一軸圧縮試験で評価した。多岐にわたる構造を網羅すべく、深層学習により教師あり学習で予測を行い、構造予測モデルを構築した。未学習の圧縮挙動を入力することで材料配置を推定し、各層の予測確度と全層の予測が完全に一致した割合を算出して学習モデルの性能評価を行った。
[結果] 材料配置や材料比率の変更により食感が変化した。板ガム3枚, せんべい3枚で構成された6層構造(20種類)の材料配置と圧縮挙動の対応関係を学習させた予測モデルにおいて、全層の予測が完全に一致した割合は7割以上であった。未学習の材料比率や材料配置も予測される事が確認された事から、トレーニングデータセット内で内挿として予測することも可能であることが示唆された。データセッの拡大により細分化した多層構造や多様な構造も予測可能になる、と期待される。各材料比率で構成された6層構造の圧縮試験結果を統合した予測モデルの評価結果や、細分化した構造を高精度に作製する手法については当日議論を行う。
抄録全体を表示
-
ー歯型器具圧縮による6D計測 ー
杉原 諒, 武政 誠
セッションID: 1E-2
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】おいしさの6割以上は食感に由来する。食感評価には官能評価が主流であるが、機器分析による客観的評価手法開発が望まれている。代替が困難と言われるが、原因の一部は、口腔内と分析装置での評価条件が異なる点にある、と考えられる。ヒトでは咀嚼時に、歯を通し多様な力学応答を取得し、食感として知覚するが、1軸食品圧縮試験では、垂直圧縮荷重を解析する。官能評価との乖離を埋めるべく、歯形器具で圧縮し6次元の力学応答を取得し、深層学習を適用することで前述の課題解決が期待される。本発表では、特に食品サイズが食感に与える影響に関して1軸圧縮試験では得られない効果を検証する。
【方法】歯型器具で食品を圧縮し、力学応答を3軸の力、また各軸周りのモーメント、の計6次元情報を記録する圧縮試験装置を開発した。食品試料として、グミと煎餅を使用した。オートサンプラーも開発し、5000回を超える自動圧縮試験を実施し、深層学習での分析も行なった。
【結果・考察】グミの圧縮試験結果では、水平方向や回転方向に生じる力やモーメントが煎餅と比較して大きかった。グミは厚みが煎餅比で3倍程度のため、力学物性やサイズが同一であれば垂直圧縮荷重は同一ひずみで比較すると1/3となると期待される。大変形領域では荷重は約3倍となった。歯形形状により非等方性の圧縮, 結果として破断前に捻れ方向の変形を生じたことが、モーメント増大を引き起こした、と考えられる。このように厚みがあり、かつ破断ひずみが大きい食品では、従来の一軸圧縮試験結果と比較して、歯形形状で6次元計測を行うと食感に関して計測情報量が増大する、と考えられる。ヒトの知覚情報との乖離に関しても当日議論する。
抄録全体を表示
-
武政 誠, 天野 颯太
セッションID: 1E-3
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
おいしさは化学的、物理的な味から構成され、健康とおいしさを両立する食品が開発されている。カロリーゼロの人工甘味料、味覚センサーを利用した全く異なる物質から味を再現するなど、化学的な味は、設計と代替物質での再現が可能となりつつある。一方で物理的な味、つまり食感は高分子濃厚系の大変形特性に起因し、設計や、代替物質探索、さらには分析、評価も非常に困難である。官能試験は五感を活用し、また最終的な喫食時と同様の状況で評価するため最重要視されるが、安定性や客観性に課題が残る。これらの課題に対して、近年発展著しい大規模言語モデル(LLM)を食感分野で活用することを本研究で検討した。TPAで得られる食感の特徴値をもとに、食感オノマトペとの対応を確認すると、現状のLLM (ChatGPT-4o等)では、学習結果が不十分である可能性が示唆された。これは、LLMが文書のみから食感に関して学習を実行しており、アノテーションやファインチューニングに関しても食感が重視されていないためであると考えられる。この課題を解決することができれば、TPAを筆頭に、より詳細な食感を反映する分析結果、各種特徴値はもちろん分析結果を、言語で表現したり、またその逆、つまり言語で詳細に表現した食感を、TPA他の各種特徴値へと相互変換する道が拓れる、と期待される。前述の課題を解決するためには、LLMの追加学習が必須であり、そのためには食感ビッグデータが不可欠である。我々は、自動食品圧縮試験を構築しており、またスマートフォンを利用した咀嚼中の顔表面形状変化として、食感に関するビッグデータを計10万測定以上のデータベースを構築しており、これらを活用したLLMのファインチューニングを目指している。詳細は当日発表する。
