日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1P-56
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ポスター発表(1日目)
だし取り後のコンブの食後血糖値への影響について一症例報告
*荒木 葉子笹原 麻希榎本 眞理
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キーワード: コンブ, 血糖値, 食物繊維
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抄録

【目的】大量調理においてだし取り後のコンブ(以下、だしコンブ)が相当量廃棄されるが、そこには未溶出の水溶性食物繊維(以下SDF)が豊富に残存していると考えられる。また海藻由来のSDFは食後血糖値上昇抑制効果の報告があることから、だしコンブを再利用した食品の喫食が及ぼす血糖値への影響を調査した。【方法】一般的な和食様式の食事をベース食とし、これに『だしコンブの煮つけ』を追加した試験食(以下、コンブ食)、ベース食中の野菜を1.5倍量にした比較対照食(野菜食)を調製した。女子学生1名を対象とし、試験開始後3日間はベース食、続く3日間は野菜食、その後ウォッシュアウト期間を経てからの3日間はコンブ食を提供した。毎食後90分以内の血糖値を30分おきに簡易血糖測定器で測定した。だしコンブの煮つけ中の主要なSDFであるフコイダン(F)とアルギン酸(A)の含量はアルコール分別法によって測定した。【結果および考察】だしコンブの煮つけからは(F):3.9g(煮つけの乾物100gあたり、以下同様)、(A):37.5g が得られ、だし取り時にSDFがほとんど流出しないことが示唆された。食後血糖値は、夕食時ではコンブ・野菜食ともにベース食よりも高値を示した。朝・昼食時のコンブ食については血糖値ピークの低減または遅延が認められたが、野菜食では朝食時に血糖値ピークの遅延が見られるものの、ベース食との大きな差はなかった。以上の結果により、だしコンブの喫食が穏やかな血糖値上昇によるインスリン分泌の乱高下抑制効果をもたらす可能性が認められ、通常廃棄されるだしコンブの再利用の有効性が示唆された。

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© 2013 日本調理科学会
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