日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1P-44
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ポスター発表
学生食堂における食育支援の取り組みとその評価
*大島 千穂續 順子中島 正夫三田 有紀子
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キーワード: 食行動, 食意識, 食育
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抄録



【目的】大学生の健全な食生活実践への支援として平成(H)23年度より食堂環境整備の取り組みを進め、質的・量的調査により学生の食行動・食意識のあり方を追跡している。本報告では、実施開始時および2年経過時の学生の量的調査による食行動・食意識を比較して、取り組みの有効性を検討・評価する。

【方法】食環境整備として、ヘルシーメニュー提供、全メニューへの「食事バランスガイド」のコマ・栄養価等の情報をメニューカードとして提供、ポスター・卓上メモ・リーフレットによる栄養情報提供を行い、栄養相談会、料理教室の開催を含む総合的な取り組みを継続して実施した。調査はH23,H25年度に実施し、各年度の対象者とその有効回答人数(回答率)は、一般学生245名(96.8%),232名(99.2%)、管理栄養学科学生(専攻学生)435名(93.8%),472名(99.4%)、計680名(94.8%),704名(99.4%)であった。

【結果】昼食欠食者の減少や、昼食の栄養バランスが良いと評価する者の増加など、H25年度には昼食摂取状況の改善が見られた。各種栄養情報媒体の認知度は高まり、興味・関心を持つ者はいずれの媒体も70~90%と高率だった。H25年度から導入したメニューカードも興味・関心度が高く、また、見たことがある者(73%)の中で70%以上が食事選択の参考にしていた。一方、支援の中心の場である学生食堂を利用する者は73%から60%に減少し、特に専攻学生で変動が大きかった。利用者のメニュー選択理由は好み、気分、値段が主要で、栄養バランスを考慮する者が少なく、この傾向は変化が見られなかった。ヘルシーメニューの利用率も40%に留まり、学生の認知レベルの低さがこれらの要因として挙げられた。また、大学外での食や栄養に関する情報・知識の活用経験が少ない点も、今後の食育支援の大きな課題である。

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