日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2P-37
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ポスター発表2日目
水の硬度が緑茶浸出液に及ぼす影響
*三橋 富子田島 真理子
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抄録
【目的】硬度の異なる数種のミネラルウォ-タ-を用いた茶浸出液の成分分析および官能検査を行い硬度の影響について検討した。
 【方法】茶葉3gに80℃の蒸留水及び硬度29から315の5種のミネラルウォーター80mlを加え1分間保持後ろ過し浸出液を得た。浸出液の成分測定項目は、にごり物質重量、pH、色差、アミノ酸、カテキン・カフェイン、ビタミンCおよび糖である。緑茶浸出液の官能検査は、蒸留水浸出液を基準として、7項目について7段階尺度法を用いて行った。
【結果】硬度の低い水で出した浸出液の方が明度は高く、黄色味が薄かった。浸出液のにごり物質重量は硬度84以上では蒸留水に比べて有意に多かった。この沈殿物は渋みを呈するシュウ酸のカルシウム塩であると推察された。カテキン類は硬度29が最も多く、硬度の上昇に従って減少した。ビタミンCも硬度が高くなるほど少なくなり、硬度84以上では蒸留水に比べて有意に少なかったが、官能検査の酸味の感じ方には影響なかった。糖質は水の種類間で有意差はなかった。アミノ酸はテアニンが最も多く、次いでグルタミン酸、アスパラギン酸であったが、水種間で有意差はなかった。官能検査により硬度229の方が5%の危険率で蒸留水より有意ににごりと甘味が強く、より好ましいと判定された。硬度64.2のアルカリイオン水は蒸留水より有意に渋味が少ないと判定された。官能検査結果より硬度229の方がにごりは強く、その原因物質であるシュウ酸カルシウムが多いため、茶浸出液中に残っているシュウ酸の量が少なく、渋味が弱く感じられたことにより相対的に甘味が強く感じられて蒸留水浸出液より有意に好まれたものと考えられた。
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© 2013 日本調理科学会
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