抄録
【目的】食品に含まれる抗酸化活性が注目される中、食品の相互作用による抗酸化活性の変化について研究を進めてきた。本研究では、キュウリによるトマトの抗酸化活性の低下作用を、抗酸化活性、ビタミンC含有量およびポリフェノール含有量の測定から解明を試みた。また、サラダの盛りつけを意識して接触状態での影響についても検討を行った。
【方法】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁し、抗酸化活性をDPPHラジカル捕捉活性法で、ビタミンC含有量をヒドラジン法で、ポリフェノール含有量をフォーリンチオカルト法で測定した。また、輪切りにしたキュウリをトマトの断面に接触させたのちに、トマトの抗酸化活性を測定した。
【結果】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁させることで、抗酸化活性およびポリフェノール含有量が、総和から期待される値よりも小さくなった。一方で、総ビタミンC含有量はキュウリとトマトの総和から期待される値とほぼ等しくなったが、酸化型ビタミンCの割合が大幅に増加していた。この結果から、キュウリに含まれるアスコルビン酸オキシダーゼがトマトの抗酸化活性の低下に大きく関与すると考えられた。また、トマトとキュウリを5分間の接触によって、トマトの抗酸化活性はわずかながら低下した。これらの結果から、キュウリにってトマトのアスコルビン酸の酸化が敏速に起こることが示唆された。