日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: P-6
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ポスターセッション
近畿地方の行事にみるさば料理
*志垣 瞳太田 暁子冨岡 典子福本 タミ子山下 英代
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抄録


【目的】
 平成15・16年度日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-魚介類-」の結果をもとに、近畿地方の行事に供されるさばの調理法や地域性を検討した。
【方法】
 日本調理科学会近畿支部食文化分科会会員19名が、2府4県の48地区、157世帯を対象にアンケート・聞き取り調査を行い、近畿地方で食べられていると思われる112種類の魚介類の中から、各家庭で食べる魚介類の種類、入手法、調理法、食べる時期(季節、日常・行事、行事名)などを回答してもらった。本報ではその調査結果から行事食として記載されたさばを取り上げて集計した。
【結果】
 さばは近畿地方のどの府県においても行事食に供され、その多くは塩さばにして利用されていた。行事食のさば料理は飯もの(特にすし類)が最も多く、次いで酢のもの、煮もの、焼きもの、麺類、生ものの順であった。正月・祭りの祝い事にはさばずし、棒ずし、姿ずし、柿の葉ずし、なれずし、ばらずしなど多種類のすしが各府県からあげられ、すしの形態には地域差がみられた。また、葬式・盆・十夜などの仏事にもさばの煮付け(兵庫県豊岡市)やしめさば(奈良県山添村)、塩焼き・煮付け(京都府伊根町)、はやずし(和歌山県有田郡)が供されていた。さらに、田植え労働の食として田植えじまい・五月見舞いに焼きさば飯(兵庫県神戸市、豊岡市)やさばそうめん(滋賀県伊香郡、湖北町)、焼きさば(滋賀県伊香郡)が伝承されていた。このように近畿地方においては、海のない滋賀県、奈良県、京都府の内陸部においてさばが行事食に利用されるのは、古くから鯖街道が発達していたことが要因と考える。*(社)日本家政学会第58回大会研究発表要旨集、P 71(2006)

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