日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成25年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a4
会議情報

口頭発表
血糖上昇の抑制を目的としたこんぶケーキの試作
物性と官能評価
*福田 ひとみ香野 美佳奥野 そのみ勝川 路子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】食後血糖値の管理は糖尿病を始め生活習慣病の予防,治療に重要である。こんぶには旨味成分だけでなく,種々の機能成分を含む。先にラットに粉末こんぶを摂取させたところ,血糖上昇の抑制と糖・脂質代謝の改善が認められた。そこで,こんぶ粉末をケーキに用いて,人でも同様の効果がみられるかを調べるために,食べやすく,満足感のあるこんぶケーキを目指し試作した。そして,物性の測定と官能評価を行った。【方法】大学生(女性182人)に海藻類についてのアンケートを実施した。こんぶ粉末を使用したパウンドケーキを作り,加えないもの(対照)と物性を比較し,官能評価(26人,評点法)を行った。【結果】アンケートより,こんぶを毎日食べている人は1.8%と大変少なく,わかめの半分であった。週1回以上食べる人は44%であった。こんぶは,だし35%,昆布おにぎり22%,とろろ昆布18%,などに使われていたが,わかめと比べると料理の種類が少なかった。パウンドケーキは粉末こんぶの量を生地材料5〜10%と変化させて試作した。10%では塩味が強く,5%の方が評価は高かった。添加量5%のケーキでは,膨化率はこんぶの方がやや低く,水分量は多かった。密度に有意な差は無かった。評点法による官能評価では,色,きめ,甘さについてはいずれも高い評価であったが,対照の評価より低かった。しっとり感と歯触りはむしろこんぶの方が高く,総合的には同じ評価であり,対照ケーキと同程度のケーキを作ることができた。さらに,パウンドケーキを食べたときの血糖値の変化を測定(健常者5人)したところ,こんぶ添加ケーキで上昇が緩やかで,血糖上昇を抑制した。 
著者関連情報
© 2013 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top