日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2A-a2
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口頭発表
粉砕方法の異なる米粉の特性が米粉団子の食味と物性に及ぼす影響
*吉村 美紀上野山 あつこ田中 紫穂江口 智美長野 寛之
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キーワード: 米粉, 粉砕状態, 食味, 物性
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抄録


粉砕方法の異なる米粉の特性が米粉団子の食味と物性に及ぼす影響

○吉村美紀1,上野山あつこ1,田中紫穂1,江口智美2,長野寛之1

1兵庫県立大,2山形県立米沢栄養大)

 

【目的】米の粉砕技術が改良され、米粉としての利用が拡大している。本研究では、酒米に注目し、日本酒製造で発生する酒米搗精米粉と粉砕方法の異なる2種類の米粉の特徴を比較検討し、米粉を用いた食品として米粉団子の食味と物性に及ぼす影響を検討することを目的とした。

【方法】試料として、米粉A(酒米搗精米粉表面粉砕の白ぬか部分)、米粉B(米飯用体積粉砕胴搗き米粉)、米粉C(米飯用体積粉砕水挽き米粉)を用いた。米粉の特性評価として、損傷澱粉率、平均粒子径、アミロース量、難消化性澱粉率、安息角、示差走査熱量(DSC)測定、食品成分分析を実施した。米粉団子は、各米粉に対して75 w/w%の重量の蒸留水を加え2分間混捏後、円柱形に成形し真空密封した。95~100 ℃の温浴中で20分間加熱し、20℃で1時間静置後のものを試料とした。米粉団子の圧縮試験、テクスチャー測定、表色比較、官能評価を実施した。

【結果】米粉Aは損傷澱粉率が米粉BおよびCより高くなり、DSCによる吸熱ピークがほとんどみられなかったことより、表面粉砕のため澱粉の損傷が多く、米粉に糊化された部分を含むと推察した。また米粉Cは損傷澱粉率が低く、水挽きのため熱による損傷が抑えられたと推察した。食品成分値には大きな差が見られなかった。米粉団子のテクスチャー測定より、米粉Aの団子はまとまりやすく、べたつきやすい傾向があり、米粉Aの損傷澱粉率が高いことが米粉団子の物性に影響したと推察した。官能評価において、米粉AとBの団子、米粉AとCの団子の間で、見た目、硬さ(識別、嗜好)、なめらかさ、べたつき感の項目で有意差が認められた。米粉Aの団子の特徴としてやわらかく、べたつく食感であると評価された。
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