日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-29
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ポスターセッション
料理教室を通した食育の実践
*磯部 由香早川 巳貴平島 円中井 恵子中井 茂平
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キーワード: 食育, 料理教室, 調理技術
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抄録

【目的】近年、「食育」が推進されているが、家庭・学校だけでなく、様々な実践の場が期待されている。そこで、本研究では、地域や企業が提供できる場として「料理教室」に注目した。「料理教室」という場を通じて多くの調理体験をさせることが、多くの調理技術や知識の習得につながるという仮説を検証した。
【方法】平成21年5~7月に上野ガス(株)保有施設FLAMMEにて子ども対象料理教室「ワクワクキッズクッキング」(全3回)を実施した。参加者は家庭科を履修する小学校5、6年生 29名であった。料理教室参加前(0ヵ月)とその6ヶ月後に調理技術および知識に関するアンケートを行った。また、比較対照として同時期に三重県の小学5、6年生に対しても、同様の調査を行った。
【結果】料理教室に参加することで、「鍋で湯をわかす」「だしをとる」「包丁で皮をむく」「グリルで魚を焼く」「野菜をゆでる、煮る、炒める」「混ぜる」「つぶす」「味付けをする」が有意にできるようになり、「輪切り」「さいの目切り」「ささがき」「小口切り」「短冊切り」「くし形切り」「乱切り」の知識が有意に高くなった。料理教室に参加していない小学生では調理技術2項目、知識3項目で有意差がみられ、いずれも6ヵ月後の調査の方が高かった。料理教室開始前では料理教室参加者・不参加者の調理技術、知識はほぼ同じであったが、料理教室参加後の小学生は不参加の小学生より調理技術の6項目、知識の7項目で有意に高かった。すなわち、小学校の調理実習や家庭での実践のみでも6ヶ月の間に調理技術や知識は高くなるが、料理教室を経験した子どもの方により大きな変容がみられ、食育としての料理教室は有効であったといえる。

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© 2010日本調理科学会
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