抄録
発芽玄米酒粕添加がパンの色調と嗜好に及ぼす影響
○小木曽加奈1,中澤弥子1,吉岡由美1,佐藤晶子1,岡崎光雄2
1長野県短大・生活科学科健康栄養専攻,2岡崎酒造
【目的】発芽玄米酒粕とは,発芽玄米を原料とする清酒の残さである。筆者らは発芽玄米酒粕をパンに添加し,色調と嗜好についてその影響を検討したので報告する。
【方法】官能試験方法はパネルとして健康で味覚に問題のない大学生及び教員(全32名)を選抜した。コントロールである無添加食パンと発芽玄米酒粕製パン,対照である吟醸酒粕製パンについて比較を行い,パンの焼き色と嗜好について評価した。色調の測定については,パン焼成後,常温で24時間経過後のものを使用した。パンの皮を除き,底辺部から2.0cmの部分を切り落とし,そこから縦横5.0cm×高さ1.5cmに切ったパンを各試料として色差計(日本電色株式会社,NE−2000型)で測定を行った。反射法で測定したHunter表色系のLab値と白色度を求めた。
【結果および考察】官能試験結果からパンの「焼き色」,「焼き色の好み」は吟醸酒粕より発芽玄米酒粕を加えたパンの方が有意に強く,官能的に好ましくなることがわかった。各パンの色差を測定した結果,吟醸酒粕製パンは焼き色があまりつかず白色度が高くなった。一方,発芽玄米酒粕製パンは黄味と赤色が強くなることが示され,官能的にはそこが好まれることが示唆された。