日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 1P-56
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ポスターセッション
過熱水蒸気によるスポンジケーキの焼成
ガスおよび電気オーブンとの比較
*四宮 陽子森村 咲子
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抄録

目的】過熱水蒸気は100℃より高温の無色透明の水蒸気で、熱効率が非常に高く、低環境負荷で乾燥、加熱、焼成、焙煎、炭化、殺菌、熱分解作用などを持ち、近年その技術はスチームコンベクションオーブンとして家庭用オーブンにも取り入れられている。しかしその機能は、脱油効果やビタミンC破壊抑制などの健康面が強調され、調理効果は不明な点が多い。そこでオーブン加熱の重要な用途である膨化食品の焼成について、スポンジケーキを試料に、従来のオーブン加熱との比較を試みた。
方法】加熱器は、スチームコンベクションオーブン(ウォーターオーブンヘルシオAX2000 (株)シャープ)、電気オーブン(RE-M110-C (株)シャープ)、ガスオーブン(コンビネーションレンジ RMC-703 EG-F リンナイ(株))を使用した。スポンジケーキは常法で調製し、加熱は予備実験からスチコン(160℃35分)、電気(180℃40分)、ガス(160℃30分)とし、焼成1時間後に官能検査、焼成1日後にテクスチャー(クリープメーター(RE3305 (株)山電))、色(分光測色計(CM-3500d (株)ミノルタ))、比重(菜種法)を測定した。
結果】比重は大きい順にスチコン、電気、ガス、またテクスチャーのかたさ応力は大きい順にスチコン、電気、ガス、凝集性はスチコン、ガス、電気で、スチコンは他と比較して膨らみがやや悪くかたいという評価であった。色測定は外部、内部とも肉眼では判別できない程度の差で、傾向は取れなかった。官能検査では、スチコンは焼きむらは少ないが外皮が厚く、詰まった感じにややかたく焼き上がり、他と比較するとスポンジケーキとしては余り好まれなかった。加熱初期の大きな潜熱の影響が考えられた。

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