日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 1D-a1
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口頭発表
蒸し加熱におけるジャガイモの最適加熱時間の予測
*入山 明日香遠藤 瑶子香西 みどり
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抄録

【目的】野菜の硬さはおいしさに大きく関わる要因であり、これまでゆで加熱において軟化の速度定数の観点から野菜を適度な硬さに仕上げるための最適加熱時間の予測は行われているが、蒸し加熱についての報告はみられない。そこで本研究では、ジャガイモを試料とし、蒸し加熱時の軟化の速度定数を求め、その値から試料の硬さの変化を予測した。さらに官能評価による適度な硬さと組み合わせて最適蒸し時間を予測することを目的とした。
【方法】3cm角ジャガイモを強火、中火、弱火で蒸し、蒸し器庫内及び試料中心温度を測定した。庫内温度を基に熱伝導解析により中心温度を予測した。1cm角ジャガイモを用いて、85~100℃で蒸し及びゆで加熱し、テクスチャーアナライザーで硬さの経時変化を測定して軟化の速度定数を求めた。得られた速度定数を用いて100℃におけるジャガイモの最適な蒸し時間を算出し、実際に試料を加熱して5段階評点法により官能評価を行った。
【結果】蒸し器庫内温度の実測値から求めた試料中心温度の予測値は火力によらず実測値とほぼ一致し、蒸し加熱において試料中心温度の予測が可能であることを確認した。一定温度での蒸し及びゆで加熱試料の硬さの経時変化より各温度における軟化の速度定数を求めた結果、両者に有意な差は見られなかった。さらに同じ時間蒸し及びゆで加熱した試料の硬さも、機器測定及び官能評価において有意差はなかった。ジャガイモの適度な硬さを6.9Nとした時、得られた軟化の速度定数により予測される100℃でのジャガイモの最適蒸し時間は、1cm角4.8分、2cm角10.8分、3cm角18.1分であり、予測した時間で蒸した試料について官能評価を行った結果、いずれもほぼ適度な硬さと評価された。

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© 2013 日本調理科学会
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