抄録全体を表示
-
由良 亮, 佐藤 香菜子, 京極 奈美, 萩原 勇人, 楠瀬 千春
セッションID: 1E-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】栄養士には包丁操作や調理技術が求められるが、家庭における調理経験が不足しており、新入生の中には調理学実習へスムーズに参加することも難しい場合がある。また、指導者と初学者の間の感覚的な背景の違いにより、指導内容が正確に伝わらず、上達につながらない場合もある。そこで、包丁操作の特徴をモーションセンサーの記録を元に「見える化」し、客観的な視点から熟練者との違いを意識させ、指導に活用する方法を検討した。
【方法】短期大学1年生を対象に、持ち手部分にセンサーを装着した包丁できゅうりの小口スライス操作の動きを記録した。その後、データ解析の結果を元に、個々の操作データの特徴と、熟練者の動作データやインタビュー内容を参考に改善点を意識させ、段階的な指導を実施した。そして5週目に再度測定を行い、指導前とのデータ解析の変化を比較した。
【結果】指導前のデータではロール軸の動きが大きく、切込み角度が不安定に変化していたが、指導後はこの特徴は抑えられていた。また、それにより刃先を前方に押し出す動作も増加することで、ピッチ/ロール比が増加し、指導前は動作の傾向がはっきりせず不安定な動作だったが、安定するように変化した。また、参加学生12名全員に包丁後部のピッチ運動が増加する傾向が見られ、熟練者の動作の特徴に近づくことが確かめられた。
【結論】センサーデータによる「見える化」により、包丁練習を始めたばかりの者では感覚的に捉えることが難しい動作特徴を明確化することで、効果的なフィードバックが可能となったと考えられる。今後、改めて再試験を実施し、この効果を検証する必要はあるが。短期間で技術向上を目指す短期大学生への実践的な指導法として有用と考えられる。
抄録全体を表示
-
清水 公平, 島田 良子, 植村 百江, 濟渡 久美, 萱島 知子, 中村 絵美, 石川 伸一, 冨永 美穂子, 湯浅 正洋
セッションID: 1E-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】食卓環境は、料理のおいしさを決定する要因の一つであり、そのうち食卓における照明は料理・食品の視覚的印象と嗜好性に大きく影響する。本研究では、照度と色温度が異なる画像を用いて、料理・食品の印象および嗜好性と照明条件の関係について明らかにした。
【方法】兵庫県、大阪府、広島県、宮城県などの日本人大学生444人を対象に2024/6/1 ~ 7/31の期間でGoogleフォームを用いてアンケート調査を行った。調査内容は、実際に異なる6つの照明条件下(照度 200・1000 lux、色温度 4000・5000・6000 K)で料理・食品の写真(ハンバーグ、白ごはん、もりそば、いちご)を撮影し、五味・食べたさ(食べたい気持ち)・温度・食感の8項目の印象について7件法を用いて評価を行い、最後に6つの照明条件の好ましい順番について質問を行った。
【結果】すべての料理・食品において、甘味・うま味・食べたさの印象が明るいときの方が暗いときよりも、暖色の方が白昼色や寒色よりも有意に強く感じる傾向にあった。また、温度の印象は暖色であるほど温かく、寒色になるほど冷たく感じるという結果が得られた。料理・食品ごとの特徴的な結果として、ハンバーグと白ごはんは、照度条件に関わらず暖色であるほどうま味と食べたさのスコアが有意に高くなり、好まれる傾向も強かった。一方で、もりそばとイチゴは色温度条件に関わらず明るい方がうま味や甘味、食べたさのスコアが有意に高く、暗い条件で顕著に好まれない傾向が見られた。照度や色温度によって味覚や食べたさ、温冷感、食感の印象が変化したこと、ならびに料理・食品ごとでその影響が異なっていたことから、実際の喫食場面においても料理の種類によって最適な照明条件が存在することが示唆された。
抄録全体を表示
-
佐藤 之紀
セッションID: 1E-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】国際標準な食品官能評価方法を提示している国際標準化機構(ISO)では,官能評価結果の再現性の項目があげられている. そこで,食パンクラムの見た目のおいしさと見た目のかたさの関係の再現性を確かめた.
【方法】調製した食パンクラムを異なる6光源それぞれの下で撮影された食パン画像を用いて, おいしさとかたさの度合いをD65光源下で撮影された写真を対照(評価値0)として,7点評価法で算術平均で表した (弘前大学農学生命科学部研究倫理審査承認番号2024001).
