日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2P-68
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口頭ー発表
事例研究からみた広島県の伝統料理(第6報)三原・尾道地域
*石井 香代子高橋 知佐子山口 享子木村 安美桒田 寛子渕上 倫子
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抄録

【目的各地にはその地域や家庭で伝承されている日常食や行事食がある。しかし食生活の変化に伴い,伝統的な地域の料理が親から子へ伝承されにくい現状がある。そこで,昭和30~40年頃までに定着していた地域の郷土料理と,その暮らしの背景を明らかにするため,平成24~25年度に日本調理科学会特別研究として実施した「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」調査から得られた広島県三原・尾道地域の結果について報告する。
【方法】日本調理科学会特別研究調査ガイドラインに基づき聞き書き調査を行った。地域は広島県東部の三原市、尾道市で山間部と島しょ部、地域に30年以上居住した40代後半~80代で、家庭の食事作りに携わってきた15名を対象とした。
【結果】島しょ・沿岸部の日常食で魚介類は行商で手に入れていたが、近くの海岸で貝堀り(あさり、まて貝)で自給もした。野菜類は自給自足、白米が主食であった。鶏・山羊の飼育で卵・鶏肉や山羊乳・肉を食していた。山間部は主食が麦飯で芋類を入れることもあり、うどんなど食べていた。野菜は大根、芋、ほうれん草など種類は少なかった。猪、うさぎの肉を食べることもあり、きのこ類も豊富にあった。沿岸部も山間部もだしには煮干を使用し、大量購入していた。行事食は正月のお節、雑煮(穴子など)、葬式の精進料理、法事の寒天料理、お盆の素麺、柏餅があった。両地域とも秋祭りや行事では必ず餅を搗いており、米だけ普段から自由に使用できた為である。因島の柑橘類は昭和30年代から米に替えて栽培に力を入れ、特産品(ハトムギ、たこ)をこの頃より育てる取組が始まっていた。いぎす豆腐、押し寿司、あずま、えびこ、たこ飯など特色ある伝統料理があった。

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