日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 1E-a3
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口頭発表
大豆の水浸漬・加熱調理に伴うイソフラボン等の機能性成の変化
*森山 三千江大羽 和子
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抄録

【目的】
 大豆は乾燥して貯蔵するため水浸漬した後に調理して食するが、この浸漬温度や時間および調理法によりイソフラボンやポリフェノール量がどのように変化するかを研究した報告は少ない。本研究では異なる4種の大豆を用いて最もイソフラボン量の多い浸漬温度と時間を検討した。さらにその条件で浸漬した大豆を異なる調理操作で調理を行い、イソフラボン量、ポリフェノール量、ラジカル捕捉活性を測定し、最も効率よく機能性成分を摂取できる調理操作を探求することを目的とした。
【方法】
 秋田県産の乾燥大豆4種を水浸漬した後、茹で加熱、蒸し加熱、真空調理を行ったものを試料とした。イソフラボン量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、アグリコン、グルコース配糖体、マロニル配糖体を分離定量し、ポリフェノール量はFolin-Dennis法を用いクロロゲン酸当量に換算し、ラジカル捕捉活性は1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)法を用いμmolアスコルビン酸当量に換算した。
【結果および考察】
 大豆イソフラボンのグルコース配糖体、マロニル配糖体、アグリコンの総イソフラボン量とポリフェノール量は25℃18時間浸漬後で多かった。調理後の総イソフラボン残存量は蒸し加熱と真空調理で多く、茹で加熱は浸漬後の40~80%の残存率であった。調理後のポリフェノール量は蒸し加熱>真空調理>茹で加熱の順で多く、蒸し加熱では浸漬後より増加していた。DPPHラジカル捕捉活性はすべての調理操作で浸漬後より減少したが、蒸し加熱、真空調理、茹で加熱の順に残存率が高かった。乾燥大豆を25℃で18時間浸漬後、蒸し加熱や真空調理すると機能性成分を多く摂取できると考えられる。
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© 2007日本調理科学会
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