【結果】D65光源下で撮影した食パンクラム画像プリントを1年間保管しても,L*a*b*のどの指標にもほとんど変化がなかった.USB保存されていたD65下のクラム画像のファイルを1年後に立ちあげて1年前と同機のプリンターで印刷したところ,1年間保存した画像よりもL*値はほぼ同値であったが,a*は5 Unit高く,b* は6 Unitほど低かった.そこで,1年間保管されたプリント画像を用いて官能評価 を行った場合 (Third test) と官能評価直前にプリントした画像を用いた場合 (New test) に分けて結果を解析した.色温度が低い光源ほど見た目のおいしさが高くなる傾向は,既報の2回の結果を含め,すべての場合に見られた.しかし,4例中1例に,一番光温度が低いFの光源下での見た目のおいしさの官能評価値が近接する光温度での値よりも低くならない場合がみられたが,見た目のおいしさと見た目のかたさの関係は,R 2 = 0.990 (Third test), R 2 = 0.859 (New test) とほとんど一致していた.さらに,この関係は過去の結果(R 2= 0.813 (Sato, 2024; UVデータなし), 0.865 (Sato, 2025)) ともよく一致していた.
抄録全体を表示
-
我如古 菜月, 糸谷 緋菜, 白木 那々世, 工藤 秀夫, 川﨑 明恵, 太田 健吾
セッションID: 1E-7
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】いりこ等を粉末化した「魚粉」は魚丸ごとの栄養成分を摂取でき、形態も粉末であることから様々な料理に応用しやすく保存性も高い。そこで本研究では、魚粉を食パンに添加した魚粉パンを作成し、どのような嗜好性を保持しているか検討することを目的として実験を行った。あわせて、魚粉添加したパンに柑橘を混合することで、魚粉添加により発生することが考えられる魚臭の抑制ができるか検証した。
【方法】魚粉を添加しないパンを基準とし(以下F0%)、これに魚粉を粉重量で5%(以下、F5%)、10%(以下、F10%)となるように混合した。また、八朔の皮を乾燥させ粉末化した八朔粉と甘夏ピールを、F5%には八朔粉2%と甘夏ピール10%を(以下KF5%)、F10%には八朔粉2%と甘夏ピール15%(以下KF10%)を添加した。試料はホームベーカリーで作製し一晩寝かせた後用いた。測定項目は水分含有率、比容積、色度及び明度測定、テクスチャー測定、味認識装置による測定、官能評価とした。
【結果】比容積は魚粉の添加割合が高くなるほど低下した。色度及び明度測定では、F5%やF10%ではL*値が低下し、KF5%、KF10%ではb*が上昇する傾向が見られた。パンのかたさは魚粉添加割合が高くなると高値になる傾向があったが、甘夏ピールと八朔粉を添加するとかたさの値が抑えられた。味認識装置による測定では、魚粉を添加することで旨味、旨味コクが高くなり、塩味は低くなる傾向が見られた。官能評価では、魚粉の添加割合が高いほど味は好まれなかったが、KF10%はF10%よりも好まれる傾向を示した。
抄録全体を表示
-
中山 由佳, 野田 寧, 玉木 有子, 石川 匡子, 小竹 佐知子
セッションID: 1E-8
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】アサリおよびシジミは,日本の食文化において重要な二枚貝であり,一般家庭で調理される頻度が高い貝類である.これらの貝類は砂泥中に生息しているため,体内に砂を含有していることが多く,調理する前に砂を吐かせること(砂出し)が必要である.本研究では,砂出しに用いる塩水の食用塩の濃度および含有成分が二枚貝の砂出し量およびうま味成分量に及ぼす影響を検討した.【方法】アサリは0,1.5,3,6%,シジミは0,0.5,1,2%の濃度の塩水を用いた.また,アサリについては,カルシウム,マグネシウムなどの苦汁含有量およびpHの異なる5種類の食用塩を3%に溶解した塩水を用いた.浸漬後の塩水をろ過した残渣を塩水中の砂量とし,浸漬後の貝を灰化してろ過した残渣を貝に残った砂量とした.砂出し量は,塩水中に移行した砂の重量と,身に残った砂の重量の合計を「全砂重量」とし,塩水中に移行した砂の割合を「塩水への砂出し率(%)」,身に残った砂の割合を「身に残存した砂重量(%)」として,それぞれ全砂重量に対する割合で算出した.【結果】アサリは,海水の塩分濃度に近い3%の塩水が最も砂出し量が多かった.また,苦汁成分を多く含む食用塩を溶解した塩水を使用すると,砂出し量が増加した.苦汁成分中のカルシウムおよびマグネシウムに効果がある可能性が示唆された.また,シジミにおいては,0.5%塩水を用いることで砂出しが促進されるとともに,うま味成分の流出を抑える効果が認められた.
