抄録
【目的】新調理システムを導入する施設が近年増えていることから、栄養士養成校である本学でも平成18年より新調理システムのための機器を導入し、真空調理等を授業に取り入れ、その活用方法についても検討を重ねてきた。今回はれんこんに着目し、真空調理のメリットを生かした煮物で一般調理と同等の仕上がりを目的に調味料の分量等を検討、官能評価を実施した。
【方法】試料:生れんこん、かつおこんぶだし、白しょうゆ、みりん、上白糖。①一般調理、真空調理の試料を作成し、調味料の分量や調理工程、仕上り等を比較検討。調理条件:一般調理は、IHコンロを使用し加熱。真空調理は、真空包装後、スチームコンベクションオーブンで加熱。②官能評価:実施日、平成27年12月2日、パネリスト:本学食物栄養科2年生の協力者(調理科学演習受講者)22名。事前に2点識別検査法を行いパネリストとして適しているかを判断した。事前検査方法:塩分濃度0.8%と0.85%のすまし汁(かつおこんぶだし、食塩)の塩分濃度を識別可能か。官能評価項目:見た目(仕上がり)、柔らかさ・固さ、舌触り、味、食感総合。
【結果】パネリストへの2点識別検査法の結果有意水準1%で、パネルは識別能力があると判断できた。官能評価の結果、柔らかさ・固さ、舌触り、味、食感総合で有意差がなく、見た目(仕上がり)については1%危険率で一般調理が有意であった。このことから、見た目以外の項目においては、一般調理と同等に仕上げることができたと言える。また、官能評価を行った感想として「一般調理も真空調理もそれぞれよいところがありどちらかを選ぶのに苦労した。」「事前にすまし汁の識別検査を行っていたので要領よく進めることができた。」等が見られた。