日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成26年度(一社)日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a2
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口頭ー発表
福島県郡山産ブランド人参ジュースの化学成分分析に関する基礎的な検討
*中島 肇阿部 愛波生方 エニィ瑠璃江佐藤 千恵高梨 禮子河内 公恵後藤 政幸
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抄録

【目的】福島県郡山市の郡山ブランド野菜協議会は市場に出回っていない新たな付加価値を持った野菜の栽培と普及を目的に設立された。今回は、彼らの生産する人参のうち、西洋人参系の御膳人参と京人参系の紅御前人参の化学成分分析を行った。本研究では、「ジュースでも美味しく飲める」両人参の特性を科学的に明らかにするために、糖質と香気成分の分析を中心に行った。 【方法】人参はジュースにし、総糖質量をブリックス値により、人参可食部中のグルコース、ショ糖、果糖の分析は液体クロマトグラフィーによって行った。また、ジュースの香気成分は40℃で保持したジュース中のヘッドスペース成分をCarbone/PDMSを用いた固相微量抽出(SPME)によって捕集し、GC-MS(島津GS-2010)によって分析した。既報1)の同定データに基づき主要香気成分を同定し、主成分解析によって市販品との香気成分のパターンを比較した。対照として市販五寸人参を用いた。栄養成分分析は日本冷凍食品検査協会へ委託した。 【結果】人参ジュースのブリックス値の平均は、紅御前(10.4)>御膳(9.0)>五寸(7.4)の順で統計的に有意に高かった。紅御前では御膳に比べショ糖の含量が高かった。人参ジュースのヘッドスペースに存在するテルペン類やそのアルコール、エステル化物などの香気成分を同定し、その比率を用いた主成分分析を行った。その結果、紅御前および御膳は五寸と異なる場所に位置した。しかし、関与する香気成分の香調と三種類の人参の分布には明確な意味づけを行うことが出来ず、官能評価での香調との関連付けが今後の課題であることが明らかとなった。
1)    J. Sep. Sci.31:3548(2008)

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