日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a4
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口頭発表
グルテン組成が咀嚼・嚥下に関わるパンの物性に与える影響
*杉浦 文香伊藤 聖子新井 映子
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キーワード: パン, グルテン, 咀嚼, 嚥下, 食塊, 物性
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抄録

【目的】水分量が少なく多孔質であるパンは、摂食機能の低下した高齢者にとって食べにくい食品の一つである。しかし、在宅の一般高齢者が比較的高頻度にパンを摂取しているという調査報告もあり、高齢者が安全に食べられるパンに対する需要は高いと考えられる。本研究はグルテン構成タンパク質に着目し、その組成がパンの咀嚼・嚥下に関わる物性に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】小麦タンパク質には、市販の活性グルテンと高グリアジン画分タンパク質 (以下、H-glia) を用いた。小麦澱粉 (85%) と活性グルテン (15%) の混合物をコントロールとし、活性グルテンをH-gliaで置換 (25、50、75、100%) したグルテン組成の異なる試料を調製した。各試料を用いてパンを調製し、生地発酵体積、比容積、テクスチャーの測定および官能評価を行った。また、調製したパンと模擬唾液から成る模擬食塊を調製し、テクスチャーと粘度を測定した。
【結果】H-glia置換率の増加に伴いパン生地の発酵体積は上昇し、比容積に増加傾向が見られた。テクスチャー測定では硬さが低下し、凝集性は保持された。官能評価ではH-glia 100%置換パンがコントロールパンと比較して、有意にやわらかく、口どけが良いと評価された。模擬食塊は、H-glia置換率の増加により硬さ、付着性、見かけの粘性率および降伏応力が低下し、凝集性は増加した。

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© 2013 日本調理科学会
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