【目的】「MRSメニューセンサス」は、首都圏普通世帯のメニュー実態と調理実態を詳細に把握することで、食ビジネス全体に対する戦略的仮説設定を支援することを目的としている。今回、当該データの中でも朝食に焦点を当てた時系列分析を行い、朝食実態の把握と朝食関連商品の開発への提言を行った。
【方法】1978年から2012年まで蓄積してきた「MRSメニューセンサス」の「朝食」データを用いて、朝食で食卓に並ぶメニュー数とメニュー傾向を集計した。
【結果】①朝食の「1世帯1食あたりメニュー数」(飲料含む)は、80年代末~90年代半ばがピークであった。世帯内の家族人数に左右されない「1人1食あたりメニュー数」をみても、1メニュー、2メニューといった簡易な食事の割合が増加している。若年主婦世帯ほどメニュー数が少ない傾向は調査当初からみられるが、ある時期から年代差が拡大した。②調査開始当初の1978年から継続してパン食比率が上昇している。90年代にすでにパン食がごはん食を上回っていたことも確認できた。また、朝食でごはん類が出る時の「ごはん類と味噌汁の同時出現率」は、この30年間で大幅に低下している。「朝はごはんと味噌汁」という和朝食は今や少数派である。③主食がパンであれごはんであれ、主菜・副菜が減少している。とくにパン食の場合はごはん食の場合よりも主菜・副菜の同時出現率が低く、果物、ヨーグルト、乳酸菌飲料、野菜ジュース等の出現率が高いのが特徴である。これらの結果から、今後の朝食向け商品開発における方向性仮説を考察した。