日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成28年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1A-a2
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口頭発表
半乾燥野菜の味の特性と調味による変化
*久松 裕子長尾 慶子小林 理恵
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抄録

【目的】我々は、野菜類の摂取量を増加させるための、効率のよい調製方法として、半乾燥状態に着目し研究を行っている。これまでに、野菜を半乾燥状態にした時の基礎特性について明らかにし、天日乾燥法による重量減少率30%試料が製品として適切であることを報告してきた。引き続き野菜を対象に半乾燥調製による糖度の変化と、適切な調味方法を検討した。 【方法】試料としてダイコン及びカボチャを取り上げた。これまでと同様に、天日及び恒温庫乾燥法による重量減少率30%の乾燥試料を調製し、生試料(重量減少率0%)を基準とした。これらを純水中で、中心部が98℃になるまで茹で加熱し測定試料とした。同様に調味を想定した濃度の塩水及び砂糖水中で茹で加熱した試料を測定に用いた。各試料はミキサーでペースト状にし、純水ならびに砂糖水での茹で加熱試料は糖度計にてBrix値を、塩水での茹で加熱試料は塩分濃度計で塩分濃度を測定した。 【結果】いずれの半乾燥試料も乾燥方法に関わらず、基準(生)に比べて糖度が有意に高くなった。このことは半乾燥調製時の濃縮によるものと考えた。また、砂糖水中で茹で加熱した基準(生)と純水中で茹で加熱した半乾燥試料は同程度の糖度になっていたことから、半乾燥にすることで砂糖を使用しなくても十分に甘味が感じられることが考えられた。また、茹で加熱後に生と半乾燥試料の塩分濃度(%)は同程度となっていた。半乾燥試料は茹で上がり重量が基準(生)の75%程度となっていたことから、試料中の塩分量は少なくなった。以上より、半乾燥野菜試料は野菜自体の甘味を生かしながら砂糖の使用量を減らし、食塩の摂取量も少なくなるように仕上げることが可能であると示唆された。

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