日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 1F-a6
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口頭発表
「伝統食品としての干し大根の利用方法に関する日本と台湾の比較調理学的研究」
*福永 淑子
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抄録


目的: 伝統食品の切り干し大根は、日本や台湾では日常的な食材として利用されており、現代の食生活にもたいへん貴重な食材である。東南アジアのタイなどでも一般的な食材として利用されている。日本の干し大根は切り干し大根と凍み大根がある。今回は、大根の新しい利用法を検討することを目的として、福島県東白川郡鮫川村で作られた凍み大根と台湾産半乾燥干し大根について物性を比べ、調理方法や嗜好性などを検討した。
方法: 凍み大根の作り方を観察し、凍み大根の水分、調理時に戻し時間と戻し汁の糖度を調べた。また、戻した日本の凍み大根と台湾産干し大根の硬さを測定した。日本の凍み大根は日本の伝統的煮物(凍み大根煮物)、台湾産干し大根は台湾の伝統的炒め物(菜脯蛋)として調理し、これら2つを25名づつの日本人と台湾人(年令層を10代から70代)による官能検査を実施し、これら2種類の干し大根の嗜好性を検討した。
結果: 凍み大根の平均した水分含量は、10%で、台湾の半干し大根は64.5±0.49%であったが、塩分が高かったので、半干しの状態でも長期間の保存が可能であると考えられた。凍み大根については、その戻し汁も利用した方がよい味と甘みのあるものができることがわかった。戻した凍み大根を繊維に垂直して噛む場合は14.4±1gf、水切った後は16.4±3gfであった。台湾産半干し大根は7.4gfで、凍み大根と比べ、かなり柔らかいことがわかった。2種の嗜好性を官能検査した結果、凍み大根煮物は日本人も台湾人も大好きと判定された。抵抗感はなく、特に中年層には大変好まれることが分かった。台湾の「菜脯蛋」についても、日本人も台湾人にもたいへん好評であることが分かった。従って、嗜好性の高い食材として大根を干し大根として利活用できる可能性が高いことが確かめられた。

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