抄録
【目的】
篩い下米と称される一定基準の大きさに満たない米は、価値の低い米として扱われ、その発生量は収穫量の約6%にも達する(H16年度岩手県産)。H15年の大冷害を受けて計画された冷害対策事業(H16-H18)のなかで、この篩い下米の新用途開発を行うことになった。篩い下米は炊いたとき“粘りが少なく”、“ぱさつく”等の特徴があることから、麺の原料として配合し易いと考えられ、デンプンに関する品質特性調査を行うとともに、冷麺への配合用途を検討した。
【方法】
篩い下米は、H15及びH17年産ひとめぼれ、あきたこまちの粒厚の異なる3規格を入手し、デンプンの品質特性調査としてアミロース含量、アミログラフ測定を行った。官能評価のための試作には、市販規格外米である“中米(上)”を試験区に加えた。製麺は、油圧式押出機による押出法と、蒸練機とフッ素樹脂コーティングしたロール式製麺機の組合せによる蒸練法の、2種類の方法を検討した。
【結果】
(1)H15年産(冷害被害米)及び17年産(平年作)の篩い下米について、デンプンの品質特性を調査したところ、粒厚と糊化開始温度、粒厚とアミロース量の間に、比例的な関係は認められなかった。(2)篩い下米米粉の冷麺への配合用途開発では、米粉の割合を30%(対粉)として検討した。押出法ではソフトな食感の麺であったが、蒸練法では本来の冷麺に近い食感の冷麺が試作出来た。