抄録全体を表示
-
作山 みゆ, 林 達也, 潮 秀樹, 小南 友里
セッションID: 2A-1
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】sous-vide cookingは,調理時の栄養損失を最小限に抑えられ,また加熱による褐変が抑制されるなどのメリットが多く,新たな魚肉調理法としてさらなる普及が見込まれる.本研究は,魚肉のsous-vide cookingにおける加熱温度依存的なテックスチャー変化の詳細を明らかにすることを目的として,加熱温度とタンパク質変化の関係を詳細に解析した.
【方法】養殖ニジマス肉(Oncorhynchus mykiss)の背側普通筋を30×30×20 mmに切り出し,脱気包装した.30,40,50,60,70,もしくは80℃の湯浴にて30 min加熱したものを試料とし, TPAに供した.さらに,SDS-PAGE解析,組織学解析,ペプチドーム解析,DSC解析,FTIR解析に用いた.
【結果・考察】sous-vide cookingを行ったニジマスの肉の硬さは,加熱温度によって変化し,50℃で調理したもので最も低い硬さとなった.タンパク質の生化学的分析の結果から,加熱温度依存的なcollagenの変性,actinの可溶化、筋形質タンパク質の凝集,および筋原線維タンパク質の分解が示された.また,生物物理学的分析によって,40℃以上でのmyosinの熱変性および筋形質タンパク質の凝集が示された.さらに,これらのタンパク質変化の定量値に基づいて,sous-vide cookingによるニジマス肉の硬さの変化について,加熱温度を変数とした回帰分析を行った.得られた回帰モデルから,actinの可溶化,collagenの調理ドリップへの可溶化,collagenの分解,およびmyosinの熱変性がsous-vide cooking中のニジマス肉の軟化に寄与することが示唆された.
抄録全体を表示
-
山口 彩, 滝澤 天音, 冨永 優希, 赤野 裕文, 多山 賢二
セッションID: 2A-2
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】食酢には肉の軟化効果があることが一部で明らかになっている。しかし、実際に食酢を加えた際の肉の軟化作用がどのような機構で起こっているのか詳細までは明らかとなっていない。また鶏胸肉を対象とした研究は、ほとんど見出せない。この肉は他の肉と比べて安価で購入しやすいものの、パサパサした食感や淡白な味わいを苦手とする人も多い。そこで、まず本研究では鶏胸肉と食酢を組み合わせることで鶏胸肉のテクスチャーの変化が生じるかについて調べ、この機構についても検討した。
【実験方法】りんご酢希釈液(酸度3 %)もしくは対照としての水を、等重量の鶏胸肉と冷蔵庫内で16 時間接触させた(浸漬に近い状態)。その後、200 ℃で予熱したオーブンで中心温度75 ℃・1 分間保持し、試料とした。試料の加熱調理による重量減少率などの測定の他、pH測定、SDS-PAGEによる水溶性・筋原線維タンパク質の観察、コラーゲン量の定量、官能評価を行った。
【結果】両試料は加熱調理による重量の減少率に変化はなかったものの、テクスチャー解析において、本条件で食酢に浸漬した試料は、水に浸漬した試料よりも柔らかくなることが明らかになった。水に浸漬させた試料はpH6以上であるのに対し、食酢に浸漬させたものはpH4.6程度であったことから、酸性下でのプロテアーゼ作用による繊維タンパクの分解が示唆された。次に、筋原繊維タンパク質(ミオシンやアクチン)をSDS-PAGEで解析したところ、これらのタンパク質量の減少が示唆される結果を得た。これらの結果から、肉のpHがアクチン・ミオシンの等電点(pH 5.4付近)よりも低くなる効果に加え、内在性プロテアーゼによるタンパク質分解が促進されたことで、柔らかさの向上につながったと考えられた。
抄録全体を表示
-
髙梨 美穂, 阿部 雅子, 森下 雄太, 栗原 守, 綾部 園子
セッションID: 2A-3
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】豚枝肉を氷温域(0℃以下、凍る直前の温度帯)で長期間熟成させた「氷室豚(ひむろぶた)」は、食材の品質を損なわずに旨味成分を高める技術として知られている。我々は「氷室豚」を各種味噌に浸漬することによって生じる変化について検討している。本研究では、氷室豚および未処理豚の味噌漬の遊離アミノ酸量を測定し、長期熟成処理の有無および味噌との相互作用が、旨味成分に与える影響について報告する。
