日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2P-30
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ポスター発表2日目
三宅島灰干し手法を用いた野菜干しについて
*石神 優紀子山﨑 薫
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キーワード: 灰干し, 火山灰, 野菜, 干物
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抄録

【目的】三宅島の灰干しは、火山灰と火山灰の間に素材を挟み込み、低温熟成させた干物である。火山灰は水分を吸い上げる特性を活かし、空気に触れさせないように食材を乾燥させて仕上げる。比較的水分含量が高く、旨味が増して味は格別といわれている。灰干しは一般的に魚やワカメなどの水産物や肉などが主流であり、野菜の灰干しはあまり事例がないため、三宅島の新規特産品開発候補として、野菜の灰干し試作を行った。
【方法】製造方法に関しては、魚類の灰干し作成法を応用して用いた。今回、使用した火山灰は入手量の関係上、桜島火山灰を550℃で焙煎し、使用した。17種類の野菜を素材に灰干しを行い、試食、加えて水分含量を測定した。
【結果】試食結果として、赤パプリカはトマトのような甘みを、黄色パプリカはフルーツのような甘みを感じたという意見を多く得た。また、ニンジンは甘く、食べやすくなり、生のニンジンを食せない、ニンジンは嫌いだというパネルからも好評価を得た。他にもナス、キュウリ、サツマイモ、カボチャが好評であった。ナスはアオジソの様な爽やかな香りがし、心なしか甘く、食べやすくなった。キュウリは生の状態時の青臭さがなく、スイカの様な爽やかな香りがし、甘くて食べやすくなった。サツマイモとカボチャは、より甘くなるだけではなく、風味も増し、しっとりした食感を得ることができた。しかし、白菜とエリンギであった。この2つは野菜に灰の匂いが移り、土臭かったりゴム臭かったりし、後味が悪く、灰干しに向かない野菜は葉物野菜とキノコ類であるということも分かった。灰干し野菜は生またはゆで処理のみの状態の野菜と比較した場合、水分含量に大きな差は認められなかった。

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