日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: P-29
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ポスターセッション
東海・北陸地方の魚の調理とその地域性
*堀 光代水谷 令子
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抄録


目的:本研究は2003から2004年度に実施された本学会の特別研究「魚介類の食べ方の地域性」として公表されている調査データを用い、東海・北陸地方(愛知・三重・岐阜・長野・福井・石川・富山)の魚類とえび・かに、いか・たこ類の調理と各地区間の特徴と違いを明らかにすることを目的にまとめたものである。
調査内容:本調査に関わった研究者は36名、調査世帯数の合計は636、出現した総料理数は25378で、出現した料理数には大きな差があったが1世帯あたりの平均は39.9であった。いずれの県においても海魚の利用が最も多く、総出現数の平均75%、淡水魚7%、甲殻類と軟体類で18%であった。また出現した魚介類は214種(食品)であった。
結果:海魚の利用が多かったのは石川・福井県、淡水魚が多かったのは岐阜・長野県で、えび類が多かったのは富山県であった。調理法別に見ると生ものは三重・石川・富山・福井県、焼き物は愛知・富山・福井県、飯物は岐阜県が多かったが調理法のみでは著しい地域差が見えてこなかった。しかし、利用されている魚介種には地域で特徴があった。太平洋側では利用される魚種数が多彩であるのに比べ日本海側では利用される(好まれる)魚介種にかたよりが見られた。愛知県と三重県は伊勢湾に、福井県と石川県と富山県は日本海に面し、岐阜県と長野県は海のない県であるが、現在では魚介類においても冷凍などの保存技術や物流網が発達し、調理文化の地域性は薄れてきているといわれているものの「ひしこ」「いかのくろづくり」など地域特有の調理法も散見された。

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© 2005日本調理科学会
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