【方法】同一個体の氷室豚(14日間熟成)および未処理豚(バラ肉)を用い、4種市販味噌(西京味噌、信州味噌、八丁味噌、仙台味噌)をそれぞれ肉質量の10%量添加して密封し、0〜3℃で7日または14日間保存した。保存後、肉から味噌を除去し、真空包装して70℃で60分間加熱処理した。冷却後、試料を均質化して遠心分離し、水分層(肉汁)を分取し、その後ヘキサンで脱脂して固形層と脂肪層に分画し分析に供した。遊離アミノ酸は前処理後アミノ酸自動分析装置にて測定した。
【結果】味噌漬前の未処理豚と氷室豚の遊離アミノ酸量は、水分層ではセリンなど12種類のアミノ酸に有意差が認められ,固形層ではスレオニンなど11種類のアミノ酸に有意な差が認められた。主成分分析の結果,PC1は豚肉の機能性ジペプチドとして知られるカルノシン含量が大きく寄与し,PC2はグルタミン酸やアラニンなどのアミノ酸が寄与していることが示唆された。
味噌漬肉の遊離アミノ酸量の主成分分析の結果,浸漬期間に関わらず,未処理豚および氷室豚ともに,八丁味噌漬が他と比較して異なる分布を示していた。また遊離アミノ酸の増加量は,八丁味噌漬の増加量が有意に低く,一方で信州味噌漬の増加量が有意に高いことが確認できた 。
抄録全体を表示
-
宮崎 和真, 武政 誠
セッションID: 2A-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】タンパク質が不足するプロテインクライシスが危惧される中で、代替肉が近年注目されている。しかし、従来の代替肉は食感が本物の肉と比較して食感での満足度が低い課題があった。この課題を解決するために、肉の筋繊維構造を模倣した代替肉をレーザー3Dプリンターで精密に造形する技術を我々は開発した。
【方法】タンパク質にレーザー波長を吸収する食用色素(タートラジン)を添加することで、レーザーを照射した位置に限定した、局所的な加熱を引き起こし、タンパク質の熱変性を誘発させる。レーザー照射位置の間隔を調整することで, 繊維間の結合強度も制御することが可能である。この技術を用いて、15×15×10mmの代替肉を作製し、代替肉の繊維に対して、並行方向及び垂直方向に圧縮器具が当たるように、圧縮試験を実施して食感を評価した。
【結果】レーザー照射の間隔を調整することで、3Nから30Nまで代替肉の食感制御が可能となり、角煮のような「ほぐれやすさ」からステーキ肉の「歯応え」まで、幅広い食感を再現することに成功した。本研究では、加熱調理によって変化する肉の食感をも再現及び制御することにも挑戦した。生肉からレア、ミディアム、ウェルダンに至るまでの加熱段階で食感は変化する。これらの調理過程における食感をレーザー3Dプリンターで再現を試みた。さらに、ステーキ肉の内部をウェルダン、外部をレアにするなど、食感分布の創出も可能となった。本研究は、単なる肉の模倣にとどまらず、レーザー調理技術による食感設計や新規食感の創出を可能とする技術開発であり、次世代の食品開発に貢献することが期待される。
抄録全体を表示
-
城間 理沙, 冨田 晴雄, ラベ イヴァン, 福岡 美香
セッションID: 2A-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】ステーキ調理にはレア、ミディアム、ウェルダンなどの焼き加減を表す用語があるが、それらの判断基準は定量的に定められていない。本研究では、プロの料理人が経験と感覚で判断しているステーキ調理について、焼き加減の基準に関わる肉の状態変化を数値化し、シミュレーションによって予測・再現することを目的としている。
【方法】プロの料理人にレア、ミディアム、ウェルダンの調理を依頼し、焼成法と判断基準を分析した。この知見を基に、実験室では牛サーロインを一定サイズに整形し、IHクッキングヒートとフライパンで焼成実験を行った。焼成中、寝かせ工程を含めて表面、内部、空間の温度を測定した。重量変化率を算出し、肉の硬さ評価のために圧縮試験およびクリープ粘弾性測定を実施した。また、近赤外式非接触水分計(波長域900-1700 nm)を用い、焼成途上の肉表面の変化を非破壊で測定した。
