抄録
【目的】シカ肉の食資源化のため,シカ肉の物性と機能性成分について検討している。今まで検討をしてきたシカ肉中のカルニチンに加えて、脂質代謝の補酵素であるビタミンB2についてシカの推定年齢および性別における個体差の影響を解明し、高機能のシカ肉を評価することを目的とする。また、加熱温度・麹添加の影響についても破断測定、重量減少率および官能評価を行い、嗜好性を評価することを目的とする。
【方法】雌雄別、年齢別(推定年齢1歳、3~4歳、6~7歳)に分類したニホンジカのもも肉を試料とし、HPLCを用いてビタミンB2の測定を行った。ニホンジカのもも肉を,シカ肉重量に対し1%の多穀麹を添加したものと無添加のものを10℃で24時間熟成させた試料は調味後真空包装し,90℃でスチーム加熱を30分間行った。その後10℃に冷却のものを破断測定および官能評価に用いた。官能評価項目は、香り、硬さ(識別)、硬さ(嗜好)、うま味、ぱさつき、総合的なおいしさの6項目とし、5段階採点法を用いて試料間の差を求めた。パネルは兵庫県立大学の学生22人(平均年齢22.4±2.4歳)とした。
【結果】推定年齢による影響では雌雄どちらにおいても、推定年齢6~7歳と比べ1歳のシカ肉のビタミンB2含有量が多い結果となった。また、いずれの年齢においても雄に比べ雌のビタミンB2含有量が多い結果となった。加熱温度による影響では80℃加熱が100℃加熱試料に比べ有意に破断応力が低く、重量減少率が低く、官能評価で軟らかくパサツキが少ないと評価された。麹添加試料の方が無添加試料と比べ破断応力が低く、重量減少率も低い傾向がみられ、官能評価では香りがよく、軟らかいという結果が得られた。