日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2B-p1
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口頭ー発表
日本人を対象とした食嗜好評価モデルの開発と有効性の検討
*中野 優子笠松 千夏野中 雅彦Pascal Schlich香西 みどり
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キーワード: 嗜好, 調味品, 調味料, 嗜好試験
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抄録

【目的】「甘味好き」「塩味好き」といった個人の味の好みを客観的に評価する方法は確立されていない。本研究では、「濃い味」「薄味」など味の強弱に対する個人の好みの程度を測定するための食嗜好評価モデルを開発し、その有効性を検証することを目的とした。
【方法】個人の食嗜好を測定する尺度としてフランスで開発されたPrefQuest(Deglaireら,2012)を参考に、食品の味つけに関わるソースやジャムといった調味品の添加量に着目した。塩味、甘味、うま味およびそれらに脂質が加わった味の強さに対する個人の好みを反映しうる食品と調味品の組合せを選定し、調味品量を変化させた料理写真を作成して食嗜好評価モデルとした。質問紙の形式は、モデルを見て、味つけとして最も好ましいと思う調味品の量を回答するものとした。調査1では、この質問紙を用いて消費者122名に調査を行った。調査2では、質問紙に示した料理写真と調味品量が対応している5水準6食品の試料を調製し、女子大学生32名に食べさせる官能評価を実施した。その後同一パネルに対して質問紙調査を行い、官能評価と質問紙調査の結果を比較した。
【結果】選定の結果塩味6、塩味+脂質3、甘味4、甘味+脂質1、うま味3の計17のモデル食品が得られた。調査1の結果から、本質問形式は年齢や性別に関わらず簡便に個人の嗜好特徴を把握する方法として有効であると考えられた。また、調査2において同一パネルの質問紙調査と官能評価の結果を対応させることで、モデルとして適する食品を選別可能であると確認された。本調査では、「ヨーグルト+フルーツソース」が甘味、「ほうれん草のお浸し+醤油」が塩味に対する嗜好を評価するモデルとして有効である可能が示唆された。

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© 2014 日本調理科学会
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