日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成22年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-a3
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口頭発表
加熱調理における最適調理条件の予測と温度制御型IH調理システムへの応用
*遠藤 瑶子平野 正義香西 みどり
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抄録

【目的】野菜の調理加工において最適調理条件を科学的手法によりに予測することは嗜好性のみならず省エネルギーなど種々の観点から重要である。本研究では煮物調理における野菜の硬さの変化及び食塩の拡散に着目し、両者が最適となるような調理条件をプログラム計算により予測し、温度制御可能なIH調理システムを用いて実際に調理を行った時の品質および消費エネルギーの評価を行うことを目的とした。
【方法】IH調理システム(3相200V,3kW)を用いて電力の制御により調理を行った。水1~4Lを加熱した際の水温履歴を用いて、プログラム計算により最適加熱時間の予測を行った。水温上昇期および下降期の利用の有無を組み合わせて4通りの加熱法を設定し、水と試料の重量比、試料形状および種類(ダイコン、ニンジン、ジャガイモ)の検討を行った。調味液の食塩濃度は1%とした。4通りの加熱法でポトフを調理し、官能評価および調理に要した消費エネルギーの測定を行った。
【結果】水と試料の総重量に対して、試料重量が1/3以上の場合には加熱停止後の水温下降履歴に影響を及ぼすため、余熱を利用する際は試料中心温度が70℃に達するまで加熱を継続する必要があった。3cm角は水量が少ない時には硬さが最適となった後も調味液に浸漬し、1cm角は硬さが最適となった時点で試料の食塩濃度が高すぎるため調味液濃度を低くする必要があった。ポトフの調理では、水温上昇速度を緩慢にすることや余熱利用により煮くずれが少なくなると評価された。余熱を利用することで試料の種類や形状が異なっても同時に調理できること、試料内部の硬さが均一となることを視覚的に示した。余熱利用調理による沸騰継続時間の短縮及び省エネルギー効果を数量的に示すことができた。

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