【結果・考察】シェフは焼成中に「タッチング」と呼ばれる手法で表面の硬さを確認し、表面に上昇する水分の状態を視覚的に評価して焼き加減を判断していた。肉の力学物性および表面水分の挙動が焼き加減判断に重要であることが示唆された。 圧縮試験では歪率20%までに着目した結果、焼成初期では応力に大きな変化は見られなかったが、焼成開始から3〜5分で急激に応力が増加する傾向が確認された。特にミディアムでは、焼成3分時点での反転操作と一致しており、筋原線維タンパク質の変性と硬化が焼き加減の転換点と関係していると考えられる。 近赤外式非接触水分計による観察では、1420 nmにおける吸光度の2次微分と目視による水分の浮き出しのタイミングが一致しており、水分上昇の定量的把握が可能であることが示唆された。
抄録全体を表示
-
渡邊 礼菜, ラべ イヴァン, 酒井 昇, 福岡 美香
セッションID: 2A-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】ステーキの多汁性は、うま味成分の保持や食感に関わる美味しさの重要因子である。その多汁性は、加熱に伴う水分移動により大きく左右されるが、各焼き加減における肉の内部状態を定量的に示す指標は、未だ確立されていないのが現状だ。本研究では、水分流出挙動を明らかにし、調理損失の予測を調理シミュレーションモデルに加えることを目的とした。これにより、温度や水分挙動を予測することで、求める食感や多汁性を安定して再現可能とする加熱条件の最適設計に資する調理シミュレーションモデルの構築を目指す。【方法】メキシコ産牛サーロイン肉(6.5×6.5×2 cm)を、卓上型IHクッキングヒーターとフライパンを用い、プロの料理人の調理手法を参考に調理した。レア・ミディアム・ウェルダンの3条件で温度履歴および調理損失率を測定した。3次元熱伝導方程式に基づく温度シミュレーションを行うと共に、タンパク質変性(筋原線維タンパク質、筋鞘タンパク質(水溶性タンパク質))を考慮した物質移動解析としてダルシーの法則の適用を検討した。これらの数値解析は、Fortran言語で作成したプログラムにより実行した。【結果・考察】焼成・寝かせ工程の各工程において、焼成・寝かせ時間の増加に伴い調理損失量は増加した。レア、ミディアム、ウェルダンについて、焼成工程では約6%、11%、19%、寝かせ工程では約1%、5%、6%の調理損失が生じた。表裏焼成による調理損失量は同程度であった。タンパク質変性率に応じた透過係数・粘度の導入(透過係数は筋原線維タンパク質、粘度は水溶性タンパク質と関連)が、シミュレーション精度向上に寄与した。今後はうま味成分の流出を調理損失と紐づけ、美味しさの要素を予測可能なモデルへ発展させる。
抄録全体を表示
-
山浦 寛大, 武政 誠
セッションID: 2B-1
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】食品の表面に呈味物質が不均一に分布していると、均一な分布と比べて強い味覚が知覚されることが報告されている。3Dプリンタを用いて食品の表面、さらに内部の呈味物質を、粒度など不均一な分布となるよう設計することで、味覚の知覚タイミングや強度を意図的に変えることを目的とした。
【方法】フード3Dプリントに必要なペースト状の食品(以下フードインクと称す)を作製した。呈味物質の有無や濃度の異なる数種類のフードインクを作製した。呈味物質の空間分布を設計した3Dモデルを、食品全体の総呈味物質量は固定した設計でプリントした。被験者にプリントした食品を摂食させて、TI法によって味覚の強さや知覚タイミングを経時的に評価した。
【結果】舌に触れる食品表面に塩を不均一に配置した際の塩味の知覚を評価した。縦横20mmの表面を4ブロックに分けて、縦横10mmの対角線上に塩を配置した場合、塩味が強く知覚された。さらに細かくすると均一配置と同等の塩味の強さとなり、10mm角程度の塩の領域を不均一に分布させることが塩味増強に効果的と示唆された。また表面に塩は分布させず、内部のみに塩を分布させることで、食品全体に均一に塩を分布させた場合よりも、塩味を知覚し始めるタイミングを遅延させることが可能であった。また、強い塩味が複数回知覚されるよう、表面に塩を不均一に分布させ、梅干しおにぎりのように内部にも塩を分布させることで、均一に塩を分布させた時よりも強い塩味を長い時間知覚させることに成功した。
抄録全体を表示
-
池ヶ谷 篤
セッションID: 2B-2
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】
果実や果菜類の「おいしさ」を評価する上で多汁感は大きく影響していると予想されるが、その詳細は不明なことが多い。本研究では同じ量と配合の果汁と凝固剤から物性のみが異なるサンプルを作出し、官能評価で比較することで多汁感が食味や嗜好性に与える影響を明らかにした。
