日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a10
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口頭発表
アレルゲンの心配の無い大麦麹を使用した鰹魚醤の調理法の検討
*小関 佐貴代中道 由香山田 幸子横山 定治田中 将行河野 竜一
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キーワード: 魚醤油, , 大麦麹
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抄録


目的:ノンアレルゲン調味料を目的に、鰹節と大麦で麹を作り、鰹節生産時の残渣を分解することで、鰹全体を原料とする鰹魚醤を開発し、種々の調理法と併せて嗜好適性を検討した。
方法:1)魚醤油の作成:鰹節出汁抽出残渣、鰹エキスおよび裸麦を培地とし麹菌を接種し、高プロテアーゼ活性の大麦麹を作成した。大麦麹を鰹残渣に添加し、鰹魚醤を試作した。2)調理法の検討と官能評価:試作鰹魚醤の嗜好適性を市販醤油と官能評価により比較した。官能評価は、1%未満の塩分濃度を感知可能な19から21才女性24名が茄子の煮物、揚げ茄子煮、炊き込みご飯、イカの煮物について、「風味」「塩味」「おいしさ」を5段階評価した。
結果:1)鰹魚醤の作成:鰹残渣ミンチ300kg、水300kg、食塩100kg、麹50kgを45℃で1.5ヶ月間分解した。試作品は総窒素1.49%(W/V)、ホルモール窒素 0.74%(W/V)、pH5.0、ブリックス29.2、塩分17.4%(W/V)であり、遊離グルタミン酸とアスパラギン酸を多く含んでいた。2)調理法の検討と官能評価:茄子の煮物で比較すると「おいしさ」は、市販醤油と試作鰹魚醤では44%、39%と大差はなかった。「塩辛さ」は市販醤油では「とても塩辛い」「塩辛い」が67%、鰹魚醤は45%と低く、鰹魚醤には旨味成分が多く含まれ塩辛味をまろやかにした。「風味」は、市販醤油では「とても良い」「良い」で56%であり、鰹魚醤では34%と低かったが、油処理した茄子煮では51%と高くなった。一般に魚醤油は特有のかおりを有するが、試作鰹魚醤はそのかおりが薄いため、調理法を工夫することによって利用可能と考えられた。試作鰹魚醤は原材料に大豆、小麦を使用せずアレルギー体質者の場合に有用な調味料であると示唆された。(本研究費の一部は農水省ブランド・ニッポン加工食品供給促進補助金に依った)

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© 2005日本調理科学会
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