日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成23年度日本調理科学会大会
セッションID: C2a-12
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ポスター発表
三重県の家庭における正月の行事食
*飯田 津喜美磯部 由香平島 円乾 陽子梅澤 真樹子久保 さつき鷲見 裕子成田 美代萩原 範子水谷 令子
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抄録

目的
 各地域に伝承されてきた地域特有の食文化は、生活様式の変化とともにその内容も変化し、近年、徐々に地域性は薄れ平準化しつつあると考えられている。我々は、平成21・22年度の日本調理科学会特別研究の一環として、三重県の行事食について喫食状況などを調査し、県内各地域における特徴と家庭での伝承の実態を明らかにすることを目的とした。
方法
 調査は、平成21・22年度日本調理科学会特別研究の全国統一形式の質問紙を使用し、留置き法にて行った。三重県の調査対象者は、調査に同意した県内在住の大学・短期大学の学生およびその家族ならびに地域住民で、在住期間10年以上の527名(うち親子128組を含む)であった。今回は、調査項目の中から正月の行事食の現状を解析した。解析ソフトは、PASW Statistics17を用いた。
結果および考察
 三重県内を地理的特徴や気候・風土により、北勢・中南勢・伊勢志摩・伊賀・東紀州の5つの地域(食文化圏)に分け、各食文化圏の正月の行事食について比較検討したところ、「赤飯」、「屠蘇」などの喫食状況で特徴がみられた。雑煮ともちの形状は、北勢が「すまし・角もち」、中南勢が「赤みそまたはすまし・角もち」、伊勢志摩が「すまし・角または丸もち」、伊賀が「白みそ・丸もち」、東紀州が「すまし・角もち」が多い傾向であった。 また、食文化圏において地域差のないものについて、学生と親世代の行事食の認知度や喫食経験について検討した。「雑煮」などは、親子でよく似た傾向を示したが「黒豆」、「田作り」、「昆布巻き」、「煮しめ」、「なます」などでは親子世代間で異なる傾向を示しており、伝承されていない料理のあることが示唆された。

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© 2011日本調理科学会
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