【方法】
イチゴ、ミカン、メロンの果汁に寒天を加えて固めたサンプル(ゲル状サンプル)と、水を固めてから凍結乾燥させた無味無臭のスポンジ状の寒天に果汁を染み込ませたサンプル(スポンジ状サンプル)を調製した。ゲル状サンプルとスポンジ状サンプルは水分率、果汁放出率、硬さ等を機器分析するとともに、官能評価で甘み、酸味、多汁感の強さと嗜好性を比較した。
【結果および考察】
調製したサンプルの水分率はイチゴのみスポンジ状サンプルが低かったが、これは果汁の浸透量が少なく、サンプル中の凝固剤の比率が高くなったためであると考えられた。ミカンとメロンはサンプル間で水分率に差はなかった。また、いずれもスポンジ状サンプルが柔らかく、果汁放出率が高かった。
官能評価結果については、いずれもスポンジ状サンプルの多汁感が有意に強いと評価された。ミカン、メロンは水分率に差がなく、イチゴはむしろスポンジ状サンプルの水分率が低かったことから、水分率が高くても単純に多汁感が強まるわけではないことが示された。また、いずれもスポンジ状サンプルの甘みが有意に強いと評価されたが、酸味については差がなかった。嗜好性はミカンにおいては多汁感の強いスポンジ状サンプルが有意に好ましいと評価されたが、イチゴ、メロンでは差がなかった。これらの結果から、多汁感の強さは必ずしも嗜好性を高めるわけでないことが示された。
抄録全体を表示
-
下藤 悟, 甫木 嘉朗, 森山 洋憲, 明神 真, 山脇 朋泰
セッションID: 2B-3
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】食品加工事業者では品質管理や商品開発を目的とした官能評価が行われているが、より高解像度な解析を行うためには信頼性の高い比例尺度データを収集したい。そこで、実際の現場で行われた官能評価の評価傾向を数値化することで、データ活用のための課題を明確にすることを目的とした。【方法】試験は酔鯨酒造株式会社にて実施した。対象試料は清酒である。評価者は9名とした。まず、パネリスト選抜試験を行った。項目は3種類の順位法(日本酒度、酢酸イソアミル、酸度について5検体ずつ)、五味+金属味の判別、Open Essenceによる香りの判別とし、正答率で評価者を3つに分類した。続いて製品評価のデータを収集し、評価傾向をランダムフォレストによる重要度と重回帰分析による重回帰係数で判定した。試料は201品(ただし評価者で評価数が異なる)、評価は2024年1月~9月までの間に実施した。評価項目は0-100のLAM尺度法(香り・甘味・酸味の強さ)とした。試料の特徴は清酒の一般的な成分値(香気成分8成分、グルコース量、酸度、アミノ酸度、日本酒度、アルコール濃度)を分析した。評価結果を目的変数、標準化した成分値を説明変数として回帰分析を行い、決定係数を算出した。【結果・考察】香りと甘味の強さについて、選抜試験の正答率が高い評価者は決定係数が0.50~0.94と高く、分析値に基づいた評価をしていることが示された。しかし、評価傾向はいずれの項目も正答率と関係性が見られなかった。選抜試験の正答率が高く、評価傾向が揃っていることが事業者にとってデータの信頼性が高い状態といえるため、それに向けた課題を決定係数と評価傾向を数値比較することで明確にできた。
抄録全体を表示
-
西成 勝好, ヤン ナン, ガオ ジミン, ザン カ
セッションID: 2B-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】 渋みは唾液中のプロリンリッチなタンパク質がタンニンなどと結合して起こるという説が優勢であるが、最近の発展を考慮し、過度の渋味を減らす手法の開発を考えるために、さらなる検証が必要である。トランス脂肪酸の健康上の問題を考慮すると、オレオゲルの利用によるマーガリンやバターの代替レシピの持続可能性を考慮した開発は重要である。
【方法】 ワインの渋みについてはモデルワイン(酒石酸、エタノールとタンニンの混合系)とモデル唾液(ブタ胃由来ムチンと無機塩類より調製)の摩擦係数をSteel on 3 PDMS pins法により測定し、官能評価と比較する。大豆繊維粒子を溶解しない大豆油に微小量の水を加えるとオレオゲルを形成できるが、パンの焼成に応用した場合のテクスチャーの改善の度合いを検討する。
