抄録
【目的】ライフスタイルの変化、多機能調理家電の普及により、我々の食生活は多様化が進んでいる。同時に、嚥下機能が低下している高齢者用介護食の調理操作における簡便化も求められている。本研究では、加熱方法の異なるプリンの物性および食味を評価し、簡便な調理操作による介護食への適用について検討することを目的とした。
【方法】材料は、牛乳、鶏卵、上白糖、バニラエッセンスとし、オーブンレンジ、電子レンジ、ガス蒸し器、電気蒸し器による加熱調理操作にて調製したプリンを試料とした。物性は、試料を直径6.8cm、高さ4cmの軽量強化磁器に35mm充填し、万能試験機にて、直径20mm、高さ40mmの樹脂製のプランジャーを用い、測定速度10mm/sec、クリアランス10mmで2回圧縮測定した。得られた記録曲線から硬さ、付着性、凝集性を算出した。官能評価は、20代の女子学生34名をパネルとし、外観、色、硬さ、べたつき、飲み込みやすさ、口中でのばらつき、口中での残留感、おいしさ、総合評価の9項目による評点法にて実施した。試料温度は、物性測定:10±2℃、20±2℃、官能評価:10±2℃とした。
【結果】ユニバーサルデザインフード区分の硬さと比較したところ、区分1「容易にかめる」、区分2「歯ぐきでつぶせる」、区分3「舌でつぶせる」に4試料とも該当した。電子レンジを使用した試料が、官能評価においても「良い」と評価を受けたことから、調理時間の短縮が期待できる介護食用プリンの調製が可能であることが示唆された。