抄録
目的:いも類の日本における食事形態は多岐にわたるが、九州の特徴はどのようなものであろうか。日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学」-豆・いも類利用の地域性-で著者らは、九州地域におけるいも類摂取頻度について聞き取り調査を行った。今回は、いも類のイメージ調査と嗜好調査を加えて、いも料理の摂取頻度について方法を変えて調査した。
方法:いも類(じゃがいも、さつまいも、やまいも、さといも)のイメージ調査ではSD法を、嗜好と摂取頻度については順位法、評点法により調査した。調査地は九州各県から1から2カ所を選定し、県庁、農協、食生活改善推進連絡協議会、民生委員、大学教員などを通じて郵送によるアンケート調査を行った。有効なアンケート回収枚数は912枚で、集計・解析はエクセルとSPSSで行った。
結果:4種のいも類にその他を加えて、好きな方から1から5の順位で表すと平均でじゃがいも2.03、さつまいも2.12、さといも2.63、やまいも3.15の順であった。またイメージでは日常品、おいしい、体によいなどのイメージを強く持っており古い、手間がかかる、太りそうなどのマイナスイメージは弱かった。またいも類は50代で53.6%、60代では48.2%がとても好きになった、あるいは好きになったと回答した。摂取頻度は高い順にじゃがいもは肉じゃが、サラダ、カレー、さつまいもは天ぷら、焼き芋、ふかしいも、里芋は煮物、豚汁、味噌汁、山芋はとろろ飯、お好み焼き、やまかけの順で、市街地と農山村別に摂取頻度を比較すると、さつまいもで有意差がみられた料理が多かった。