【結果と考察】 Stribeck曲線の境界潤滑領域における摩擦係数の最大値はモデルワイン中のタンニン濃度および官能評価での渋味強度と強い相関関係を示したので、ワインの渋味はワイン中の渋味誘因物質であるタンニンと唾液中のムチンの複合体形成により起こるという説でほぼ説明できると考えられた。しかし、渋み誘引物質と口腔内粘膜との相互作用に関しては、活発な研究が継続されており、さらなる検討が必要である。オレオゲルを使って、バターを使ってできたパンと遜色のないパンを作ることができ、優れた製パン性を示すことが分かった。パン以外の食品への応用も有意義と考えられる。Zhu, Yang et al, J. Texture Stud.,55, e12820 (2024) ; Li, Gao et al, Food Res. Int.,164 112369 (2023)
抄録全体を表示
-
中野 郁也, 小泉 晴比古, 大石 憲孝, 木村 勇気, 山﨑 智也, 浜本 一洋, 上野 聡
セッションID: 2B-5
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
[目的]近年、マーガリンやショートニングなど、加工油脂食品中のトランス脂肪酸の排除と飽和脂肪酸含量の引き下げを目的とした食用油脂として、オレオゲルが注目されている。オレオゲルとは、液状油に10 wt%未満のゲル化剤を加えることにより形成される半固体状の物質である。これまでの研究では、トランス脂肪酸を含まない低飽和脂肪酸マーガリンの作製に向けた研究が行われており、その一環として、トリアシルグリセロール分子の一種であるPSPを多く含む、ゲル化剤(FHHPMF)をキャノーラ油に0.5 wt%添加し、オレオゲルを作製したところ、繊維状の結晶が晶出した。また、透過電子顕微鏡(TEM)観察から、オレオゲル中の繊維状結晶が、単結晶の特徴を持つ、ウィスカー結晶であると明らかになった。また、ウィスカー結晶から構成されたオレオゲルは、高い安定性と粘弾性を持つことが分かっている。そこで、本研究では、物性制御可能なオレオゲルの開発に向けたウィスカー結晶形成メカニズムを明らかにすることを目的とした。
[方法]高純度PSPをゲル化剤としてキャノーラ油に加えたサンプルについて、暗視野顕微鏡(DFM)観察とTEM観察による結晶構造評価を行った。また、いくつかの液状油にFHHPMFをゲル化剤として加え、冷却時間と保管温度を制御したオレオゲルについて、DFM観察とレオロジー特性試験を行った。
[結果]高純度PSPを用いたオレオゲルを、より高温で保持すると、ウィスカー結晶がより長く伸長するという結果が観察された。また、冷却制御を行うことで、異なる種類の液状油でも、ウィスカー結晶が発現した。発表当日には、ウィスカー結晶の形成制御と物性の関係についても説明する。
抄録全体を表示
-
三上 春菜, 小泉 晴比古, 上野 聡
セッションID: 2B-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/30
会議録・要旨集
フリー
【目的】以前は、加工油脂食品製造には部分水素添加法が用いられてきた。しかし、製造過程で、健康リスクがあるとされるトランス脂肪酸を副産物として生成してしまうことから、現在は植物ワックスを用いたオレオゲルでの代替が注目されている。オレオゲルとは、少量のゲル化剤の作る三次元網目構造が、多量の液状油を包含している半固体状の物質である。食品に応用するには、より低濃度で安定な物性を持つオレオゲルを作製する必要がある。よって前年度の同学会において、オレオゲルを低濃度で安定的に作製する方法を検討し発表した。今回はそのオレオゲルを、市販のマーガリンやバターにより近い油相中に水相を分散させたW/Oエマルション系にして、比較することを目的とする。【方法】本研究では、ゲル化剤として精製ひまわりワックス、液状油としてキャノーラ油、オリーブオイルを用いた。ゲル化剤と液状油、乳化剤、超純水をTKホモミキサーを用いて撹拌し、2種類のオレオゲルエマルションを作製した。このオレオゲルエマルションの保存安定性試験を行い、オイルオフ量の測定を行った。また、実際にクッキー中にオレオゲル、W/Oエマルションをそれぞれ用いて、焼き上がりの評価、比較を行う。【結果】3%ひまわりワックスオレオゲルを用いるとオレオゲルエマルションは作製できた。作製したエマルションを比較すると、キャノーラ油で作ったものよりもオリーブオイルで作ったものの方が硬く、もったりとしたテクスチャーになった。保存安定性試験ではキャノーラ油よりオリーブオイルを使ったものの方がオイルオフ量は少なくなった。この考察については当日解説する。また、当日はクッキーの焼き上がりの評価についても発表する。
抄録全体を表示