主催: (一社)日本調理科学会
会議名: 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
開催地: 名古屋学芸大学
開催日: 2016/08/28 - 2016/08/29
【目的】グラニュ糖の融点にはメーカーにより異なるものがあり,融点の異なるグラニュ糖は加熱熔融状況が異なり,示差走査熱量分析(DSC 分析)において異なる波形を示すこと,スクロース結晶を粉砕することにより,その加熱特性が変化することを明らかにしてきた。さらに焼メレンゲにおいて,砂糖の粒度により,焼き上がりの外観,色調やきめ,テクスチャーに大きな差が生じることを明らかにしたが,焼メレンゲ中のスクロース結晶の状態については詳細は明らかでない。そこで,焼メレンゲ中のスクロース結晶の状態を評価することを目的としてX線回折を行った。
【方法】グラニュ糖はW社,X社,Z社の3種を使用し,また,それぞれを粉砕した粉砕糖Wp,Xp,Zpを実験に供した。焼きメレンゲについては,乳鉢で磨砕しないように押しつぶし,ふるいでふるって試料とした。X線回折は,筋電圧30kV,管電流15mA,発散スリット0.652°,散乱スリット1.25°,受光スリット0.3mmを回折条件として実験を行った。
【結果】まず,試料糖のX線回折を行った。グラニュ糖は純度が99.9%と高いスクロース結晶であるため,X線回折結果に差があるとは予想されなかったが,どのグラニュ糖にも認められるピークもあったが,異なる回折角にピークも認められた。また強度においても大きな差が生じるものがあった。しかし,粉砕糖のX線回折結果では,グラニュ糖のX線回折結果よりも波形が類似し,さらに,ほとんどのピークの回折角が同じであるという結果になった。また強度においてもその差が小さいものとなった。結晶状態の異なるグラニュ糖であったが,粉砕によりその結晶状態が変化し,その性質が類似したものになる可能性があることが考えられた。焼きメレンゲについては,卵白との混合物としての回折となるためかピーク強度等のばらつきは大きかったが,類似した波形となることから再結晶化が示唆された。