日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-a6
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口頭発表
各種グリルによる鶏もも肉自動調理の比較
*伊藤 あすか宮藤 章佐宗 洋子荒木 正広吉竹 史郎都留 理恵子渋川 祥子柿沼 卓也
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抄録

【目的】昨今、過熱水蒸気調理機能が付いた電気オーブンや電気グリルが注目を集め、過熱水蒸気を利用した調理により、効果的に脱油するといわれている。一方で、従来のグリル調理によっても油分が落ちることは知られている。加熱方法により脱油の度合いがどの程度が異なるのか、また、過熱水蒸気の存在の効果を検証する。 【方法】過熱水蒸気調理機能が付いたグリル(以下、過熱水蒸気グリル)、従来型のIHクッキングヒータのグリル(以下、電気グリル)およびガスグリルについて、それぞれの鶏もも肉自動調理モードを用いた調理を実施、調理物の脂質量、調理前後の重量変化を比較した。また、各調理機器の鶏もも肉自動調理モードにおける受熱量を黒色銅ブロックおよび研磨銅ブロックを用いて測定し、比較した。 【結果】鶏もも肉の調理比較(各条件ともにn=3)において、調理物の脂質量(含有率)は過熱水蒸気グリルでは7.6±0.4%、電気グリルでは8.8±2.0%、ガスグリルでは7.3±0.4%、であり、過熱水蒸気の有無による差は認められず、ガスグリルを用いた場合には過熱水蒸気を利用する場合と同等の脂質量低減を実現できることが示された。また、調理前後の重量変化は、過熱水蒸気グリルにおいて-31.5±0.4%、電気グリルにおいて-24.5±0.9%であり、ガスグリルでは-19.7±2.1%と最も変化が小さかった。受熱速度についてはガスグリルで最も大きく、過熱水蒸気グリルの調理時間21分、電気グリルの調理時間19分に対して、ガスグリルの調理時間は12分であり、より短時間の調理を実現できていた。総受熱量と脂質量の間には相関は見られなかった。受熱量に関しては、輻射も考慮に入れた検討結果を報告する。

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